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再考・ラブコメ会 ─ラブコメもののボードゲームのメカニクスについて─

びーていると申します。普段はtwitterでボドゲ関連のもろもろをリツイートしたりしております。この記事は春99さんが主催の「ボードゲームに関わるエトセトラ Advent Calendar 2022」の23日目向けに作成しました。

ちなみに昨日の22日目の記事はポチョムキンさんスマホアプリ版ガイアプロジェクトの紹介でした。対CPU戦ツールとしてみた場合のスマホ版ガイアの素晴らしさ──UIによる「引っかかり」がないことによる没入感の高さに着目した記事で独特の視点が興味深い。

また、私自身5日目に「ビッド、ビット、ベット」という用語をテーマにした記事も書いています。ご興味のある方はぜひ。

さて、今回のテーマはタイトルの通りラブコメもののボードゲームのメカニクスについて。主にラブコメのフレーバーがどのようにゲームシステムで表されてるかを見ていきます。

ラブコメ会とプレイしたゲーム

今年(2022年)の1月3日、「ラブコメ会」という名目でラブコメものばかりプレイする会を開催しました。

今回の考察対象はここでプレイしたゲーム。

ただしプレイしたのは「プレイヤーがヒロインになり男性を取りあう」もののみ。私の趣味です。なので本記事の考察対象もそういうゲームだけなのに注意。「プレイヤーが男性になり、落としたヒロインの数を競う」とかは対象外です。

プレイしたゲームは4作品。
 ・ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ
 ・イケ恋
 ・五等分の修羅場
 ・負けヒロインとは言わせない!!
以下、埋め込みツイートで各ゲームを紹介します。

ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ
(サークル3D6、ゲムマ2013秋作品)
20-40分、3-4人向け

イケ恋
(神楽坂さんさん堂、ゲムマ2020秋作品)
15分、8歳~、3-4人向け

五等分の修羅場
(リミテッドココア、ゲムマ2020秋作品)
60分、4-5人向け

負けヒロインとは言わせない!!
(SALTY STUDIO、ゲムマ2021秋作品)
30分、10歳~、2-6人向け

メカニクス分析 - ざっくり概要

各ゲームを見たところ、プレイヤー=マルチヒロインなラブコメもののボードゲームではシステムとして以下の3つの要素が表現されています。

  • プレイヤー(ヒロイン)
    そのヒロインはどんなキャラか?

  • 攻略対象(主人公またはイケメン)
    主人公(またはイケメン)はどんなキャラでどんな状態か?

  • ラブコメイベント
    どんなイベントが起きたか?どんなイベントに参加したか?

うーん、確かにこれはマルチヒロインもののラブコメの3大要素って感じですね。それぞれどんなメカニクスで表現されているかは以下の表のようになります。

…って横に長い!小さくて見にくい!という訳で、ここからは表現対象ごとに各メカニクスを見ていきます。

プレイヤー(ヒロイン)を表現するメカニクス

今回扱うゲームにおいてヒロインはプレイヤーの分身。それゆえ個人ボードや手札などの「各プレイヤーの所有物」に関するメカニクスでヒロインは表現されます。

各ゲームのヒロインを表すコンポーネント。大体のゲームで最もビジュアルに力が入る部分ですが、乙女ものフレーバーの「イケ恋」だけはヒロインのビジュアルがないのが特徴的。こういった作品ではヒロインが「平凡な女子」であったりしますからね。

プレイヤー別能力(VPP)

プレイヤーごとに異なる特殊能力を与えるメカニクス。英語のVariable Player Powersを略してVPPとも呼ばれます。テラフォーミングマーズの各企業の固有能力なんかが代表的。

このVPP、マルチヒロインもののラブコメとの相性は抜群。こういったラブコメの魅力はいろんなキャラのヒロインがいること。そういった多様なキャラの表現にVPPはうってつけですからね。

