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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #9 【7日目】ロンセスバージェス〜ララソアーニャ

こんにちは、ナガイです。今日は初めて20km以上の距離を歩きます。当初はスビリ(Zubiri)まで歩く予定でしたが、途中で予定を変更して一つ先のララソアーニャ(Larrasoaña)という町まで歩きました。
前回の記事はこちら。

天気予報(ロンセスバージェス) 晴れ 最高気温14℃ 最低気温4℃

5時半起床。今日は7時間ほど眠れた。ピレネー越えの疲労もあり、ヨーロッパに来てから初めてぐっすり眠れた感じがする。肩や脚に多少の筋肉痛を感じるが、それほど深刻なダメージはなさそうだ。6時になると起床の合図なのか、どこからか讃美歌が聞こえ始める。7時前に出発。

昨日会ったスウェーデンのマルコスに少し感化されたようで、体が慣れてきたらもっと長い距離を歩いてみてもいいかもしれないと思い始める。

歩いてすぐのカフェで朝食。パンオショコラ、コーヒー、水を買う。4.1ユーロ。

ドイツから来たという男性が「座ってもいい?」と声を掛けてきたので少し会話を交わした。彼は今日40km先のパンプローナまで行くそうだ。

カフェを出るとAuberge Bordaで同じ日に泊まっていた、40年以上勤めていた銀行をリタイアしてカミーノに来たというドイツ人の男性とばったり遭遇した。一晩寝食を共にしただけで「やあ、また会ったね!」と笑顔であいさつできるのはなんだか嬉しい。空はすでに白み始めてきている。

しばらく歩いていると前をゆっくり歩いている男性がいる。早めに出発していたフランスのドリアンだ。彼は昨日までの巡礼で足を痛めてしまったようで、スビリならそこまで遠くないから急がなくて大丈夫だよ、自分のペースでね、と励まして先を行く。

途中で少し道を間違えてしまい、引き返すと後ろを歩いていた女性に見られてしまった。「いやー間違えちゃったよ。気づいたら前に誰もいなくてさ、ハハハ…」としなくてもいい言い訳をしながら彼女を追い越してそそくさと先を歩いた。

歩いていると暑くなってきたのでダウンジャケットを脱ぐ。山道を抜けるとエスピナル(Espinal)というこぢんまりとした町に行き当たる。

町を通り抜けて再び山道に入る。この辺りは車道に沿うように巡礼路が通っているようで、山道を歩いては車道に出て、また山道を歩いては車道に出る、の繰り返しだった。

自転車でスペイン巡礼している人たちもよく見かける

そうしてしばらく歩いていると、後ろから一人の男性が歩いてくる。巡礼者とすれ違うことは一日に何度もあり、かといって大抵は一言挨拶を交わすだけなのだが、気の合う人とは自然と会話するようになるから不思議だ。彼はイタリア人のルイージ。まだ20代前半で、その年齢で一人カミーノに来る行動力に驚かされる。しかも彼は昨日テント泊をしたらしく、また今日はアルベルゲで自炊するつもりとのことで、すでに旅の達人だ。

「任天堂のルイージの色だよ!」と言っていたバックパック

途中には何箇所か木が倒れて道を塞いでいる場所があったが、それも「マリオのゲームみたいだね!」と冗談を言いながら跨いだり潜ったりして通る。

そうこうしているうちにバスク語で「橋の村」を意味するというスビリに到着。ルイージは今日中にパンプローナ(Pamplona)まで歩くつもりだそうで、自分も今日はもう少し歩いてみることにした。とりあえずスビリで昼食を取ることに。バルでベーコンのボカディージョとコーラを注文。8ユーロ。ボカディージョは悪くなかったが、ロンセスバージェスの方に軍配が上がる。ルイージはトルティージャ(スペイン風オムレツ)とビールを頼んでいた。

昼食後に少し町を見たいと言うと、ルイージが「僕が荷物見てるから行ってきていいよ!」と言ってくれたのでお言葉に甘えて10分ほど町を散策した。水が無くなっていたので商店で購入。0.6ユーロ。

散策から戻ると、ルイージがイタリア語で誰かと話している。彼の名前はルカ、ルイージと同じイタリア人だ。ルカも今日パンプローナに行くつもりのようなので、スビリから3人で歩くことにした。

ルイージは道に落ちているゴミを進んで拾ったり、話していても本当に心がきれいな青年だと思うが、ルカも一見強面ではあるものの話すと接しやすく、お互いの仕事が近い業界だったこともありすぐに意気投合できた。

スビリから1時間ほど歩き、今日の目的地であるララソアーニャに到着。ルイージに「パンプローナでのクッキングを楽しんで!」と言って笑顔で別れ、彼らの背中を見送る。

ララソアーニャでは一軒目のアルベルゲはすでに満室で入れなかったが、二軒目のアルベルゲは空いていたのでそちらに泊まることにした。

ここのアルベルゲは一部屋が2段ベッド×2台の4人用になっている。

同じ部屋になったのはドイツのリサ、オーストラリアのシャロン、イギリス国籍の中国人アニータで、自分以外が全員女性だったので若干気まずかった。ちなみにアニータという名前は、彼女の旦那さんが中国以外の国の人たちが分かりやすいようにと付けてくれた名前らしい。シャワーと洗濯を済ませて町へ出る。この町はレストランやバルがなく、あるのは小さな商店が一軒のみ。水×2本を購入。1.8ユーロ。

夕食はサン・ジャンで買ったドライフルーツとチョコレートの残りで済ませる。ここのアルベルゲも消灯は22時。消灯前に裏庭で干していた洗濯物を取りに外に出ると、夜空にはたくさんの星が輝いていた。あらためて、東京からはるばる遠くまでやって来たのだと思った。

歩いた距離

今日27.0km 合計52.0km 残り728.4km

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