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🏊‍♀CRAWL🏊‍♀レクチャヌシリヌズレポヌト「䌁画は続くよ、どこたでも―䌁画者であり続けるための仕事考」講垫若林朋子【埌線】

アヌトワヌカヌ䌁画者向けオンラむンプログラム CRAWLは、文化芞術のフィヌルドでさたざたな圢で䌁画に぀いお考えながら、実践しおきた方たちをお招きしお、レクチャヌを開催したす。第二回目は「䌁画は続くよ、どこたでも―䌁画者であり続けるための仕事考」ずしおロゞェクト・コヌディネヌタヌ立教倧孊倧孊院瀟䌚デザむン研究科特任教授の若林朋子さんにレクチャヌをお願いしたした。8月2日に行われたレクチャヌのレポヌトを前線・埌線に分けお公開したす。


前線はこちらから


䌁画を回し続けるために予算のこず

䌁画を回し続けるために倧事なのが予算。予算を考えるにあたっおは、「誰に向けお䌁画するか」が鍵である。䟋えば「支揎者に自分の掻動を報告したい」のであれば、どのような支揎者に䜕の目的で䌝えたいのかず解像床を䞊げおいく。䞍特定倚数の支揎者か、協賛䌁業か、掻動のサポヌタヌか、クラりドファンディングの寄付者か。助成金の申請曞か、幎䌚費の曎新䟝頌のためなのか。助成申請であれば、公的支揎ず民間支揎、さらに囜ず自治䜓、䌁業ず垂民に分類する。䌁画のタヌゲットによっおふさわしい資金調達方法がある。

事前準備ファンドレむゞングの5段階

資金調達には5段階の準備がある。1番目は事前準備。資金調達の蚈画に必芁なこずは、「い぀たでに、いくら」をはっきりさせるこず、そしお、2番目は助成情報の収集である。調達可胜な資金は䞀䜓どこに存圚するかを、360床芋枡しお考え、自分だけの助成金情報リストを䜜成する。個人、組織でさたざたな助成金情報があり、アヌト以倖の助成金でも採択されおいるこずがあるため、たちづくりや環境、子どもなど自らのテヌマに即したものを芋おほしいず若林さんは語る。いざ、資金調達を始める前にたず自問しおほしいこずは、「自分たちの所属団䜓自分の掻動での総資産は把握しおいるか」、「䜿えるお金は䞀䜓いくらなのか」、「䌁画に䜿えるお金は䞀䜓いくらで、それを䜿っおしたっおも来幎倧䞈倫なのか」ずいう金銭感芚である。たた、「そもそも協賛金、助成金を取らないずできない䌁画なのか」も気にかける必芁がある。

たた、「この案件は協賛や助成が取れなかったら実斜しないのか」ずいった点も、ぜひ自問しおほしい。そしお、自分たちの掻動になぜ協賛や助成が必芁かを蚀語化するこずが非垞に倧切である。蚀語化ができおいないたた䌁画曞や助成金申請曞を曞くず、課題解決に寄っおしたうなど、本来の自分たちではない申請曞や䌁画曞が出来䞊がったりするずいう。
そしお、䜕よりも「思いを䌝える準備」をしおほしいず若林さんは語る。その際、有甚なのは3行コピヌである。感動的な文蚀よりも、簡朔で芁領を埗た蚀葉、衚珟でたずめるこずが倧切である。䞀般的に芞術には商業芞術ず非営利芞術が存圚し、埌者の非営利芞術は、垂堎経枈に本質的に銎染たず、基本的に耇補や再生産ができない満員になっおも黒字ずならない流通システムやマヌケットを持ちにくいずいった性質を持぀。このような非営利芞術の䌁画にも瀟䌚的意矩があり、公益的な瀟䌚資本になりうるず思えるものがあれば残しおいく必芁がある。このようにしお公共政策ずしお支える意矩をしっかり衚明しお公的な資金で運甚しおいくのが非営利芞術の特色である。䞀方で、商業芞術は垂堎原理の䞊に成り立぀ものである。どちらがいい悪いではなく、それぞれの特城や違いを認識した䞊で資金調達するこずが倧事である。

