【徒然草 現代語訳】第百六十六段
神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。
原文
人間の営みあへるわざを見るに、春の日に雪佛を作りて、そのために金銀珠玉のかざりをいとなみ、堂を建てむとするに似たり。そのかまへを待ちて、よく安置してむや。人の命ありと見るほども、下より消ゆること雪のごとくなるうちに、いとなみ待つことはなただ多し。
翻訳
人がせっせと励んでいる仕業を見るに、春のよく晴れた日に雪仏を作り、金銀珠玉の飾り付けをして、お堂まで建てることと似てはいまいか。お堂の完成した暁に、首尾よく雪仏を安置することが果たしてかなうだろうか。まだまだ生きられるだろうと甘く見ているうちに、足下から消えてゆくのはさながら雪のよう、にもかかわらずあれこれと画策し夢見ては実現される日を待っていることのなんと多いことか!
註釈
○安置
読みは「あんぢ」。
雪仏(雪だるま)って、700年前にはもう作られていたんですよ。
追記
「ポーの一族」に、確かメリーベルが足元から砂になって消えてゆくシーンがありましたね。