そのSEOは、なんのため?~SXO的SEOの実践手法~2/3

前回に引き続き、SXOの視点をもったSEO手法のお話。『ライティング(文章の中身)』を主軸に、どんな文章にしたら良いページだと思ってもらえる(≒検索順位が上がる)か? の、続きです。

・これをやっとけ!(前回ページで解説)
・これはやっちゃだめ!+対策方法(このページで解説)
・小ワザ(別のページで解説)
上記のように切り分けたうち、今回は「これはやっちゃだめ!」的なお話と、それに対する対策方法のお話をしていきます。

結論:E-A-Tがなく、騙したみたいなページはダメ

結論は、上記のとおりです。

簡単に言うと、Googleのガイドラインの真逆を行くようなページ。そんなページは、当然のごとく、Googleから評価されないからです。

Expertise(専門性)
Authoritativeness(権威性)
Trustworthiness(信頼性)
が、ないページも、あまり重要なページではないとAIによって判断され、表示順位が下がってしまう可能性があります。

上記を基礎知識としつつ、ここからは、ついやってしまいそうな間違いを、具体例を交えて見ていきましょう。

何でもかんでも盛り込んで、専門性を下げてしまう

たくさんの単語が入ったページを作ったほうが、検索ワードに引っ掛かって、ページに来てくれる人、増えそうですよね。

ですが残念ながら、そんなことはありません。

いろいろな情報を盛り込み過ぎて「薄ぼんやりしたページ」になると、Googleが大事にしているE-A-Tの「E」である、Expertise(専門性)が下がってしまいます。

1ページ1メッセージ、くらいに割り切ってしまいましょう。
「この話題、入れるか? 入れないか?」と、迷うくらいなら、入れないのがSEO的には正しい判断です。

施策や方針をすぐに切り替えてしまう

あれをやってダメだった、じゃあ次はこれ……それもダメなら今度はこっち、というように、矢継ぎ早にいろいろなSEO施策を取り入れてしまうかもしれません。

特に、上司から早く成果を出すように言われていたりしたら、やらないわけにはいきません。(やってる感も出さないといけないですしね。)

ですが最近のSEOは、Googleの精度が上がってきたこともあり、「これだけやってりゃ、検索順位爆アゲヤッホー!」みたいなことは、ありません。Googleのガイドラインに従い、SEOもマーケティングの一部として、正しい施策を愚直にやっていきましょうね、みたいな感じになってきています。

長期的に上がっていく、積み上げていくような、地固めをしていくようなSEOになりつつあるので、短期的な評価は下しにくくなっています。
そのため、ことSEOの領域で『爆速PDCA』とか言ってるヤツは、時代に取り残された平成インターネットマンです。

一つの施策を行ったら、それが正しかったかどうかは、じっくりと成果に表れてきます。
それじゃ成果を上げるのが間に合わないよ! というお急ぎの方は、ページ全体に「効果があるとされる施策」を、「同時並行でいくつも」進めていくことがオススメ。
個々の施策の効果測定は難しくなりますが、何か一つの施策に全賭けしてボロ負け、みたいなリスクを回避できます。

安易に「〇〇とは?」系のページにしてしまう

これは施策次第です。あくまでNGなのは、「安易に」してしまうこと。

「〇〇とは?」系のページがそこらじゅうに溢れていますし、検索する側としては有用です。ですが、自分の施策として採用する際、「〇〇とは?」系のワードを取りに行くかどうか、そのようなページを作るかどうかは一考しましょう。

理由は、たどり着いたユーザーのアクション率が低いからです。

「〇〇とは?」で検索する人のモチベーションは「〇〇を知りたい」というもので、その人の目的は「〇〇を知ること」である可能性が高いです。
つまり、〇〇を買うためにページを訪れたわけでもなければ、何かアクションをしたり(具体的に言うと、買ってくれたり申し込んでくれたり、ページの主にお金を落としてくれる行為をしたり)しないのです。

なぜなら、〇〇について解説しているページにたどり着いて、〇〇のことを知ったら、目的が達成されて帰ってしまうから。

それよりも、「〇〇+値段」や、「〇〇+地域名(東京とか、渋谷とか)」や、「〇〇+方法/やり方/買い方」など、別のアクションにつながりそうな単語も追加し、複合でワードを取りに行ったほうがよいです。

値段が知りたいのは、買いたい人。アクションしてくれそうですね。
地域名で検索しているのは、その地域で探している人。行動に移す可能性が高いです。
方法とかやり方とか買い方とかで検索している人は、比較的切羽詰まっているというか、緊急度が高そうです。そのため、ページ訪問後のアクション率が高くなります。