と、いう訳で今回扱う4作品中3作品でVPPは採用されてますが「イケ恋」だけでは採用されてません。やはり乙女ものフレーバーゆえヒロインをあまり特徴的にしにくい、という感じでしょうか。

ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ

本作のヒロインは「幼馴染」「ツンデレ」などの表の顔のほかに「ヤンデレ」「ヤンキー」などの裏の顔を持っています。固有能力を持っているのは「裏の顔」のほう。

ただこの「裏の顔」の能力、カードプレイによる使い切りの効果(主に妨害)。さらにカードをプレイするまでは裏の顔も能力も秘匿情報ということで「プレイヤー別能力」感はちょっと薄いかもしれません。

五等分の修羅場

マンガ「五等分の花嫁」の二次創作作品である本作では、5人のヒロインは原作を彷彿とさせる固有能力持ちです。最初から使える初期能力の他、ゲームを進めると覚醒/闇墜という二者択一の能力を獲得できるのが特徴的。

覚醒/闇墜について見てみると、覚醒は常時型の強化能力で闇墜は使い切りの妨害能力という感じ。闇墜は原作で険悪な時期(シスターズウォー!)の心の動き、覚醒は各ヒロインの課題を乗り越えた姿を思わせるなかなかの原作再現。RPGでの複数の上級職からの選択のような楽しみもあります。

負けヒロインとは言わせない!!

本作では幼馴染、お嬢様など6人いるヒロインにやはり固有能力が与えられています。

この固有能力、「普通は1手番で1ドローしかできない手札を3枚全入れ替え」などなかなかに強力。一見地味だけどゲームが小規模であることを考えると準マルコポーロクラスにゲームの根幹を無視できる強さの能力な気が。

また、本作ではゲーム中に「アイドル」「天然」などのキャラ属性を追加で獲得していくことになります。これに伴いヒロインの能力も追加されていくことに。

……キャラ属性がコロコロ変わるのっておかしくね?という気もしますが、本作はそういう展開のヘンテコさも楽しむゲームです。以下ツリーのジェネさんのプレイレポにそのヘンテコさがよく出ててたいへん面白かったり。

プレイヤーごとのパラメータ育成

各プレイヤーがそれぞれパラメータを持っててそれを成長させたりするメカニクス。テラフォーミングマーズの各資源収入とかテラミスティカの宗教トラックなんかが例として挙げられるでしょうか。

ギャルゲー(恋愛SLG)や乙女ゲーにもパラメータ…というかステータスの概念があるので、これもフレーバー的に自然に受け入れられるかと。このパラメータ、ゲームによって役割が違うのが面白いところ。

  • ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ: オークションに使用する資源

  • イケ恋: 攻略対象の好みに合わせるため調整する数値

  • 五等分の修羅場: 各イベントの成功判定に使用

以下、ゲームごとに見ていきます。

ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ

パラメータ:体力、女子力

体力が校内に登場するための資源、女子力がオークションの入札や支払いに使う資源というヒネりが面白い。ヒロインたちは体力を使って校内を駆け回り、女子力を振りまいて主人公くんを誘因する…ってことなのですが。

各ヒロインの個性は、体力&女子力の初期値や回復しやすさ、失いやすさで表現されてます。休憩しまくると初期値を超えて回復できたりしてキャラ個性的にどうなの?とも思いますが、このゲームは回復がシビアなのでけっきょく最後まで初期値に縛られる感じになったり。

イケ恋

パラメータ:性格、外見、イベント参加回数

本作では攻略対象たるイケメン君に「外見が一番いい子がいい!」などの好みがあり、それに向けてパラメータを伸ばしていくことになります。乙女ものだけに、イケメン君の眼鏡にかなう「おもしれー女」になるべくキャラ育成するゲームって感じですね。

五等分の修羅場

パラメータ:体力、学力、恋愛力、頑張り度

本作ではイベントをうまくこなせたかどうかのダイスロール判定があります。その判定で使うのが体力、学力、恋愛力のパラメータ(能力値)。イベントにより使う能力値は異なり、もちろん能力値が高い方が成功率が高まります。