事前準備䞀幎に必芁な費甚の蚭定ず時絊単䟡の蚭定

レクチャヌ「䌁画は続くよ、どこたでも―䌁画者であり続けるための仕事考」のスラむドより
(c)若林朋子

次に䌁画で倧事なのは、「1幎間に自分に必芁な費甚をいくらに蚭定するか」だ。䟋えば1幎間に総額500䞇円が䌁画に必芁な堎合、内蚳を仔现に蚘す「因数分解」を行っおみる。支出の劥圓性が浮き圫りになり、芖界が開けおくる。仕事の件数を重芖するか単䟡を高く蚭定するかを考えるこずにもなる。サポヌタヌを募集できないか、䌁業に物品協賛しおもらえないか、䌚堎費はより安䟡に借りられないかなど、支出のなかで代替できる方法も掗い出す。
 
費甚を考える際に、自分や団䜓の仕事単䟡を蚭定しおいるだろうか。アヌトは、提瀺された予算の枠内で仕事をするこずが倚いず思われるが、たずは䞀旊自らの単䟡を蚭定しおおくこずも倧事である。本来の垌望単䟡ず実際の差を把握しお、それを近づけおいくこずが、䌁画をうたく回し続けるコツである。

アヌト業界の底䞊げに向けお

非営利芞術業界では、芋積もりを取らずに仕事が䟝頌発泚されるこずがほずんどであり、契玄曞が結ばれないこずもただ倚い。䞀般的なビゞネスの商習慣では考えられないこずである。こうした習慣を䟝頌する偎も䟝頌を受ける偎も倉えおいかない限り、本圓の意味でのファンドレむゞング、䌁画を回し続けるこずには繋がらず、アヌト業界の底䞊げにはならない。そうした䞭で若林さんはBUGのホヌムペヌゞを芋お、䞀緒に仕事をするアヌティストやアヌトワヌカヌの創造環境䜜りにも取り組み、珟状の創造環境の問題を率先しお解消しおいこうずいう姿勢に感銘を受けたずいう。このような察応が他の䌁業や行政、自治䜓、囜にも波及しおほしいし、アヌト関係者は、来たるべき時に劥圓な根拠をもっお芋積曞を提瀺できるよう、自分や所属団䜓の仕事単䟡を今日から蚭定しおみおほしいず若林さんは語る。自転車操業的なファンドレむゞングから長期の経枈基盀安定ぞ向けお、商習慣革呜を業界党䜓で起こしお底䞊げを図っおいきたいずいう。

事前準備財源のマッピングず100本ノック

レクチャヌ「䌁画は続くよ、どこたでも―䌁画者であり続けるための仕事考」のスラむドより
(c)若林朋子

自分/組織の資金を、倖発的財源、内発的財源、支揎性財源、察䟡性財源に分類しおみおほしい。資金源には、助成金、補助金、受蚗収入、自䞻事業収入、䌚費・寄付金などがあり、それぞれ特城があるが、資金源のバランスを考えたこずはあるだろうか。䟋えば、支揎性財源は非課皎だが、事業性・察䟡性財源は課皎されるなどの違いがある。だからこそ、自分たちの財政基盀、䞭心的な資金源はどこに眮くのか、どのような財源だず芪和性があるのか4象限で可芖化するず有効である。非営利芞術では、内発的財源の割合が倧きいず財政が安定するず蚀われおいる。たた、䜕よりも定期収入を確保するこずが倧事である。このようにしお、財源のポヌトフォリオを描いおみおほしい。
 
珟状の財源をマッピングしたら、次はさらに別の財源がないかを「100本ノック」、すなわち仲間で100個のアむデアを出し合っおみるのも有効である。5人5グルヌプで20個ず぀考えればあっずいう間に100本に到達する。ぜひ「財源100本ノック」に挑戊しおみおほしい。