もちろん、総合的な施策の一環で、戦略をもって「〇〇とは?」のワードを取りに行くのは問題ありません。

ビッグワードを取りに行ってしまう

例えばあなたが、ファッションの通販サイトを運営しているとしましょう。

「そうだ! ”ファッション”って単語で、検索1位を取ればいいんだ!」
ってなりますよね。
無理ですよね。

「じゃあ、仕方ないから”通販”って単語で検索1位を取るぞ!」
ってなりますよね。
無理ですよね。

いろいろな人が検索しがちなワードは「ビッグワード」と呼ばれたりしています。いろんな人が検索するから、上位表示を取れればビジネス的な価値がある! みたいな感じに思う人も多いのですが、そういうワードには、もうだいたい先客がいます。
ビッグワードには大手がいて、検索の仕組み上、大手が勝ち続ける構造である、という話は以前にしました。

ビッグワード合戦で疲弊するよりは、スモールだけど確実に需要があるワードを狙っていきましょう。
前述のファッション通販だったら、もっともっと細かいファッションジャンルの特集ページを作る、とかでしょうか。
そうすれば自ずとExpertise(専門性)も上がり、Googleガイドライン的な評価も上がります。

表記ゆれで、ページの「取りたいワード」が一定にならない

売り上げ」と「売上」と「売上げ」って、同じ意味の単語だし、読みも同じですよね。
ですが、Googleは「別のワード」として判断しています(っぽいです)。

「そのページのキーワードが何か」みたいなものは、AIがページを読んで判断しています。そのとき、ページに何%くらい含まれているか、みたいなもので、「このページのキーワードはこれだな」とAIが決めている感じだそうです。

ページのなかで「売り上げ」と「売上」と「売上げ」という単語が出てきたら、そのページのキーワードが「売り上げ」なのか「売上」なのか「売上げ」なのか、AIでは判断できません。

このように、複数の表記方法があり、書き方が揺れ動いてしまっている単語(表記ゆれがある単語)は、ページのなかでどの表記にするか統一しておきましょう。

ただし、「表記は“売上”で統一するぞ!」とした場合、ユーザーが「売り上げ」で検索したら、引っ掛かりません。少なくとも、順位は上に表示されないのです。
売上」では「売り上げ」のキーワードは取れない。
だから、表記ゆれが生じたとき、どの語で統一するかはキーワードの検索数を調査してから決めましょう。

※↑「っぽい」とか「感じ」とか、大変よくない、権威性と信頼性に劣る表現をしまくっていますが、Googleがキーワード選定方法を明確にしていないので、けっこう経験則とウワサによる判断です。
※この項の問題は、AIの判断力が向上したら、いずれ大丈夫になるかもしれません。

キーワードを入れ過ぎてしまっている

先ほど、ページのキーワードはAIが判断している、と書きました。ページの文章量のうち、だいたい2%~5%程度が「その単語」で占められていたら、それがキーワードとして認定されるようです。

ですが、キーワードを取りたい想いが先行しすぎて、キーワードを入れ過ぎてしまうと、AIから「アヤシイぞ、このページ」と思われてしまう可能性が出てきます。

どうやら、以前紹介した、隠し文字で芸能人の名前を入れまくってた、みたいな、キーワード羅列ページのような、何かよからぬことをしているのでは……? と、判断されてしまうようなのです。

ページの全体文字数と比較して、キーワードが10%くらいに達していたら、書き直しや構成の変更を検討しましょう。

被リンクは買わない。分不相応な評価こそ恐れよ

たくさんリンクしてもらっているページは、それだけ「他者から評価されている、いいページなんだな」とAIが判断してくれるようです。

あなたのページへのリンクが載っている別のページが、インターネット上にたくさん存在している、という状態が理想。
(あなたのページにリンクがたくさんあるという意味ではありません。)
自分のページが、いろんなサイトのリンクに載っていたり、引用されたりしていれば良いわけです。

このような被リンクを増やす手段として、かつて「あなたのサイト、僕がもっている大量のダミーサイトに、リンク張りまくってあげますよ。お代は〇〇円。」みたいなサービスがありました。
このようなサービスを使って、不当に被リンクを増やす行為、それが「被リンクを買う」ということです。

これはやめたほうがいいでしょう。

理由は、「評価が高いページからのリンクは高く評価される。半面、評価が低いページからのリンクは低く評価される。」っぽいから。
なぜ「っぽい」なのかというと、Googleが詳しくは明かしていないからです。

被リンク屋がもっている大量のダミーサイト、たいして更新とかもしないので、ページ評価は低いはずです。そんな評価が低いページに大量のリンクを張られたら「ページ評価が低いページからめっちゃリンクされてる! このページの評価も下げたれ!」となってしまうっぽいです。

めっちゃ強いページをもってる被リンク屋も、きっといるのでしょう。ですがそれらもGoogleのAIの進歩にはついていけず、いつか水増しした評価のツケを払わされることになると思います。今までがそうでした。

