好きな人のためならがんばれる ~はじめの結婚で学んだこと
24歳からの約2年間、オーストラリアのタスマニア島にある州都ホバートで暮らしました。その間に、環境を学び、大恋愛をし、現地でオーストラリアの人と結婚しました。
好きな人のためならがんばれる
オージーの旦那さんは「パニック障害」を持っていました。当時その言葉を聞いたのが初めてで、どういうものかまったく知りませんでした。誰だって好きな人のためなら、出来るだけのことをしたい、助けたいと思うはずです。
というわけで、私はすぐにパニック障害についての本を読み漁りました。そして症状が出ないようにするために必要な要素は、次の3つと結論づけました。
り)愛情と信頼感
ん)食事
ご)運動
食事と運動が精神に与える影響
愛情と信頼感 は任せて!(私の腕の見せどころ)
一方、「食事」と「運動」は、当時の私にはとても意外でした。旦那さんから話を聞いたり、自分でも調べてみると、どう考えても精神的な要素が大きい。それなのに「食事」と「運動」?
それからしばらくして、タスマニアのホバート市の図書館で「Optimum Nutrition」という本を見つけました。
食べ物と私たちの精神がいかに結びつているかを脳科学な視点から書いている本でした。脳や遺伝子学、栄養学が進んだ今となっては情報が古い部分もあります。それでも20年前の私にとっては衝撃的で新鮮な内容でした。
私は授業をさぼって図書館にこもって夢中になって読みました。
実践してみた結果は?
旦那さんと食についての大切さを話し合い、一緒に料理したり、協力しながら健康的な食事をするようになりました。
彼はもともと、ランニング、バイク、水泳と日常的に運動をする人だったので、運動の方はそのまま続ければOKでした。私もこのことがきっかけで「運動」が精神に与える効能について知識が深まると、やっと重い腰を上げ、27歳からジム通いをはじめることとなりました。
結婚していたのは5年間ですが、その間少なくとも私といる時には、一度もパニック障害の症状は出ませんでした。
大自然タスマニアから東京にやってきて、はじめての環境で、言葉もろくに通じず、満員電車だっていっぱい経験したのに、それでも大丈夫でした。
何が効果があったのかの考察
それでも結局のところ何が本当に良かったのかは私には分かりません。単純に一つの要素を取り出して「これがいいんだ」と断言することはできません。「これが正しい、間違っている!」と単純に言い切ってしまうところには、個人的には近づかないようにしています。
食や運動だけですべてが解決するわけではなく、ストレス度や夫婦仲だって影響しているに違いありません。持って生まれた体質や許容量も違います。
時代、国、慣習、環境、宗教や個人的信念によって当たり前や真実は変わってきます。人は何を信じるかによって、自分の世界をつくっている。自分が信じていることを変えることは、石鎚山三の鎖ぐらいハードルが高い。
「自分には持病があるから仕方ないんだ」と思えばそのような世界の見方に現実が引っ張られていくことになる。そう考えていると、食べたいものを食べて、外食が多くお酒も好きなだけ飲んで、運動をしない生活を変えることもないでしょう。
でも「何とか出来るはず」と信じて「何とかしよう」と思うと、私たちの脳はそっちの方向にアンテナを向けてくれる。当たり前だけど、考え方が変われば、行動が変わり、結果が変わる。
絶えず変化する世の中で大事なことは、「常に自分自身を柔軟に保っていくこと」だと思うのです。
あれから20年以上経って
20代で「食」と「運動」の大切さを学び、実践するきっかけをくれた当時の旦那さんには感謝しかありません。愛媛に移住する前に別れることになりましたが、現在でも彼の家族とは仲が良く、やり取りが続いています。
短期間では大した変化はないけれど、さすがに20年以上も食事に気を遣い、運動を続けているとその差は歴然となります。健康を保っているだけでなく、何よりも精神的に安定して、気力・体力がありエネルギーが高く元気です。
当初は分からなかったうれしい効用は、心身ともに安定していることで、周りの人へのサポートができたり、気持ちが穏やかでやさしくなれることです。
周りにいる大切な人に何かあったときに、力になってあげられるように、自分をいい状態に保っておくには、「きれいな言葉」より、コツコツとした地味な日々の積み重ねが必要なんですね。
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