また、これらの能力値のほかに「頑張り度」という経験値っぽいパラメータがあります。頑張り度は消費してヒロインの成長やダイスの出目修正が可能。後に述べるバッティングの失敗時にこの頑張り度がもらえたりして救済措置にもなっています。

個人目標

プレイヤーごとに異なる目標を与えるメカニクス。プレイヤーの行動指針になったり、他のプレイヤーの動きを読むのに使えたり、プレイヤーごとの戦略の住み分けにつながったり。

フレーバー的に見ると「プレイヤーの担当キャラの狙いは何か」ってことになるので、これはこれでキャラ表現になっているかと思います。

ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ

ギャルゲーの登場人物たる本作の各ヒロインの目標は「主人公に自分を攻略させて自分のイベントCGを表示させる」という尖ったものですが、キャラごとのイベントCGが個人目標として機能しています。

各イベントCGには「主人公と校内のどこで会うと獲得できるか」「何人以下で主人公と会うと獲得できるか」が設定されてます。これが個人目標になる感じですね。

このイベントCGの獲得条件や獲得時の効果(好感度獲得、体力・女子力の消費や回復)がまた各ヒロインの個性の表現になっています。

攻略対象(主人公またはイケメン)を表現するメカニクス

次に攻略対象である主人公(またはイケメン)について。ヒロインがプレイヤーごとの所有物に関するメカニクスだったのに対し、こちらは全ヒロインの目標になるキャラのため共有場に関するメカニクスが主になります。

各ゲームで攻略対象を表現するコンポーネント。各ゲームそれぞれという感じで興味深い。

  • イベントCGに登場しセリフもあるがメカニクスを持たないヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ

  • ゲーム中には3人しか登場しないのに6人用意されてて好きなキャラを選べるイケ恋のイケメン

  • 原作でハッキリ描写されてるからか逆にビジュアル皆無な五等分の修羅場の主人公(風太郎)

  • ビジュアルはシルエットのみだがメカニクスによる描写が充実している負けヒロインとは言わせない!

全体目標

全員に同じ目標が課され、ゲーム終了時に達成してると勝利点がもらえるアレ。テラフォーミングマーズの褒章やノイシュヴァンシュタイン城の王の興味など。プレイごとにランダム選出され、リプレイ性を高めてる場合が多いですね。

イケ恋

イケ恋のイケメンには「告白成功条件」と「告白失敗条件」が設定されています。

プレイヤーは、狙いのイケメンの告白成功条件を満たしつつ告白失敗条件を避けるようにヒロインを育成し、ゲーム終了時に告白を成功させるのが目的……って訳ですね。また、これらの条件は開始時には裏向きで秘匿されているため、ゲームを通じて探っていくのも重要です。

あと、攻略対象のイケメンが複数(3人)いるのも本作の特徴。他プレイヤーの挙動から狙いを察して住み分けできたりします。イケ恋、乙女ものでもあるけど複数カップル成立するタイプの群像ものラブコメでもあるのかも。

五等分の修羅場

五等分の修羅場では、主人公(風太郎)の存在は学力試験(中間・期末)を通じてわずかに垣間見えます。彼の「ヒロイン(五つ子)の家庭教師」としての立場を表現したシステムですね。

この学力試験、ヒロイン全員参加で一定以上の合計点を取らないと風太郎君が「家庭教師不適格」ということで去ってしまい強制バッドエンドとなります。ここだけ協力ゲーム的であり、能力値「学力」を上げる動機付けにもなってる訳ですね。フードサプライに近いシステムと言えるかも。

負けヒロインとは言わせない!!

