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すべてのビジネスパーソンに捧げる『ザ・キラー』

デビッド・フィンチャーの『ザ・キラー』をNetflixにて鑑賞。


お、『インディ・ジョーンズ』の新作か!って全然違うやないけぇ。

久方ぶりのフィンチャー、久方ぶりのマイケル・ファスベンダーである。
マイケル・ファスベンダー、実はもう3年位映画に出ていない。コロナとか、結婚とか第一子の誕生とか、色々なことがあって仕事をセーブしてたのかしら。
そういえば、最近ジョシュ・ハートネットもそんなこと言っていたわね。

まぁ、そんなこんなで、Netflixオリジナルのフィンチャー新作。前作もNetflixで『マンク』という、モノクロ映画を撮っていたが、それには途中で辞めてしまった。

フィンチャーといえば『ファイトクラブ』、そして『セブン』の2大巨頭があるが、まぁ、『ゲーム』とか『ゴーン・ガール』とか、『ドラゴンタトゥーの女』とか、今作はそっち系ですね。軽く観られてすこぶる面白い。

ルーニー・マーラのリスベットは最高に良かったのに、続編作らないんだもね(フィンチャーの)……。『ミレニアム』の原作はミカエルがただのヤリチンで男の妄想小説でしょうもない駄作だけどね。


毎回オープニングクレジットは色々な実験をしているけど、今作もテンポの早い、実験的な映像でね、そしていつものフィンチャー的な画面。陰影の効いているだけど、なんかデジタル感マシマシのあの感じですよ。
パキパキなんすよね、で、そこでマイケル・ファスベンダー演じる殺し屋が暴れる。そう、今作は殺し屋映画なんですよね。
この殺し屋が百戦錬磨なんだけどね、毎回毎回、この男の殺しまでの準備を丹念に、かつカットの切り替え多用してテンポよく見せていく。そこに彼のモノローグが重なるわけなんですが、まぁ、仕事人ですよ。と、思いつつ彼の人生哲学もあってね。なんかね、高尚なこと言ってる風で言っていない、というか、そんで毎回決めるときにピンチになるという、そのあたりの匙加減が面白いなと感じる。

準備に余念のない主人公。脳内で延々と偉そうに喋りつづるが、失敗も多い。

私は完全なイコライザー、つまりロバート・マッコールさん推しなんですが、マッコールさんは既に神の領域、この殺し屋はまぁ、まだまだ人の油断を抱えている。けれども、仕事でミスってテンパって、違う人撃ち殺して焦っても、ちゃんと痕跡は消す、警察をまく、プロフェッショナルなんですよ。
やっぱり人間、ミスをすると焦っちゃう。それはもうしょうがない。そこからの挽回。気持ちの切り替え。それをどうするか、なわけですよ。
仕事の出来る人っていうのは、ミスを犯してもそこで視野狭窄を起こさない、まずはそこで出来る最善に切り替える。そしてハッタリをかます。かつ、茶目っ気を見せつつ。

このプロフェッショナルが淡々と各地を飛びながら復讐者となって殺しまくる。殺しまくるけど、負けそうだったり、油断してて失敗しそう、いや、あんまり油断してないんだけど、そこはやっぱり人間なんで、たまにはねっという感じ。

なんか途中で拳銃を買うところ、『タクシードライバー』の武器商人を思い出したなぁ。

こういうヤツって何者なのじゃろ……。

パリ、ドミニカ、ニューオリンズ、フロリダ、ニューヨーク、まぁ、色々な場所で殺しの旅を続けるファスベンダー。スタイリッシュで絵になる男である。

ぶっちゃけ配信映画だが、今年一番おもしろかったね。小品な感じがとてもいい。肩肘張らない、すごくミニマムで楽しい映画(人は結構死ぬんだけど)。

はじめの出てきたパリのホテル、めちゃくちゃオシャレだったなぁ。ああいう石造りのホテルとかヨーロピアンだよね、憧れちゃうなぁ。


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