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【ショートショート】作戦会議

「これがこの建物の平面図だ。見てわかる通り、難攻不落の城と言えるだろう」

イーグルがテーブルの上に図面を広げながら言った。

ホークが口を開く。

「正面突破は難しいか…。コンドル、見回りはどうだった?」

コンドルはノートPCを叩きながら、話し出す。

「昨日確認したけど、エレベーター前、階段前には常時見回りが立ってる感じだなぁ」

それを聞き、僕は頭に浮かんだ疑問をコンドルに投げ掛けた。

「見回りだって交替しているだろ?交替のタイミングを狙うのは?」

それに対し、コンドルはメガネのブリッジを中指で上げながら答えた。

「たしかにファルコンの言う通り、見回りは交替している。ただ、時間がランダムで、タイミングを掴むことは難しいかと…」

コンドルの回答に、僕とホークはため息をついた。

イーグルは、先程から静かに図面を眺め続けているスワローに向かって言った。

「スワロー、何か考えはあるか?」

スワローは図面から目線を離さず口を開く。

「…この建物の配管図はあるか?」

イーグルは、

「配管図?…図面を取り寄せるときに一応手に入れたけど…何か使えるのか?」

と、不思議に感じながらも、配管図をテーブルの上に開いた。

スワローは黙ったまま、配管図を眺める。
そして、口を開いた。

「…やはりな。このダクトが、3階の電気制御室に繋がっている。そして電気制御室からおれ達の目的の部屋までの通り道に見回りはいない。・・・ダクトの中を通って行こう」

一同が驚いた顔で、スワローを見る。

そしてコンドルが、

「ダクトの中を通る!?いやそんなこと…」

コンドルが話し終えるのを遮るように、スワローは言った。

「目的達成のためには手段は選ばない…そう決めたはずだろ?そしておれ達は同じ目的を達成するために集まった…違うか?」

コンドルは俯きながら、

「そ…そうだったな。わかったよ」

と答えた。

しばしの沈黙が続いた後、イーグルが話し始めた。

「よし…スワローの言う通り、ダクトの中を通って行くことにしよう。…作戦実行中も、絶対にお互いコードネームで呼び合うこと。必ずおれらの正体を掴まれてはいけない。いいか?」

イーグルの言葉に、ホーク、コンドル、スワロー、そして僕は、無言でうなづいた。

イーグルは続ける。

「それでは行こう。・・・3階にある、みきちゃん達のいる4組の女子の部屋に」

僕達は一斉に覆面のマスクを被った。



こうして、僕、高橋、三村、進藤、松本の5人は、
この修学旅行2日目の夜、みきちゃん達のいる女子の部屋を目指し、覆面をしながらダクトの中へと入って行った。

修学旅行の夜に女子の部屋に遊びに行くというのはよくある話だが、見回りの先生達もさすがにダクトを通って女子の部屋に行こうとするやつがいるとは思いもしないだろう。

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