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書店パトロール63  漫画と映画ばかり

久方ぶりの『フールナイト』。もう9巻である。

9巻、とは結構長くやっているような気がする。この9巻では新たに仏教や貧困街の王の話などが出てきて、どんどん世界観が広がっている。まぁ、長くても18巻くらいでは終わるのではないかと予想しているが、これも映画化するのだろうか。或いはドラマ化だろうか。

Netflixで映像化して欲しいものだ。だが、私は、何でもかんでも映像化、というのが嫌いな人間だ。でも、『フールナイト』は映像化して欲しい。やっぱり、この漫画は新しいと思うし、そういう作品が多くの方に受け入れられて欲しいのだ。然し、新刊棚には2冊しかささっておらず、私は哀しかった。そのうちの1冊を抜き取り、レジへ。

『フールナイト』を購入した折、ついでにパトロールも少し行った。
映画本で気になるのが2冊ほど刊行されていた。
一つは、川上洋平さんの『ポップコーン、バター多めで』。

昔、映画秘宝で、斎藤工のエッセイが連載されていた。斎藤工はシネフィルだ。斎藤工と、西島秀俊が、イケメンでシネフィルなのだ。他にもたくさんシネフィルがいる。この人もシネフィルなのだろうか。私は、シネフィルではない。あんまり映画を観ていないし、観ている幅も狭い。

そういえば、最近、Netflixにて『ミッシング』を観た。私には、ミッシングは、久保田利伸だが、然し、この映画は、なかなかハードな映画、なのである。


一人娘が失踪し、それが、誘拐か事故かはわからない。そのことで、石原さとみと青木崇高の夫婦が、魂を、本当に、本当に削られる、鑑賞者もまた削られる、そんな嫌な嫌な映画だが、然し、意外と、事件を俯瞰で捉えているので、そこまでのハードパンチャーではない。
パンチ、というものは、見えないパンチ、つまりは、意想外のパンチこそが脳と肉体とを繋ぐ神経を断ち切るのだと、私は『はじめの一歩』で何度も教えてもらった。宮田くんがそう言っていた。或いは、『GANTZ』の岡八郎がぬらりひょん戦で言った一言か。

唐沢拓三は、一歩の日本タイトル6度目の防衛戦の相手であるが、彼は、一歩の破壊的なパンチに耐えるために腹筋を強化し尽くした。拓三、といえば腹筋である。鍛えに鍛え抜いた鋼のような腹筋だ。然し、一歩の拳は日本ランカーである彼の覚悟の腹筋を、ただの2発で仕留めてしまうほどに凄まじい破壊力だった。今でも、目を閉じれば拓三の悶絶顔を思い出せる。

それから、東洋のナショナルチャンピオン連戦の後に闘った2階級上の小島だが、彼だって一歩のパンチを受け止める覚悟を見せるが、然し、一撃のもとに空中一回転させられてダウンしてしまった。

覚悟で耐えられるパンチ、ではないパンチがあるのだ。そういう意味で、この映画は、一歩のパンチまではいかないだろう。歯を食いしばれば意外と耐えられる、そんな軽さがある。然し、見えないパンチ、つまりは、前情報無しで鑑賞した場合、ダウンする可能性はある。

被害者への誹謗中傷など、現実でも起きているSNSの悪い側面を描いている。

吉田恵輔監督の映画は結構観ている。この前の『空白』も結構重い映画で、然し、なんというか、常に、俯瞰で観ているせいか、そこにある悲劇に滑稽味が産まれてしまう。これは、恐らく意図的なのだとは思うが、どこまでも脚本に、神様の手に動かされている感じが、台詞から感じられてしまうのだ。映画なのに舞台的すぎる。それは、三谷幸喜の舞台とは異なる舞台性だが。この2つの舞台性、つまりは、舞台を舞台として、カリカチュアされた人物を演じる三谷映画と、リアリティといううすーい衣をまとったかのようで其実物語の駒を配置する吉田映画、といったところだろうか。

私は吉田恵輔映画では『BLUE』が一番好きだ。ここでも、東出くんがいい味を出している。あの、天然のスターオーラ、というのはなかなか得難いものだ。然しボクシング映画、というものはハズレがないように思える。西洋問わず、名作が多い。『ロッキー』シリーズ、『クリード』シリーズ、『どついたるねん』、『ミリオンダラー・ベイビー』、『レイジング・ブル』。最近の佐藤浩市と横浜流星のボクシング映画や、『ケイコ 目を澄ませて』、『YOLO/百元の恋』も観なければならない。

そういえば昔、京都シネマで『さんかく』を観た時、パンフレットを購入し読んでいると、花沢健吾の寄稿とイラストがあって、そこで、彼は田畑智子を絶賛していた。確かに、彼女はあの頃はすごい人気があったように思う。で、最近、久方ぶり画面の中で見かけた。Netflixの『極悪女王』である。その中で、ダンプ松本の父親の不倫相手を演じていた。他にも出ているのだろうが、私には久方ぶりだった。

