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特典小説の芹澤くんから感じるコロナ禍での孤独

「すずめの戸締り」が終映らしい。
長い期間、上映していたが、終わるとなると少し寂しさを感じる。
随分前に、この映画を観に行くか迷っているとnoteに書いた。

結果的に私はこの映画を3回観に映画館に足を運んだ。
3回も観に行った目的は来場者特典だが。
3回観ても、全く飽きない映画だった。
ストーリーも勿論良かったけど、何よりアニメーション、「絵」がとにかく美しい。
大スクリーンで大音響で、とても素敵な空間だった。

主人公・鈴芽がたくさんの出会いと経験を経て成長していく物語。
鈴芽と草太が出会って、一緒に災いの戸の戸締りをして、色々な人に助けられて、でも最後は草太が犠牲になるしか戸締りできなくて、また色々な人に助けてもらいながら、鈴芽が草太を助けに行く。
映画を観ながらハラハラ、ドキドキです。
鈴芽の「死ぬのは怖くない」「生きるか死ぬかなんてただの運なんだって」という言葉。
地震で母親も住む場所も失った経験からか、鈴芽が無鉄砲に突っ込んでいく姿は少し怖かった。
それが「草太さんのいない世界は怖い」「死ぬのが怖いよ」という大事な人を失いたくない、自分も死にたくない、生きたいという気持ちに変化した事が本当に安心した。
最後の鈴芽と子鈴芽の会話は号泣だった。
「あなたはちゃんと大きくなる。光の中で大人になっていくよ。」
色々な人に支えて貰ってここまで来た鈴芽。みんなに愛されている鈴芽。
鈴芽が死んだら悲しむ人がたくさんいるんだよ!

私自身も生きるも死ぬのも運で決まると思っているタイプだったりする。
でも私の周りでも私が居なくなったら悲しんでくれる人たちが少しは居る。
どんな状況でも「生きたい」という気持ちは大事だと、「すずめの戸締り」には教えてもらった気がする。

映画も素晴らしいが、来場者特典の環さんと芹澤さんの小説もとても読み応えがあり、素敵だった。
こんな特典を付けてくれるなんて、なんと太っ腹。
この2冊を読んでから、映画を観ると、また感じ方が違ってくる。

「環さんのものがたり」
まず環さん、姉の子どもだからといって鈴芽を引き取って育てる決断が出来た事が凄い。
自分が同じ立場なら多分迷う。
子どもの人生を背負う覚悟が出来ないと思う。
環さんもいっぱいいっぱいの中でギリギリな子育てをして、鈴芽も鈴芽で母親を亡くした気持ちで、寂しくて、悲しくて、ボロボロだったのだと思う。
お互いに必死に生きてきた事が伝わってくる小説だった。

「芹澤のものがたり」
コロナ禍での大学生の孤独感…。
上京してオンライン授業とかに変わって孤独感は深まっていくよね。
現実世界の当時の大学生は同じ様な悩みを抱えていたのではないのだろうか。
私も大学生じゃないけど、やっぱり孤独感は感じていた。
そんな中での草太との出会いは救いだったんだろうな。
人恋しくて東京の闇に染まりそうな芹澤に手を差し伸べた草太。
そりゃあ詳しく理由も聞かず大事な友達を助ける為に東北まで車を走らせてくれるよね。
こっちの小説は現実世界の状況と合わせて、読んでいるとキツイと感じる部分が随所に見られた。
彼に助けてくれる存在がいて、本当に良かった。

「すずめの戸締り」本当に観に行って良かった。
私は毎日「ただいま」「おかえり」が言える大切な存在に出会いたい。

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