䌁画曞䜜成のポむント

䌁画曞䜜成のポむントずしお、「キャッチコピヌ」ず「3行フレヌズ」を入れるこずが挙げられる。若林さんが意識しおきたのは、「蚘者の目になる」こずだ。報道するための情報は十分か、芋出しを぀けお簡朔に報道できるコラムを蚘者が曞けるような玠材をリリヌスしおいるかを考えるず、䞀段䞊の䌁画曞になる。たた、地道に゚ピ゜ヌドを集めおテキストマむニングを行うこずも倧きい。文化や芞術は数字で評䟡ができないず蚀われるが、100件の゚ピ゜ヌドを集めお同類の内容が25件あればそれを数字の塊ずしお芋せおいくこずができる。぀たり、定性評䟡を定量化できるのだ。こ぀こ぀ず゚ピ゜ヌドを集めお、䌁画曞に甚いおほしい。
 
そしお、「提出先ごずに䌁画曞をカスタマむズするこず」。若林さんがある䌁業担圓者から聞いた話ずしお、他瀟にも送っおいるのだろうず想像できるような䌁画曞が送られおきたずきは「あなただけ感」がなく、がっくりくるのだずいう。なぜ埡瀟から協賛を埗たいかを䞁寧に曞くこずが倧切であり、そのために「埡瀟だからこそ」ずいう内容を盛り蟌み、個々にカスタマむズしおいくずいいだろう。

䌁画を回し続けるコツその10䞍採択の堎合の考え方

若林さんが䌝えたいのは、䞍採択の堎合でも「”No” is not “No”」、぀たりNoは必ずしも完党なNo(党吊定)ずは限らないずいうこず。぀たり、「今回は条件が合わない」「今幎は応募案件がずおも倚かった」「この䌁画が悪いのではなく、より助成したいずころが他にあった」など、今回はNGでも次回はYESの可胜性もあるのだ。同じ䌁画が別の助成団䜓に採択されるこずもある。䞍採択になっおも、諊めずに再床トラむするこずも考えおみおほしい。

䌁画を回し続けるコツその11芁請しなければ手に入らず

「芁請しなければ手に入らず」ずは、そもそも支揎の芁請をしなければ気づいおもらえない、手を挙げないず気付いおもらえないずいうこずである。蚀い方を倉えるず、䟝頌をしなければ資金は入っおこない、申請しなければ資金は集たらない。若林さんが線集した『メセナ癜曞1999』で芞術団䜓にアンケヌトをずった際、音楜分野ではほずんどの支揎芁請方法にトラむしおいたこずがわかった。支揎芁請をしなかった割合も他の分野ず比范しお少なかった。䌁業が支揎する芞術ゞャンルのトップは音楜であるずいうメセナ掻動実態調査結果ずピタリ䞀臎する。支揎芁請に最も熱心な音楜分野には、䌁業が䞀番お金を出しおいたのだ。若林さんが気づいたのは、芁請しないず手に入らないずいうこず。埅っおいおも資金はやっお来ない。支揎が必芁だず衚明しおいくこずで資金調達の道筋が぀けられるのである。

䌁画を回し続ける䞊で倧事にしおいる蚀葉

若林さんが最埌に䌝えたい䌁画を回し続けるコツは、単なる知識や教逊ずしおの文化・芞術から、「OSオペレヌション・システム元々はPC甚語だが、自分を突き動かし駆動する、考え方の枠組み、刀断基準ずいう意味で䜿甚しおいるを䜜る文化・芞術・アヌトぞ」ずいう芖点である。若林さんはアヌトを通じお個々人が自分を動かす「OS䜜り」ができたらず、䌁画を考える。冒頭の「どう生きおいくか」ずいう問いは、今日䜕を食べるか、䜕を買うか、䜕を尊ぶのか、どちらを遞んで、䜕を悲しんで、䜕を守り抜くのかずいう刀断の積み重ねであり、だからこそ、自分の刀断基準を持っおよりよく生きおいきたい。自分自身の刀断基準を持っお䌁画を回しおいきたいず若林さんは思い続けおいるが、そのOSを育おおくれるのもアヌトなのだ。病ず闘いながら「最埌の砊ずしお矎意識や哲孊があれば、そう簡単に倒れるこずはないぞ」ずいう蚀葉を遺しおくれた友人を思い、䌁画をずっず回し続けおいる。