タバコを吸う姿が似合っていた。やはり、こういう、思いもかけぬ人とのスクリーン上、今回はデスクトップ上ではあるが、その、出会い、というものは、嬉しいものである。

役者さん、は、たくさんの映画に出演されているので、そこから、映画の記憶が数珠つながりに溢れ出すのである。それは監督さんも同じだ。

そして、最近、『踊る大捜査線THE MOVIE』がテレビでやっていたので、久方ぶりに観たが、これは、1998年の映画である。昨日記事を書いた、『奇蹟の輝き』と同じ年。デジタルリマスターでケツの穴まで綺麗に見えるようになって、私は、織田裕二のスター性に驚かされた。やはり、踊る、には、織田裕二が必要だ。多分、来年には5をやるのではないか。もし室井さんの映画だけならば、何故このタイミングで?と思うところだが、然し、『交渉人真下正義』や『容疑者室井慎次』は2005年に作られて、踊る3は2010年だったから、すごく間が空いていた。だから、今回も5はないかもしれない。

踊るの映画自体はそこまで好きではないが、然し、押井守の実写版の『THE NEXT GENERATION パトレイバー』を再見したくなった。

『THE NEXT GENERATION パトレイバー』は、MOVIX京都で全部観た。毎回、客は少なかった。然し、すごく面白かったし、私は映画館は空いているのが好きなので、最高だった。興行的には良くないだろうが。『首都決戦』まで観に行って、私はそこまで押井守ファンじゃないのに、このシリーズにはハマってしまったものだ。いや、押井守の評論が好きであって、映画はそこまで好きではないのだ。『スカイ・クロラ』は途中で寝たし……。

で、『ポップコーン、バター多めで』に戻るが、最大の問題は、私はポップコーンを映画館で食べることはない、ということだ。コンセッションの価格が高すぎるのだ。ジュースとポップコーンで700円だとか800円、1000円とか取る、それならもう1本映画館で観るための足しにしたいのが映画好きではなかろうか。
やはり、特別な時、そう、例えば、家族でのお出かけ、デート、乃至は、空腹で死にそうな時……。空腹で死にそうな時に映画なんか観るなよと言われても、死ぬ前には1本は観たいものだ。

死ぬ前に観たい我が1本。これは決めかねる。配信映画でも、どれを観ようかコンテンツ探しで時間を浪費し、30分とか1時間を無駄にすることはよくあることだ。
選択肢が多いのは必ずしもいいことばかりではない。私は、常々、レストランなどでは、AかB、多くてもCの二択から三択で良いと思っている派であり、多ければ多いほど、自分の選んだ料理は間違いではなかったか、あれにすればよかった、今ならまだ変えてもらえるーいや、無理か……と、いう、そのような不毛な哀しみに襲われるのだ。選択肢は少なくて構わない。そんな私の眼の前に、菊地成孔の映画本が。

私は、とにかく新しい本、つまりは新刊本、というものを買いたくてしょうがない病を患わっている。この宿痾、この呪い、私は、菊地成孔のことなど大して識りもせずに、この本に惹かれる。だめだだめだ。お金がもったいない。
そうして、次に気になったのは、蓮實重彦の『ショットとはなにか』シリーズの第三弾。これだって、きっと積読になるだろうし、買うのは止したほうがいいだろう。

結句、積読になるのだ、いつだって。私は映画本コーナーから逃げた。やはり、こういう類の本は高い。1冊2,000円〜3,000円。何故か、本屋で観る本は高く感じられる。ネットは安く感じる。あれはなんだろう。やはり、リアリティのダンス、ということ、だろうか。そう、リアリティのダンスとはホドロフスキーの映画だが、、つまりは、課金などの電子でのお金のやり取り歯、リアリティがないのだ。

気がつくと漫画本コーナーである。

今、ジャンプでは『ルリドラゴン』、『サカモトデイズ』、それから、『カグラバチ』が人気がある。

結局バトルものである。とくに『カグラバチ』は日本刀だ。日本刀はかっこいい。あれは殺しの道具だ。殺しの道具が美しいというこの矛盾が、人間の本質のようだ。
『カグラバチ』はまだ4巻までしか出ていないから、集めるにはちょうどいいだろう。

そういえば、この前、NHKの『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』で、漫画家の特集があった。再放送だったが、私は初めて観た。そこで、『平和の国の島崎へ』の作者が登場していたが、この漫画は少し気になっていた。ので、購入しようか迷っている。

だが、とりあえずは、まずは、まだ読んでいなかった五十嵐大介の『かまくらBAKE猫倶楽部』を電子で購入。

電子書籍のいいところは、読みたければその3分後には指先でページを繰っているところだが、然し、紙の匂い、手触りは捨てがたい。
結句、ハイブリッドだなぁ。
 
 
 
 
 
 

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