千年帝国の鷹篇 世紀末のゲームキッズの章
昔、週刊ファミ通を購入していた時に、好きな連載ものがあった。
私は主に、1999年〜2004年くらい、特に2000年くらいのファミ通が最高に好きで、例えばみずしな孝之の『いい電子』とか、鈴木みその『おとなのしくみ』などの連載漫画や、ファミ通編集部の週報的な記事、編集部員が1ページ使っての好きなゲームの濃厚なReview記事、さらにはファミ通瓦版的な読者ページなど、大好きなものが山程あり、それが330円という、破格の時代だった。
内容も当時のゲーム業界の勢いも相まって、まさにあの時代はバブルだったのだろう。
その中にあったものの中で、渡辺浩弐氏のショートショート小説集の『ゲームキッズ』シリーズがあった。
基本的には雑誌1ページ分で、ショートショートなので1話完結。多分原稿用紙3枚とか4枚くらいの文字量だろう。
『ゲームキッズ』は何種類もあって、『1999年のゲームキッズ』、『2000年のゲームキッズ』、『2999年のゲームキッズ』などなどあり、まぁ、その他に何種類もあり、そこらへんまでは私はカヴァーしていないのだが、『令和元年のゲームキッズ』なる作品もあり、ああ、まだ出ていたんだと衝撃を覚えた。
私が読んでいた『1999年』とか『2999年』とかは、まぁ、ディストピアを舞台に、毎回毎回奇妙なガジェットなどが登場したりして、基本的にはダークなオチに帰結するなかなかハードな作品で、このアイロニカルなユーモアに、私は毎度連載で楽しませてもらっていたものだ。まだ子供だったので、ハードな展開にそそられたものだ。
そういえば、当時、『いい電子』の中、みずしな先生が『ベルセルク』を一気読みしてドハマリする話があったが、私も大体この時期、確か14歳で読み始めたのだが、当時クラスメートの女の子が、「これも最高に面白いよぉ。」という感じで貸してくれて、その面白すぎる内容に完全にノックアウトされたのが『ベルセルク』との出会いで、当時は17巻とか18巻とかくらいまで出ていたような。
で、この時に、ちょうど『千年帝国の鷹篇・喪失花の章』という三浦建太郎氏監修のオリジナルストーリーが展開されるドリームキャストのゲームが発売されており、その紹介で『いい電子』で取り上げられていたのだ。私は中古で購入したが、まぁ、テイストは『ロスト・チルドレンの章』の匂いを感じさせて、これぞ『ベルセルク』といえる、ゲームとしては珍作だが、漫画の延長線上にある紛うことなきベルセルクだった、と完全に話が脱線。
さて、『ゲームキッズ』のゲームは連載でも挿絵を担当していた夢野れい氏の絵が使用されていて、世界観はそのままだ。
なにせ世の中は世紀末だったり、2000年問題とか、テロの時代に突入したりして、殺伐としていた時期でもあり、その世相と非常にマッチしていたのである。
そもそも、この時代はゲームも不気味であり(とはいえ、いつの時代も暗黒面はあるため、このような相対化絶対化はよくないかもしれないが)、プレイステーションでサウンドノベルシリーズやPCエロゲーの流れを組んでいるような、『やるドラ』シリーズも妙に不気味な味わいがあり、家に置いておきたく感じだった。
世紀末、90年代の澱というものは間違いなく同時代の作品に沈殿しており、それは2000年代半ばまで渦巻いている感じがする。
新装版の絵のタッチはどうにも作風にマッチしておらず、やはり、世紀末のあの感じは、オリジナルの絵柄がよく似合う。
そして、つい先々月も、『2030年のゲームキッズ』なる本が発売されていて、うーん、ゲームキッズはいつの時代も、どの時代にも、これからも増殖していく、新たなガジェットを駆使しながらと思ったものである。
ある種、何よりも世相というものを反映しているのかもしれない。
いずれ、3000年のリアルゲームキッズは、私のDNAを使って肉体を再生、ある種の転生をさせて、ゲームのコマとして星間戦争へと送り込むかもしれない。本当に、たまたまに選ばれてしまって。