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昨夜の地震で思うこと…

昨夜の地震は、瀬戸内では珍しいレベルで揺れました。

関東に40年近くも住んでいれば、おそらく誰でもそれなりに地震慣れして、基本的には「震度5を超えたら本気出す」程度までに地震に対しては自然と腹を括ったような感覚になるのですが、如何せん今のオレの住む部屋があるのが、築半世紀物件の8階ともなれば、話は少し変わってきます。

建物の構造が木造だろうと鉄筋だろうと、地面と同じ平屋とか1階にいる時に地震に遭うのと、2階以上の上の階で遭遇するのでは、多少なりとも体感が違います。

オレが生まれて初めて震度5の縦揺れの洗礼を受けたのは、おそらく20歳前後。アルバイトを始めてて結局はそのままそこに就職することになる神保町交差点からもさほど遠くない千代田区外神田にある編集プロダクションで働いている時だった気がします。一階は牛丼&カツ丼チェーンの路面店。各フロアに1テナントずつ入るいわゆるペンシル型の賃貸雑居ビルと言われる建物の5階にある事務所でした。

オレは、ここで業界における仕事のやり方全般を覚えたのですが、この会社組織の母体は都内某大学のSF研サークルから始まったらしく、そんな出自もあるからか、同業種にありがちなやたらガツガツ日常的に仕事をやっているといった雰囲気は全体的にあまりなく、どことなく趣味が昂じて仕事をしている人が自然と集まった共同体のような印象の職場でした。

自分より背の高いスチールラックを背負う形で座るオレのデスクの右隣りは、ITC(ジェリー・アンダーソン製作の一連の人形特撮ドラマと言った方がわかりやすい?)関連では世界屈指のコレクターである伊藤さんの、24時間稼働している地デジ化前の各種AV機器を詰め込んだタワー型のラックだったので、夏場の放熱がキツかった。オレの右後方のトレス台も兼ねた机では後にヤンジャンで連載を始めることになる上京したての某マンガ家さんがイラスト描いてたり、オレの高校の同級生が伊藤さんの下請けバイトで何か描いたり塗ったりしてるし、有名モデラーとか原型師が各種の創作系バイトをしてたりただ単にダベったり遊びに来てたりもしていたわけですよ。しまいには怪傑のうてんきが素顔のままちょくちょく現れるしね。

有名無名問わず、これからの人も発展途上の人も、すでに終わった人も有象無象ごちゃごちゃ入り乱れて仲よく仕事したりしていましたね。

そんな趣味と仕事の境界が極めて曖昧な世界は、言うなれば押井守の「ビューティフルドリーマー」で時間軸がおかしくなって永遠に終わらない文化祭前夜を延々と繰り返すことになる友引高校の木造校舎のようでした。

最新の家庭用AV機器や各分野のコレクターアイテム、テント型の暗室にアタリ取り用の引き伸ばし機、トレスコ、ゲーム用パソコンとソフトの乗ったステールデスク、膨大な資料と書籍が収まった高さ180センチの大型スチールラックが並ぶ環境。

そんな梁山泊での初めての震度5の縦揺れ。

正直、肝を冷やしました。アレは個人の資質として豪胆かビビりか以前に本能というか反射的に胃が縮み上がりますね?

前兆の横揺れでもない限り、縦揺れには防御姿勢とかの対応は不可能。

それにしたってオレが地震に際して、背の高い書棚やラックが自分に向かって倒れてこないよう、何はともあれまずは反射的に支えてしまうのは、あの洗礼を受けた頃から身についた習性なのかもしれません。安全を考えるなら、良い子は決して真似をしないように。

それで時を経て東日本大震災ですよ。あの時もオレは当時の職場である地上8階のオフィスにいました。

ここで、物理的な検証も根拠もなく、あくまでオレの個人的な感覚で言わせてもらうと、地上から数えて3階フロアが上がるたび、震度の体感は少なくとも1度ずつ増える気がします。

東日本大震災の時の都内は概ね震度5〜6でしたが、8階にいたオレは、正直生きた心地はしませんでした。この世の終わりとはこういうことを言うのかと、揺れている最中はずっと思っていました。

以前にも書いていますが、揺れが収まり、階下の様子を見に行くと、2フロア下がるとすでに口にする地震の状況に対する感覚がまるで違いました。

それで昨夜の地震ですが、報道によるウチの地方の震度は3。

震度的には、実際の震度の割にはけたたましくも不快な緊急地震速報のアラーム音が脅しあげやがって!…な印象ですが、前述のオレ理論による体感震度では5強に換算。横揺れの割には長く大きく揺れた印象です。

実際にも家具や食器等の倒壊や落下はありせんでしたが、今朝起きて改めて見たら流し台の下の収納扉が半開きになっていましたから、やはりオレの気のせいばかりではなく、それなりに揺れていたのだと思います。

それにしても、こういう時の一人はかなり怖い。

だからといって、オレにはおとなしく高齢者や障害者向けの介護施設に入る気は毛頭ないのですけどね。

https://hicbc.com/magazine/article/?id=post-5473


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