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デンマークドラマ 『キングダム』 シーズン1・2を観る。

ラース・フォン・トリアーのドラマ『キングダム』の1994年のシーズン1の第1章・第2章、1997年のシーズン2の第3章・第4章をようやく鑑賞。

不可解なことばかり起こる病院。

先に『キングダム/エクソダス『脱出』』を観たため、後からオリジナルという流れ。
トータルで600分近くあり、計10時間弱だった。

結論から言うと、私は今『キングダム』シリーズの虜になっており、このドラマは最高だな!!!と一人興奮しているが、合計10時間あったシーズン1と2も、ストーリーの展開はと言えば、今思えば、実はよく理解していない
俳優も、ステラン・スカルスガルド以外は識らない人ばかりである。デンマーク人キャストがほとんどなのだ。

出てくる登場人物が全てイカれているため(その強弱はあれど)、なんでそうなるんだ?という展開が多いのと、今の展開、意味ある?という、この二重の苦痛が重なり、なんともいえないマゾヒスティックな鑑賞の喜びを与えられた気分。

おそらく、中華統一漫画の『キングダム』の映画が好きな層は1話で放り出すであろうこのシリーズ、毎回毎回、エンディングだけはすごい引きのシーンを入れて、そこからテーマ曲なんだもん、あのテーマ曲大好き。


よくわからないままでも、なんだか続きを観たくなるように作られている。

『キングダム』のシーズン1・2を観たことで、『キングダム/エクソダス(脱出)』に関しての理解が深まったので、それは非常に良かったが、それを踏まえた上でも、いや、おかしいやろ笑と、ツッコミどころ満載である。

然し、冒頭の不気味な漂白上のシーンからタイトルが出るまでの映像はオリジナルと同じものを使用していたり、基本的なストーリー進行の演出が、オリジナルを踏襲しているのは驚いた。
さらに登場人物の役割というか、起こる出来事までもが、シーズン3はオリジナルを丁寧になぞっていて、25年ぶりの続編だというのに、ここまで同一線上の世界だったことに驚く。
確かにこれは続編でありながらリブートである。そして、前作の要素をある種過不足なし消化して畳んでいるので、見事に完結している。

スウェーデン医師のヘルマーは「デンマーク人はクズだ!」といつもブチギレているが、
シーズン3ではそれを彼の息子が引き継ぐ。

シーズン3は、途中で終わった『キングダム』のシーズン1・2を観た主役のカレンが、途中でぶつ切りで終わった作品にキレて続きが気になるわと、病院=キングダムに赴く、というイカれた構成で、ドラマなのか現実なのか、その二つをミックスさせた世界に、堀越二郎と堀辰雄をフュージョンさせた上でそこからさらに宮崎駿を打ち込んだ『風立ちぬ』ばりのウルトラCを観た思い。

シーズン1・2のメイン主人公であるドルッセ婦人は仮病の入院魔で、シーズン3の主人公のカレンは夢遊病者である。
ドルッセ婦人は霊能力者であり、(基本素人だがここに来て目覚める)霊との交信で情報を集めて、カレンはなんか夢遊病かしらんがトランス状態的になり、そこで霊と後進する。

上記のように、メインメンバーが異なれど、それぞれがシーズン1・2の役割を踏襲し、それは幾分か変化を加えられている。
そのため、オリジナルを観て久々に鑑賞に臨んだ人も、記憶が刺激されて、ああ、そうそう、この感じ!と観られたと思われる。

とにかく、このドラマシリーズは今年一番の個人的収穫だった。
こんなに素晴らしいドラマがあるのに、私は観ていなかったので、まだまだ世の中にはたくさん素晴らしいものがあるのだろうなぁと思った次第。

まぁ、普通の作品が好きな人には勧められないが…。

今回、シーズン3のパンフレットは購入して読んでいたのだが、北欧ジャーナリストの森百合子さんのデンマークとスウェーデンにまつわる寄稿文が非常に勉強になり、物語の理解が深まった。なんといっても重要メンバーのヘルマーとヘルマージュニアに関しての理解を深めて、物語の構造に関してもより深いところに入ることが出来る。また、柳下毅一郎氏はどうやら1のパンフにも寄稿しており、今回も。パンフレットは割高の1,300円だったが、必読である。

先日購入した『君たちはどう生きるか』のパンフレットは40ページあるのだが、こちらはほとんどが劇中シーンであり、しかも1ページに1カットを多様しているため、非常に読み応えのない、ファンブック未満のものであったので不満。これは820円したので、パンフレットって高くなったなぁ……。
やはり、最低限の解説的なものを載せて欲しいものだ。特に、『君たちはどう生きるか』は宮崎映画最難解であることは間違いないのだから。

パンフレットなんて久々に買ったね。昔は必ず買ってたけど、年間で数万になると考えもの。

この作品にはスティーブン・キングも触発されて、リメイクをアメリカで慣行したようで、制作は2004年、日本ではWOWOWなどのCS放送などでしか観られなかったようだ。
タイトルは『スティーブン・キングのキングダム・ホスピタル』。

こちらのドラマまで観るのは流石に難しそうだ……。評判を聞く限り、頑張ってはいるが、トリアーの毒や世界観にはキングをもってしても追いついていないと……。それから、これも合わせたら10時間くらいあるようで、流石にそれはたいへんでしゅ…。
金額的にはこちらの方がリーズナブル。






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