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ユニバのオフィシャルホテルで清掃の仕事をしていた時の話

最近、若い頃に「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」で働いていた人と会うことがあった。
やっぱりテーマパークで働いたことがあるという方なので、とにかく明るく、おもてなし精神、サービス精神が豊富な方だった。
その人と話している時に私もユニバに間接的に関わる仕事をしていたことを思い出した。
高校生の時にユニバのオフィシャルホテルの清掃の仕事をしていた。

私の高校は2学期制で夏休みが8月と9月なぜか2ヶ月あった。
休み期間中に登校しなければならない日はあったと思うが、2ヶ月間暇な時間が学生には与えられていた。
とりあえずバイトをしようと思って、色々探した結果、夏限定のホテルの清掃のバイトを見つけた。
ユニバのオフィシャルホテルだし、時給も高いので軽い気持ちで応募したら受かった。
ホテルの清掃なんてそこまで難しくないだろうと軽く考えてたが、実際に行ってみると地獄だった。
ベテラン勢が新人をいびるのだ。
一応指導という名目だが、教えられてできないことを重箱の隅をつつくようにチクチクと指摘する。
初日は泣きそうになって、事務のお姉さんに心配されたことを覚えている。
私が担当したフロアの責任者の方は古株の方で、まぁ上手くできない私に対してキツイ対応をしてくれた。
ユニバのオフィシャルホテルの裏側はこんな感じなのか…と夢が壊れていく瞬間。
掃除は朝から始まるので、廊下では出発するお客様とすれ違う。
今からユニバに行くであろうお客様の笑顔を少し羨ましそうな顔で見てしまっていた。

まぁ自分で選んだ仕事だし、途中で放り出すのも微妙なので、出来る範囲でやってみようと思った。
1週間ぐらい小言に耐えながら仕事をしていたら、いきなり「あんた、けっこうやるわね」となぜか認めてもらえるような言葉をもらった。
その辺りからその古株の方と休憩時間に喋るようになった。
見た目に反して結構お年を召された方で、年金では食べていけないので、ここで働いていると話してくれた。
ここのバイトにくる若い子は少しキツイことを言うとすぐにやめてしまうが、ゴミがひとつでも客室にあればクレームがくる。
半端な気持ちで仕事をしてほしくないと思って厳しく接していたらしい。
まぁそれならもう少し言い方を工夫してくれよ…と思ったが、まぁ世代間のギャップもあるのだろう。
この古株の方は私を孫のように扱い、一緒に組んで働こうとずっと指名してくれた。
ホテルの階ごとにリーダーがいて、そのリーダーが使えるバイトを指名して自分の所に置く。
逆に動けない人は、居場所がなくなる世界だった。
古株さんはサボり方なども色々教えてくれたし、たまに客室にチップを置いて出て行くお客様がいたときは、こっそりと「お小遣いにしなさい」と言われた。
とにかく可愛がってくれたのだ。
最初は怖かった古株さんだが、喋っていると人生経験が豊富。
私が知らない世界をたくさん教えてもらえて、とても楽しかった。

この仕事で学んだことは、とりあえず何を言われても自分なりに頑張ってみること。
嫌な言い方、教え方をする人もいるが、それなりに真面目に結果を出せば、評価を変えてくれるかもしれない。
どうしても耐えられなければ、そこまで我慢する必要はないが、少しは自分なりに試行錯誤してみることが大事だと感じた。

まぁまたやりたい仕事かと聞かれたらNOと答える。
若いからできた仕事だと思う。
人間関係はとてもドロドロしている世界だった。
訳ありさんが多いとも聞いた。
「あの人は使えない」「性格悪い」「ずるしてる」悪口は日常茶飯事。
そんなにお互いの足の引っ張り合いなんてしなくていいじゃないかと思うが、そうもいかないらしい。
ユニバに行って、働いていたオフィシャルホテルが視界に入る度に、未だにあんな世界なのかな…と遠い目をしてホテルを見てしまう。
夢の裏側は怖い。

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