本作の主人公は3つの「ヒミツ」を持っています。どんなヒロインに勝利点が加点/減点されるかが書かれており、要はこれも主人公くんの好みを表現したものになりますね。

このヒミツも秘匿情報であり、ゲームを通じて探っていくのも一つの焦点になります。ただ本作には主人公のヒミツを新しいのに入れ替える効果のカードが結構あるんですよね。それによるしっちゃかめっちゃかなパーティ感も楽しいところ。

共有場のパラメータ変動

プレイヤー個々人ではなく場全体 ── ゲームの舞台となっている世界やそこの権力者など ── を表現するパラメータ。テラフォーミングマーズのグローバルパラメータ(気温、酸素濃度、海洋の広さ)など。

……さっきから例がテラフォばかりですみません。好きなゲームなものでつい。っていうか要素多いなあのゲーム……流石だ。

話を戻してラブコメの場合だと、主人公くんがどんな状態か?を表すパラメータとなります。物語を通じて主人公がどう変化したかを表現できると考えるとちょっとエモいかも。

負けヒロインとは言わせない!!

本作の主人公は「テンション」というパラメータを持ちます。このテンション、いい感じのイベントがあれば上がり、ダメな感じのイベントがあれば下がります。

重要なのは「主人公のテンションが高いタイミングで告白すると勝利点がたくさんもらえる」ってことですね。しかもこの勝利点は早取りなので主人公が盛り上がってるとこを逃さず告白するのが大事という。

ただこの主人公のテンション管理、一筋縄ではいきません。テンションが上がるようなイベントを使ったとしても、自分が告白できるのはその一巡後……というタイムラグがあるのです。他の人がうっかり上げちゃったテンションに相乗り告白するのがコツですね。

ラブコメイベントを表現するメカニクス

夏祭りやクリスマスなどの季節行事、修学旅行や学園祭などの学校行事、そのほか各種デートなど「ヒロインたちと主人公がどう過ごしたか」……それがラブコメイベントです。キャラと並ぶラブコメで重要な要素と言えるでしょう。

今回扱うゲームではイベントはカードで表現され、参加すれば色んな効果が得られるものになっています。そのため関連するメカニクスはバッティング、オークション、ドラフトなどの「どのようにイベントのカードを獲得するか」というものがメインに。

バッティング

全員で行動やカードをオープンして被ったら不利になる、被らないように頑張るメカニクス。ハゲタカのえじきが代表作。

このバッティング、ラブコメと相性がいいようで今回扱う4作中の3作で採用されてます。まあそれも分かりますよ。私でも ↓ みたいなラブコメの中のバッティングっぽいシーンが思い浮かびますもの。

ヒロインA:「主人公君、お待たせ!」
      (今日は二人でお出かけ♪)
ヒロインB:「あ、いたいた!」
ヒロインC:「Aちゃんもいるんだー」
ヒロインA:(!?)
主人公:「みんなで行ったほうが楽しいかと思って」
ヒロインA:(コイツ……)

ただそれっぽいシーンを手持ちのラブコメ作品の中で探してみたのですが意外と見つからなかったり。ありがちなシーンだと思ってたのですがそうでもない……?

それはそれとして、各作品のバッティング要素を見ていきます。

ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ

ヒロインが獲得を目指すイベントCGの獲得条件に「ヒロインの人数制限」があり、そこがちょっとバッティングっぽくなっています。場合によっては主人公くんと二人きりでないと獲得できないですからね。「個人目標」「オークション」の項目も参照。

イケ恋

本作では自分磨き、情報収集、イベント、予習の4種類のカードでバッティングを行います。基本的にバッティングしなかったプレイヤーが、出したカードのアクションを実行可能に。

ここまでならシンプルなバッティングなのですが、「自分磨き」はバッティングしても実行可能、「予習」に成功したら次のラウンドではバッティングしてもそのアクションを実行可能、という2つの捻りが効いてます。

さらに後述のドラフトによりゲームが進むにつれて手札もだいぶ偏ります。また、各プレイヤーがどのイケメンへの告白を目指すのかでバッティングの狙いがズレたりして読みがいのあるバッティングに仕上がってます。

