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今年で30周年のめでたいめでたい志摩スペイン村に行ってきた

先日、パルケ・エスパーニャ、志摩スペイン村に初めて行ってきた。
京都から車で3時間弱の行程だが、到着するまでに私は疲れ果てた。
その日は快晴であり、春なのに冬の寒さだった。

今年はUSJにも行き、まぁ、二回目の遊園地だ。然し、こう、ディズニーランドやUSJという東西二大巨頭などと比べると、とても牧歌的な遊園地である。いや、あの2つが異常なだけで、元来、遊園地というものはこういうものではなかったか。

志摩スペイン村は噂通りガラガラであった。いや、ガラガラ、というよりは、スカスカ、が正しいのだが、それなりに人はいる。然し、今まで、あの異様なまでの遊園地、金の亡者(失礼……)たちと比べるであれば、些かのんびりしているこの園は、寧ろやっていけるのかしらん、とユーザーが不安になることしきりである。
ゲートを抜けて、広場に出ると、そこはまさにヨーロッパの町並みだ。昨年、和歌山のポルトヨーロッパに行ったとき、まぁ、ヨーロッパ感はあるけど、やはりあれは、書き割りのような町並みで、そして人も疎らだった。
そういえば、この和歌山マリーナシティのポルトヨーロッパは、なんとあの『鋼の錬金術師』の実写版のロケ地だという……だから何やねん、という話だが。

どちらがいいといえば、まぁ、エスパーニャに軍配が上がるが、ポルトヨーロッパはポルトヨーロッパで素敵な場所で、マリーナシティでは海鮮が食えるので、その点は最高だ。そう、あそこは、ヨーロッパであり、海鮮丼が食える夢の国なのだ。
そしてエスパーニャ。私は驚愕した。巨大な広場に、私達一家しかいない状況が訪れたとき、いつか視た夢の中に舞い戻ったのかと錯覚した。
かぶりを振る。気がつくと、私はレストランにいた。そこで食べたパエリアは、そこは遊園地価格だ。高いのはしょうがないが、もう少し美味かったらなぁ。
となりで、カップルが敬語で話している。初デートなのだろうか、私は好奇心を抑えきれずに横目で彼らを見た。彼らは嬉しそうに、謎のアニメキャラのようなぬいぐるみをパエリアの横において写真を撮っていた。
志摩スペイン村は、今Vチューバーとコラボレートしているのだという。なるほど、彼らが楽しそうに撮影しているのが、かの有名なVチューバーである周央サンゴと壱百満天原サロメの二人のぬいぐるみのようだ。

志摩スペイン村には昔からキャラクターがいる。ドンキーやチョッキー、ダル、などのキャラクターである。無論、私も識らなかった。彼らの顔は識っているというのに。特にダルは愛らしい白猫キャラクターで、萌え萌えだが、無論、私は識らなかった。

そんなこのレジェンドたちよりも、このVチューバー二人は人気だという。

確かに、ドンキーやチョッキーたちは1990年代の香りが仄めいている。けれども、私は彼らの方が好きだ。それを確信したのは、彼らの冒険を空飛ぶ舟のような乗り物で回るライド型アトラクションに乗ったときだ。このクオリティはどうだ。確かに、ハリポタのフォービドゥン・ジャーニーなんか乗った日にはとてもじゃないが褒められたものではないが、このオブジェ感、ところどころ施設の床が見えている雑さ感が、ある種の魔法になっている。子どもたちにとって、あまりにも夢のような空間なのだろう。まぁ、映画で言えば、CGではなくアニマトロニクスだが、『ジェラシックパーク』ですら、アニマトロニクスをCGだと思って観ている人もいるわけで、想像力、という意味では、寧ろ、フォービドゥン・ジャーニーには、想像力が駆り立てられることはない。あれは見世物としては優秀だが、そこには幻想の香気がない。逆に、このドンキホーテ冒険の旅には、幻想への道が開いているように思えるのだ。

志摩スペイン村は予想以上に広かった。そして、美しい街並みが広がっていた。けれども、そこはやはりスペインではなく日本だった。
ほとんどのアトラクションは並ぶことはない。最長で10分待てば乗れるのだ。これは費用対効果抜群である。
そして、このスペインの町並みを、ぬいぐるみを持って散策する20代30代の若者たち。
私は、ジェットコースターが苦手であり、志摩スペイン村にも一つ、巨大なコースター、ピレネーなるものがある。どうやら、フライング・ダイナソー系であり、あれよりはしょぼい感じだが、それでも比肩する感じでもありそう。
絶叫が聞こえる。
私は耳をふさぐ。
あの浮遊感。あれが好きな連中が羨ましい。私は空を飛べないピーター・パン。精神は幼子のままの逆コナンだ。
然し、ドン・キホーテの空の旅はよかった。結局、私は振り回されたいわけではないらしい。スリルを味わいたいわけではなく、不可思議な、魔法の香気を嗅げる空の旅をこそ愉しみにしていることに気づいたのだ。

然し、志摩スペイン村のメリーゴーラウンドは美しかった。装飾がきれいなのだ。私はメリーゴーラウンドが好きだ。どんな遊園地でも、メリーゴーラウンドは必ず乗るのだ。

回るよ、回るよ、地球はメリーゴーラウンド♪


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