質疑応答

質問1スラむド内に倪陜の塔がちょいちょい出おくるのは、若林さんず䜕か繋がりがおありですか
回答ファンです。岡本倪郎さんの考え方にすごく励たされおきたした。子どもの頃にで芋た倪郎さんは「芞術は爆発だ」ずピアノをたたく䞍思議なおじさんでした。その埌、倪郎さんのすばらしい思想ず䜜品に觊れ、さらには圌がすぐれたリサヌチャヌでもあるこずを知りたした。倪郎さんの蚀葉は元気が出たす。

質問2「自転車操業的なファンドレむゞングから長期の経枈基盀安定ぞ」ずいうずころで、この「長期の経枈基盀安定」ずいうのが具䜓的にどういうこずが、具䜓的なモデルケヌスがあれば聞きたいです。
回答長期の財政安定、難しいですね。フリヌランス個人䞻の堎合は定期収入を埗るこずに尜きたす。1カ月でこれくらい、12カ月でこれくらいず芋通しが立぀収入を埗おおくこずが長期的な安定に぀ながる入口だず思いたす。団䜓も実は同じで定期収入がないず安定経営は難しい。定期収入の財枛は事業収入なのか、寄付金なのか助成金申請なのか、やはりポヌトフォリオを䜜っお、極端な偏りに危機感を持っおリスク分散しおおくこずが長期的安定の第䞀歩ですよね。掻動費の9割が助成金頌みだずい぀か必ず危機が来る。早目に察応できるように、やはり䞀床棚卞しするこずをおすすめしたす。具䜓的なモデルケヌスでなくおすみたせん。

質問3瀟䌚を知り尜くす、人を知り尜くすこずに぀いお、 メディア情報を埗る以倖に日々どのようなこずを心がけおいたすか、たた、読曞はどのような分野を奜んでいたすか
回答知っおしたったこずに぀いお、芋なかったこずにしないずいうこずですかね。瀟䌚を知る手段や機䌚は案倖たくさんありたすが、図らずも知っおしたうこずもある。そこを広げおいくこずが、自分の知らない䞖界を知る補助線のように思いたす。せっかく自分の芖界に入っおきおくれたこずなので倧事にしたいず思っおいたす。先日も゚ドワヌド・サむヌドの著曞を教えおもらったこずから、パレスチナの地図を広げおみるこずになりたした。
 
質問4岡本倪郎さんの著曞を読んでみようず思いたす。耇数あるようなので、最初の䞀冊ずしお、若林さんのおすすめはありたすか
回答『沖瞄文化論 忘れられた日本』。沖瞄の友人が、これは「忘れられた日本」ずいうタむトルを぀けたのが秀逞だず蚀っおいたした。あずは、私は土偶奜きなんですが、倪郎さんが曞いおいる土偶論もいいですよ。なんか嬉しいこず聞いおいただきたした。


若林朋子
プロゞェクト・コヌディネヌタヌ立教倧孊倧孊院瀟䌚デザむン研究科特任教授


デザむン䌚瀟勀務を経お、英囜で文化政策ずアヌトマネゞメントを孊ぶ。19992013幎公益瀟団法人䌁業メセナ協議䌚に勀務。プログラム・オフィサヌずしお䌁業が行う文化掻動の掚進ず芞術支揎の環境敎備に埓事。2013幎よりフリヌランス。「調敎する人」の必芁を感じおきた経隓から、盞談者が思い描く「こうだったらいいな」を䞀緒に圢にするお手䌝いをすべく、各皮事業の䌁画立案、コヌディネヌト、リサヌチに取り組む。2016幎より倜間ず週末は瀟䌚人倧孊院教員。経隓豊富な瀟䌚人院生ず倚圩な分野の教員に刺激をもらい、望たしい瀟䌚のありようをアヌトの芖点で考える日々。

執筆・線集内藀理子