五等分の修羅場

五等分の修羅場では、毎ラウンド固定2種+ランダム3種の合計5種のイベントのどれに参加するか?でバッティングを行います。

このうち固定イベント2種はバッティングしても実行可能。ただ効果は弱めなので逃げの選択肢ではあります。

ランダムのイベントはバッティングを避けないと実行できません。そして実行できたら「ダイス判定(後述)が必要だが効果大」「判定不要だが効果小」の2つの選択肢のどちらかを選ぶことになります。この判定に使うパラメータの高低で他ヒロインの選択が読めたり。

さらに中間決算とゲーム終了時に「バッティングを避けて獲得したイベント数」上位のプレイヤーに勝利点ボーナスがあります。バッティングは本作のかなり重要な要素と言えますね。

カードプレイ

手札を場に出して効果を発動するメカニクス。マジック:ザ・ギャザリング(MtG)などのトレーディングカードゲーム(TCG)はだいたいコレ。TCG以外のボードゲームでも良く使われます。テラフォーミングマーズとか。

今回扱うゲームでも4作中3作で採用されているのですが、

  • ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズのカードプレイはイベント参加というより固有能力の発動

  • イケ恋のカードプレイはハゲタカのえじきや十二王国の玉座のようなカードプレイを通じたバッティング

……って訳で、唯一純粋に「イベント参加」を表現するカードプレイとして「負けヒロインとは言わせない!!」のものを紹介します

負けヒロインとは言わせない!!

本作は毎ラウンド手札から属性カードかストーリーカードをプレイすることでゲームが進行します。このうちストーリーをプレイした場合にイベントに参加したことになると。

ストーリーカードをプレイしたら勝利点と主人公くんのテンションが変動。さらにカードテキストの効果も発動するのでこれをうまく使って勝利点を高めつつ告白のタイミングをうかがうことになります。

ただ本作、手札が属性とイベント合わせて3枚しか持てないので「どのカードもプレイしたくないけどどうすればいいんだ……!」ってなることも少なくないんですよね。意外と洗面器ゲーなのかもしれない。

オークション

文字通り、オークション(競り)によって目当てのものを入手するメカニクス。競り上げや同時入札など入札や支払いの方法でいろいろ細かく分かれます。ラー、メディチ、モダンアート、ハイソサエティなどのクニツィア作品が代表作と言えるでしょうか。

ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ

本作では「女子力」を使い、主人公がどの場所に登場するかの競りを行います。充満する女子の気配に主人公が引き寄せられる訳ですね。いいのかそれで。

本作の競りは 同時オープン形式でヒロインの登場場所を決定 → 競り上げ式で女子力を入札 という流れ。特徴的なのはプレイヤーごとではなく場所ごとで競りを行うこと。同じ場所に登場したヒロインは共同で入札を行うことになります。一時的な共闘っぽい感じですね。

この一時的共闘による多対一は簡単に覆せるものではありません。でもイベントCGにはヒロイン1人でないと獲得できないものもあるんですよね。さらにオークション不参加の代わりに資源を回復する「休憩」という選択肢もあり、ヒロイン登場場所の決定時の読み合いを深いものにしています。

ダイス判定

ダイス(サイコロ)を振り、行為の成否を判定するメカニクス。たいていの場合は関連する能力値とダイスの出目を組み合わせて判定します。ウォーゲームやTRPG、それに影響を受けたゲームなんかでよく見ますね。

五等分の修羅場

本作では、イベント参加時の選択によってはダイス判定を行い成否によって得られる効果が変わります。成功時は効果大、失敗時は効果小。

判定は3つの能力値(イベントによりどれを使うか指定)とダイスで行うかなりTRPG的なもの。さらに頑張り度やヒロイン能力による出目修正があったりします。このダイス判定がバッティングの読み合いに影響与えたりするのですが、そちらはバッティングの項目を参照。

ドラフト

カードなどをプレイヤーが順番に取りあうメカニクス。カード束をプレイヤー間でぐるぐる回して1枚ずつピックしていく「ブースタードラフト」の形式がメジャーかな。世界の七不思議やイッツアワンダフルワールドなど、これをメインに据えたゲームもあります。

