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雨かと思ったら降っているのはさくらんぼだった。そういえば、天気予報で曇り時々さくらんぼっ…
教師を30年以上やって経験したことの中で、誰にも話していないことがある。 授業中、生徒の…
友達と二人で穴を掘ったのだが、腰くらいの深さまで掘ったところでへとへとになってしまった。…
人間界にはマフィンというものがあるらしい。人魚の国にはマフィンがない。水の中だとパンが焼…
担当しているプロジェクトが炎上している。どうしても期日を遅らせるわけにはいけないから、こ…
傘を持っていきなさいと母が言うので、晴れていたけど傘を持って家を出た。 放課後はいつも裏…
この世界の始まりには空と海と陸だけがあった。神は、魚のように海の中を自由に泳ぎ回れるものを造り海中に住まわせた。それから、翼を持ち鳥のように空を自由に飛び回れるものを造り天上に住まわせた。 ある日、海に住む人と天に住む人が恋に落ちた。波の下に住むものと天上に住むもの、恋は報われるはずもなかった。しかしどうしても諦めることができない。二人の嘆きは海を轟かし、空を震わせ、神にまで届いた。神は二人の愛の深さを試してみることにした。 「天に住むものが自由に飛び回る力を失い、海に住むも
台所に行ったら祖母が四つん這いになってたのでぎょっとした。 よく見ると飼い猫に顔を近づけ…
坂の途中に小さな美術館があるのは知っていたが入ったことはなかった。 知らない作家の展覧会…
ガラス瓶のなかにマカロンが入っている。いろとりどりのパステルカラーのマカロンが大ぶりなボ…
なんとか物語の部品を集めて組み立てたけど、いちばん重要な部品が見つからない。これがなけれ…
錬金術師の見習いになったぼくは、この岩山をくりぬいた洞窟に連れてこられた。洞窟といっても…
ただ崩れ落ちるのを待っているかのような、築100年近くになるんじゃないかという文化住宅の階…
灰の中にちらりと赤いものが見える。拾い上げてみるとそれは本だった。灰を払うと真っ赤な表紙が現れる。 最初のページには灰が描かれている。ページをめくると、灰のまんなかが微かに赤く見える。ページをめくる。赤いものは小さな火種だ。さらにページをめくると、火種が赤々と燃える炎になる。透明な赤、黄、青。金色の火の粉。ページをめくるたび、さまざまな表情の炎が現れる。 最後のページをめくると、本を取り落としそうになる。ページの上で本物の炎が踊っていたからだ。炎はめらめらとページを舐め大きく