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映画『8 Mile』

今回は2002年の映画『8 Mile』の感想。まずはこちら、エミネムの新曲「Houdini」をどうぞ!

このMV、めちゃくちゃバカっぽくて面白過ぎませんか…!私は超ウケました(笑)この曲についてはこちらの記事で詳しく解説されています。

奇術師フーディーニとエミネムの共通点は何か。1926年10月22日、フーディーニは「腹部を強く殴られても耐える」芸を見せたのが原因で、1週間後にミシガン州デトロイトで逝去した。享年52。エミネムはデトロイトを代表するラッパーであり、今年で52歳。そこに引っかけた曲なのだ。

上記HPより引用

なるほど。こないだデュア・リパも「Houdini」という曲を出してたけど、フーディーニって実在の人物だったのね!とこの記事を読んで思いました。

さて、私にとってエミネムは「Lose Yourself」って曲だけは知ってるけど後はよくわかっていない白人ラッパー、という感じでここまできました(さっきの引用記事で同い年だったと知ってびっくりした)。しかし最初にあげた新曲が最高だったのでこれを機にエミネムについて知ってみよう、まずは彼の半自伝的映画『8 Mile』を観てみよう!と思ったのです。

私は海外のヒップホップやラップについては、言葉の壁があっていまいち踏み込めないところがありました。"音楽"ならば音だけで伝わってくるものがあるけど、"ラップ"になったとたん、その言葉の意味がわからなければどうしようもないじゃん、という思い込みがあったからです。だけど今回エミネムのこの映画を観て、そうか、ラップだろうとなんだろうと気持ちが入ってればその表現は伝わってくるんだ、という風に思いました。

そして『8 Mile』。これがめちゃくちゃ良い映画でした…!自分の中での映画ランキングを塗り替えるくらい。なんで私は今までこの映画を観なかったんだろう。たぶん多くの人たちの心を捉えて離さない作品だろうと思います。おそらくそれにはいろんな要素があると思うんだけど、私はここで一つ自分が思ったことを書いておこうと思います。

皆さんは少年漫画って読んだことあるでしょうか。最近のはよくわからないけど、大衆にウケる少年漫画の主人公って、天涯孤独だったとか環境的に恵まれてない子が多かったりしますよね。なぜか?それはおそらく読者よりも主人公が恵まれていたら彼らが主人公に感情移入しにくいからなんじゃないかと思います。オレよりいい状況にいるのにコイツ何やってんの?というのより、オレよりひどい境遇なのに頑張ってるな、自分も負けずに頑張らなきゃ!と読者に思わせるのが少年漫画の役割だったりもするわけですよね。

これは漫画だけでなく、音楽を聴く上でも同じことが言えるんじゃないかと私は思っています。恵まれて育った坊っちゃん&お嬢ちゃんがあれこれ表現したとしても、残念ながら心に響いてこない、ということがあるように思います。私はどちらかといえばそこまで良くない環境で育ったので、向こうは普通にやっていたとしても、なんとなく上から目線で感じワリィな、と受け取ってしまうことがあるわけです。

いわゆる大物ミュージシャンが今日はこんなご馳走をこんな素敵なお仲間たちと食べましたよ、みたいな投稿をしてるのを見て違和感を感じたことがあるんだけど(感じ悪いからすぐフォローはずした)、それはここに繋がる感じがします。良いとこの環境にいる人たちは、同じ境遇レベル以上の相手に焦点を合わせて音楽でもなんでもやった方がいいように思います、全ての人に何かを伝えようとせずに。なぜなら底辺にいたことのある人でなければ、底辺にいる人たちに何かを届けるのは難しく、むしろ不愉快にさせるだけだと思うからです。

これだけだと単なるやっかみになりそうですがそうではなく、要するに本当に辛い思いをしたことがなければ人の痛みはわからない。その痛みを想像することすら不可能なのだと思います。そしていま辛い思いをしている人がいるかもしれないという想像を働かせることが出来ない。人の痛みがわからない人の音楽は聴いてても心に響いてこないのです、私には。逆に言えば人の痛みがわかるなら、底辺にいたことがなくてもその人の音楽は伝わってくるんじゃないかと思います。

私は物質的や境遇的にエミネムほどのドン底にいたことはないけれど(デトロイトと日本では治安も全然違うし、半自伝なのでどこまでが本当なのかはわからないけど)、子供の頃からいろいろあって精神的に辛いことはたくさんありました。だからかエミネムのパフォーマンスはすごく直球に響いてきました。エミネムが世界中でここまでウケるのはそこに理由があるんじゃないかと思います。人の痛みを知る、地獄から這い上がってきた男、ということで。

予告編で良さそうな動画がなかったので劇中のシーンが使われてるこちらの動画をあげてみます。ちなみにネトフリが最後のラップバトルをまるまる動画であげてたけど、それってどうなんだろう。そこまでに至るまでのあれこれがあってこそあのシーンが生きてくると思うのに(ネトフリって社風的に映画への愛が感じられないんだよね)。やはり最初から全部観てラップバトルのシーンまでたどりついて欲しいなと思います。というわけでまだ観たことない人はぜひ!


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