評価が高いページからの被リンクを稼ぐ手段は一つ。長く続け、良いページを作ること。そうすれば、見つけた人が正当に評価してくれます。コンテンツマーケティングをやりきるしかないです。

絶対NGシリーズ:ウソの経歴やデータを載せる

Authoritativeness(権威性)やTrustworthiness(信頼性)を高めるため、つい存在しない科学者に登場してもらったり、ウソの検証データを載せたりしていませんか。

人としてどうなの? 制作を生業にする者として、その行為はどうなの? と思いますが、これはビジネス的にもやめたほうがいいでしょう。

バレた際のリスクが大きすぎるためです。

体力のある企業ならいいですが、記事の訂正対応や謝罪・説明に時間を割かれ、数か月も商品の売り上げが低下しつづけたままだと、大抵の企業は潰れます。
あと、部下とかに指示してやらせているとしたら、その部下は絶対に覚えています。手を汚す人の人数が増えるほど、バレる確率も上がっていきます。
バレないように一人で事を行うと、バレたときの責任をすべて被せられます。
しかも、そうまでして上げたE-A-Tが効果を発揮するのは、しばらくあとに、じんわりと。かつてのイケナイSEO手法みたいに、一時のブーストにすらなりません。どちらにしろ割に合わないので、ウソはやめましょう。

むしろ制作チームを率いる人は、部下やチームに成果を求めるあまり、誇張表現やウソになりかねないページを部下たちが作っていないか、目を光らせる必要があります。

絶対NGシリーズ:炎上やヘイトを煽る内容

ここで言う「炎上」マーケティングは、意図的に攻撃的な内容を発することを意味しています。

「怒り」の感情を煽るようなページは、扱いが難しいです。特に、特定の人物や行為、集団・思想などにヘイトを向ける内容はやめておきましょう。

その理由は簡単。一つは、炎上すると収拾がつかないから。狙い通りに衆目を集めることができても、「どのような衆目を、どのくらい集めるか」をコントロールできません。

某ツイッタランドでよくある出来事ですが、
【序】攻撃力1くらいの差別発言を投下。何も起こらない。
【破】攻撃力2くらいの差別発言を投下。何も起こらない。
【急】攻撃力3くらいの差別発言を投下。めちゃめちゃバズって引用RT数万とかで晒されて数万人にバカにされて嫌われて、殺害予告とかもされて、めっちゃボコボコに論破されてアカ消し逃亡。

↑こんな光景、見たことはないでしょうか。見たくなくても、目に入ってきたりします。

正義の怒りを燃やしている系の人が、「こんな投稿、許せない!」みたいにして晒している投稿、ありますよね。苦痛でなければ、試しに晒されている人の、過去の投稿を見てみてください。
まぁまぁ差別的な発言もあるんですが、「え、これ今回の発言とそんな変わんないけど、この投稿には誰も反応してないんだなぁ」みたいなこと、よくあります。
過激な投稿をしても効果がなさそうだったり、ちょっと「いいね!」されて調子に乗ったりすると、少しずつ過激になります。そして、超えてはならない一線を知らず知らずのうちに踏み越え、大惨事を引き起こします。どこで火がつくかわからないし、その延焼範囲も規模も、コントロール不可能なのです。

「炎上」的なことをやめたほうがいい理由のもう一つは、Googleがそういうのを嫌う、と公言しているから。今回のページの趣旨的には、こっちのほうが重大です。
Googleが指標としているページの品質評価ガイドラインは更新を続けており、アメリカでの反差別運動などの影響で、最近「ヘイト(特に人種差別)を煽るページはダメ」的な内容が盛り込まれました。性差による差別や、性的なスタンスを標的とした差別もダメです。

内容がヒドい場合、ページを検索表示から外す措置もあるとのこと。
たくさんの人に見てもらうために入れた内容で、検索対象から除外されちゃったら、本末転倒ですからね。

(あっ! 『爆速PDCA氏』のこと、平成インターネットマンとかいってバカにしてしまった。このページ、ダメだな。このページには「平成」を貶める意図はありません。)

まとめ

・1ページ内で扱うジャンルは絞って、専門性を上げよう。
・施策や方針の評価はじっくり。なるべくたくさん実施しよう。
・「〇〇とは?」系のワードは、狙うのが適切か戦略を一考しよう。
・ビッグワードは狙わず、スモールだけど需要のあるワードを探そう。
・キーワードは、一番検索されている表記で統一しよう。
・キーワードの登場率は、できれば5%以内に収めよう。
・被リンクは買わず、じっくり伸ばしていこう。
・ウソの経歴やデータを載せるのはやめよう。
・誰かにヘイトを向ける内容はやめよう。

不誠実に、ズルしてもダメよ、ということを覚えておくだけでも十分、効果はあります。

あと、著作権を侵害しまくるとか、人の道にもとる行為をするとか、そういうのは、SEO以前の問題ですからね! やんないほうがいいよ!

それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。

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