シェア
夜勤を終え、始発の電車に乗って家に帰る。駅からの帰り道、小さな公園を通ると、だいたいいつ…
30年以上銭湯を営業していて、あれはなんだったんだろうと思うことが1つだけある。 いつもと同…
向日葵なんてどこにでも生えているけど、よく観察するとまれに特別な向日葵がある。その向日葵…
あの戦争が終わったあと、放射線の影響で生態系は完全に変わってしまった。そして、夕焼けの赤…
今日はおばあちゃんの72歳の誕生日だ。おばあちゃんは特別な真っ白な服を着ている。その家の一…
窓がびりびりと震えた。見ると、夜中なのに空が赤い光で明るくなって、そのあとドーンという音…
プリンのプラスチックの容器をひっくり返して、底にある突起をぷちっと折った瞬間、突風が巻き起こった。キッチンの棚からなべやらフライパンが落ちる音が響く。全身をなぶる風がやんで、つぶっていた目を開けると目の前に得体のしれないものがいた。全身がクリーム色をしている、二足歩行で巨大な犬のような……生き物なのか? 「わたしはプリンの精霊です。あなたの願いを1つだけ叶えましょう。ただし、叶えられるのはお菓子に関する願いだけです」 いったいなんなんだ。幻覚を見てるのか、それとも夢か。 「プ
一晩中降り続いていた雨が止んだ。夜空を覆っていた雲が途切れ、満月が顔を出そうとしている。…
王宮の一室、宝石箱を前に睨み合う男と女。 「この宝石は代々王家に伝わるものだ。おまえみた…
「私とあなたは前世で2つ並んで流れる彗星だったんです。小惑星が砕けて生まれた2つの彗星は…
ゴンドラにくくりつけた気球にヘリウムガスを注入する。固定索を外すとゴンドラはふわりと地上…
荒野の地平線に夕陽が沈んでいく。 睨み合う二人のガンマン。腰のガンベルトにゆっくりと手が…
殺すつもりはなかったが、もみ合っているうちにナイフは相手の胸に刺さっていた。ナイフで脅し…
ひさしぶりに帰った実家で幼馴染と再会した。 両親が亡くなって空っぽになった家は、記憶の中の家より一回り小さいミニチュアのように見える。 子ども部屋のドアを開ける。日が暮れかけていて、部屋は暗い。光が届かない部屋の隅に幼馴染たちがいた。針金で作った人形みたいな姿でぎくしゃくとこちらに歩いてくる。昔遊んでいたころの面影はまったくない。鳴き声のような音をたてているけど、なにを言っているのかわからない。 布団の中、電気を点けてない部屋や廊下の隅の暗闇の中でしか会えなかったけど、友達の