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ジェヴォーダンの獣

2002年の春くらいに、『ジェヴォーダンの獣』の映画が公開された。
監督はクリストフ・ガンズ。この後に、傑作である『サイレント・ヒル』の監督を務めた。
その後、レア・セドゥ主演の『美女と野獣』を撮ったが、これは珍作だった。

ジェヴォーダンの獣とは、フランスのジェヴォーダン地方で起きた、正体不明の獣による獣害事件のことを指す。
獣はヴェートと呼ばれている。この事件で、100人を超える女性と子供が死んだ。男は襲われず、女子供ばかりが狙われるのである。
獣の正体には様々な憶測が流れて、狼説、ハイエナ説、フクロオオカミ説など様々である。
これに、人間が加わって、獣飼いの犯人がいるだの、噂は広がっていった。現在においても謎とされている事件だ。ただ、死者だけは確実に存在している。
フクロオオカミはではないと思われる。そんなに大きくないし、目撃証言とは異なる。普通に複数の狼ではないか。飼いならされた。

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18世紀に起きた謎めいた事件である。私はこの事件に妙にロマンをかき立てられる。そして、何よりも、この映画は最高に面白かったのである…。
かなりの馬鹿要素・エロ要素も入っている。フランス映画であるから、エロスはお手の物かもしれない。


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この映画は、ヴァイオンレス伝記ミステリーアクションファンタジーエロモンスター映画である。
つまり、考えうる楽しいことがごった盛りの、闇鍋映画である。けれども、おフランスなので、色彩が淡くて本当にきれい。美しい闇鍋映画なのである。
この美術センスは堪らない。『サイレント・ヒル』や『美女と野獣』も色使いが素晴らしいのだ。ガンズ監督、『鬼武者』の映画化はどうなったんだYO!

フランス国王の勅命を受けた博物学者のフロンサックと、その相棒のモホーク族のマニという二人組が、獣の謎を調べるためにジェヴォーダン地方を訪れるという導入部。
冒頭は土砂降りの寒村から始まるが、このシーンで、主人公たちと地元の連中とのいきなりのバトルが始まる。まさかのカンフーアクションが入り、仰天させられる。え!そんな映画なの!主人公たちめちゃ強い!という、バカ映画の幕開けである。
この映画は、正確には2001年の映画なので、ジェット・リーとか、『マトリックス』の影響を受けているのは間違いないだろう。
このポスターを見て欲しい。なんとも言えぬ、馬鹿映画臭を濃厚に放っている。なんかの大作RPGのキャラクター集合のレイアウトである。ザ・ジャパニーズRPGである。

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このチラシやポスターを見て、私もピンときた。
殺人中毒者並に、濃厚に香る匂いに私も敏感なのである。

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無論、獣も中盤現れて、凄まじい死闘を繰り広げる。この獣は、CGとアニマトロニクスの複合である。
今見れば拙いCGだが、私は素直に感動していた。まだ少年だったのである…。

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さらに、蛇腹剣の使い手も登場する。蛇腹剣といえば、『BLEACH』の阿散井恋次の蛇尾丸である。あんな感じの剣で、その人物は闘うのである。もう少し骨っぽい感じで、いいギミックなんですよ。

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そして、この映画にはモニカ・ベルッチが出ている。世界で一番美しい女性に選ばれて、イタリアの宝石と呼ばれていた頃のモニカ・ベルッチである。そのモニカ・ベルッチとフロンサックのベッドシーンがある。
そこで、モニカ・ベルッチの胸が雪山にオーバーラップする場面転換があるが、20年経ってもまだ私はそのシーンの衝撃を覚えている。

とにかく、この映画にはロマンが満ちている。落とし所なども、史実と異なるかとは思うが、獣の最後は切なくて、泣けてくる。これは、獣萌えの映画でもあったのだ。


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