イケ恋

本作では、バッティングに使用するアクションカードのドラフトがあります。

バッティングを避けてアクションに成功した場合、そのアクションに使ったカードは捨て札になります。3ラウンドごとに捨て札となったカードの再配布があるのですが、それがブースタードラフト形式。

このドラフト、いちばんパラメータが低いプレイヤーが起点になるのがミソ。パラメータが低い(≒ 出遅れた)プレイヤーからピックすることで欲しいカード取れる+枚数有利になり、救済措置として機能しています。

さらに、バッティングせずにやりたいアクションをできるだけ独占するなどの戦略があったりドラフトで偏った手札からバッティングの読み合いやったりとバッティング×ドラフトでいい感じの相互作用が生まれてますね。

ただこのドラフト、フレーバー的な意味でヒロインがどういうことやってるのか……というのは見えないんですよね。このゲームに限らずブースタードラフトのフレーバー的な意味付けが難しいというのもありますが。回転寿司フレーバーのすしゴーやすしドラ以外でしっくり来てるの見たことないし。

(ヒロインからの)告白

最後にこちら。……ここだけメカニクスでなくフレーバーの用語なので浮いちゃってますね。「負けヒロインとは言わせない!!」の重要なルールなのですが、他の項目で拾えなかったので独立させました。

ちなみに他にも告白の要素がないこともないゲームはあるのですが…

  • ヒロインズ×ロワイヤル メモリーズ:個人目標(イベントCG)の中に告白っぽいシーンがある

  • イケ恋:ゲーム終了時(12ラウンド目)に強制的にイケメンへの告白(勝敗判定)が発生

…って感じなので、ここでは「負けヒロインとは言わせない!!」だけを見ていきます。

負けヒロインとは言わせない!!

ヒロインは「告白」をすることでゲームを抜けて勝利点計算待ちの状態になります。ゲームの終了フラグとしても機能していたり。

本作では、告白を行うと主人公の現時点の「テンション」に応じたカードを獲得し、さらにヒロインカードを裏返して「返事待ち」の状態になります。この「返事待ち」のイラストがギャルゲーのスチル風で超エモい。

「返事待ち」状態のヒロインは自分の手番では行動できず、返事待ち状態のカードを回して告白後のラウンド経過を数えるのみとなります。そして告白後2ラウンド経過より前に他のヒロインが告白しないとゲームが終了することに。

ゲーム終了時点で告白してないヒロインは無条件敗北。ラブコメを舐めるな(説明書原文ママ)。そのため誰かが告白すると他のヒロインも順次告白していくことに。自分がさっさと告白するのか、それとも他のヒロインに告白させて自分は粘るのか……というちょっとした駆け引きもあります。

自作ラブコメゲーのメカニクス

さて、実は私もラブコメがテーマのボードゲームを作ろうとしてたりします。今回の表に照らすと自作のメカニクスは以下のような感じ。

他のラブコメゲーでも多く採用されてるプレイヤー別能力、パラメータ育成、全体目標、バッティングを軸にしつつ……

  • ヒロイン同士の友情要素を入れたい!
    → 互恵的な「ポジティブなインタラクション」導入

  • 便利要素の早取り目標も入れちゃえ

  • イベントがらみのメカニクスを多めに採用してリッチに

……という感じです。これで個性が出ると信じたい…!

おわりに

そんな訳で、ラブコメもののボードゲームのメカニクスにまつわるお話でした。ヒロイン、主人公(or イケメン)、イベントの3要素を各ゲームなりに解釈してメカニクスで再現する様が興味深かったですね。

ボードゲームに関わるエトセトラ Advent Calendar 2022、次回は24日目のarsenicさん『ボードゲーマーから見る「マジック:ザ・ギャザリング」のカジュアルな魅力』。ボードゲームの感想・考察記事などを毎週執筆されてるarsenicさんが、敢えて競技ではなくカジュアルとしてのM:tGの魅力を語ります。

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