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【徒然草 現代語訳】第百三十三段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

夜の御殿は東御枕なり。おほかた、東を枕として陽気をうくべき故に、孔子も東首し給へり。寝殿のしつらひ、或は南枕、常のことなり。白河院は、北首に御寝なり。北は忌むことなり。また、伊勢は南なり。大神宮の御方を御跡にせさせ給ふこと、いかがと、人申しけり。ただし大神宮の遥拝は巽にむかはせ給ふ。南にはあらず。

翻訳

お上のご寝所は東枕である。大体において、東枕で寝ると陽の気を受けるとのことで、孔子も東枕になさっておられたという。貴族たちの寝殿の造作が南枕となっているもの、これまた常識。ところが、白河院は北枕でおやすみになられた。「北は忌むべき方角である。と同時に、伊勢は南。大神宮のおわします御方角に御足をお向けになって御寝なさるのは、いかがなものでございましょう」とある方が申したそうだ。とは云うものの、お上が伊勢神宮を遥拝なさる際には東南に向かわれる。南ではないのだ。々ある。

註釈

○夜の寝所
読みは「よいのおとど」。

○東御枕
読みは「ひがしみまくら」。

○東首
読みは「とうしゅ」。


白河院が北枕で寝たのは、興福寺を足蹴にせんとの意図だったという説もあります。

追記

北枕は風水では運気アップとされています。ちなみに我が家も北枕です。

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