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インターフェロン - INF
注釈
インターフェロンとは
インターフェロンは、生体防御に作用しているタンパク質で、ウィルスなどの病原体や癌細胞などの防御反応として生産されるサイトカインです。
その性質から、炎症や免疫の調整なども行なっています。また、B細胞などの免疫記憶にも関わっていることが判っています。
私たちの身体の免疫に広く関わっていることが明らかにされつつあります。
インターフェロンには、I型、II型、III型に分けられます。
I型は、IFN-α、IFN-β、IFN-δ、IFN-ε、IFN-κ、IFN-ω、IFN-υ、IFN-τ、IFN-ζ
上記の内、人の体内で見つかっているのは、
IFN-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-κ、IFN-ω、IFN-υ
II型は、IFN-γ
III型は、IFN-λ1(IL-29)、IFN-λ2(IL-28A)、IFN-λ3(IL-28B)
IFN-α、IFN-βの受容体は、IFNAR-1とIFNAR-2
IFN-γの受容体はIFNGR-1とIFNGR-2
インターフェロンは、相互に影響を与えあっていることが判っています。
これらのインターフェロンは、サイトカインの一種です。サイトカインは、主に免疫系細胞から分泌されるタンパク質で、細胞表面に存在する受容体との結合などを介して、細胞間の情報伝達を担っています。
インターフェロン治療
近年、インターフェロンの働きが解明されていく中で、インターフェロンを人為的に体内に入れる治療が行われるようになりました。
主に癌の治療に使われていますが、他の病気の治療にも使われています。現在医薬品として、α製剤、β製剤、γ製剤が承認されています。
インターフェロンはタンパク質分解されるので、完治が見込まれるまで定期的な投与が行われています。
インターフェロン投与による強い副作用や自己免疫疾患の発症が認められています。
インターフェロンと自己免疫疾患
インターフェロン投与の治療によって、自己免疫疾患が生じた症例が上がっています。
自己免疫疾患のメカニズム
全ての自己免疫疾患のメカニズムの解明はされていませんが、一部の自己免疫疾患の免疫記憶には、B細胞が関わっていることが判っています。
B細胞内部のToll様受容体TLR7が、異常のある自己細胞に対して、I型インターフェロンを生産すると、自己抗体を生産するようになり、自己免疫疾患を引き起こします。
イ ン タ ー フ ェ ロ ン の 投 与 に よ り顕 性 化 し た 自 己 免 疫 性 肝 炎 の 一 例
腎細胞癌がの治療にIFNを投与したところ、自己免疫 性肝炎が出現した症例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi1964/88/2/88_2_209/_pdf
インターフェロンの抑制
インターフェロンはその形態に関わらず、相互に関係し合っていると考えられています。
インターフェロンは、癌の発症にも関わると言われていて、特に、インターフェロンα、βの投与が一部の癌に有効であると言われています。
また、新型コロナウィルスの研究において、新型コロナウィルスに、非常に強いインターフェロン抑制効果があることが明らかになりつつあります。
インターフェロン-λ3
新型コロナウイルス感染症患者のうち、重症化リスクの高い患者を把握可能なインターフェロン-λ3の検査が保険適用とされています。インターフェロン-λ3の血液中濃度が高まると言われています。
また、重症化患者の一部からは、自己のI型インターフェロンを攻撃する中和抗体を持っている者が多いことが判ってきています。
インターフェロンとp53
p53に異常があると、発癌の可能性が優位に上がることが判っているが、インターフェロンα、及び、インターフェロンβによって、p53の生産レベルが上がることが判っている。
この生産の誘導には、ISGF3を介している。p53の生産に関与するが、p53の刺激には関与していない。
インターフェロンと化学物質過敏症
研究により、化学物質過敏症(MCS)罹患者のインターフェロンγ産生能が有意に低いことが認められています。
インターフェロンγは、自然免疫系と獲得免疫系の両方に関与するTh1系サイトカインで、MCSではTh1系の反応に、なんらかの不全がある可能性が示唆されています。
インターフェロンγについて
化学物質過敏症に関連する可能性のあるインターフェロンγについて、下記に記載します。
参照
インターフェロン
Interferons
著者: David S. Goodsell 翻訳: 工藤 高裕(PDBj)
PDBj入門
北海道大学 遺伝子病制御研究所 分子生体防御分野
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