見出し画像

【徒然草 現代語訳】第四十五段

神奈川県大磯の仏像専門店、仏光です。思い立ってはじめた徒然草の現代語訳、週一度程度で更新予定です。全244段の長旅となりますが、お好きなところからお楽しみいただければ幸いです。


原文

公世の二位の兄に、良覚僧正と聞えしは、極て腹あしき人なりけり。坊の傍に大きなる榎の木のありければ、人、榎の木の僧正とぞいひける。この名然るべからずとて、かの木をきられにけり。その根のありければ、きりくひの僧正といひけり。いよいよ腹立ちて、きりくひを掘り捨てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、堀池僧正とぞ言ひける。

翻訳

従二位藤原公世の兄上で、良覚僧正と申された方は、とてつもない怒りん坊であられたらしい。お寺の傍に榎の巨木があったので、人は榎の僧正と呼びならわした。その名が不届き千万とのことで、榎をばっさり切られておしまいになった。にもかかわらずまだ切り株が残っていたため、次についた呼び名が、きりくいの僧正。その渾名がますますもってけしからんと、株を堀りあげ棄て去ったものの、その跡には大きな堀ができてしまったので、またしても堀池僧正と呼ばれる羽目になったそうな。

註釈

○公世の二位
藤原公世(ふじわらのきんよ)。鎌倉時代後期の公卿。笙の名手として名高い。

○良覚僧正
りょうがくそうじょう。天台宗の大僧正。

○堀池僧正
読みは「ほりけのそうじょう」。


「徒然草」ならではのゴシップ段。
ここまで悟ってない人でも大僧正になれるんですねぇ。
私も怒りっぽい人(の話)は大好きです。

この記事が参加している募集

#古典がすき

4,015件