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【徒然草 現代語訳】第百十三段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。

原文

四十にもあまりぬる人の、色めきたる方、おのづから、しのびてあらむは、いかがはせむ。ことにうち出でて、男女の事、人のうへをもいひたはぶるるこそ、似げなく、見苦しけれ。

大かた聞きにくく見苦しきこと。老人の若き人にまじはりて、興あらむと物いひゐたる。数ならぬ身にて、世の覚えある人を、へだてなきさまにいひたる。まづしき所に、酒宴好み、客人に饗応せむときらめきたる。

翻訳

四十をすっかり越えた人が、色恋にうつつをぬかし、それでもこっそりやっているのなら、どうかとは思うがまぁそれはそれで仕方がない。わざわざ言葉に出して、男女間のあれこれや、あろうことか他人の色恋沙汰にまではしゃいで言及したりしているのは、年甲斐もなくみっともないことこの上ない。

大体において聞くに堪えない目も当てられないもの。年寄りが若者に混じって、ウケ狙いで喋っている姿。下賤の分際で、世に聞こえた方のことを、あたかも旧知の間柄のごとく話題にする態度。貧乏人のくせにやたら宴会好きで、しょっちゅう人を招いては盛り上がっているさま。

註釈

○四十
読みは「よそじ」。

○老人
読みは「おいびと」。

○客人
読みは「まれびと」。

○饗応
読みは「あるじ」。


人生五十年時代なら40歳過ぎは老境。今なら70歳過ぎ、人生百年時代だそうですから下手したら80歳過ぎの感覚でしょうか。
兼好の挙げている三種類の爺さん婆さん、私の周りにもうじゃうじゃいますよー。中には三つとも兼ねてる強者もいます。

それにしても、老害って700年前からあるんですねぇ。ダメじゃん!

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