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創造性・クリエイティビティとは何か#4

創造性の定義はまだない

創作活動をする上で、創造性=クリエイティビティは不可欠です。
では、この創造性とはいったい何なのでしょうか。

日本創造学会のHPによると、
創造性とは「創造を生み出す人間の持つ力」とあります。
しかし、創造性の定義そのものが研究対象であり、
未定義というのが現状のようです。

下の記事で、創作とは創造という神の行為を人間が模倣することだと
書きました。
創造性とは人間が神の行為を模倣する能力ということになります。
神の行為そのものが人間にとって計り知れないものである以上、
創造性が計り知れないものであるのは当然です。


定義がなくても創造性は存在する

定義ができないものをどう理解すれば良いのでしょうか。

少なくとも、人間が発達した文化・文明を築き上げてきたことは事実です。
それらは偶然の産物ではなく、生活を豊かにするという意図をもって
人間が創作したものです。
神にどれだけ近づけたかは別として、創造性という人間の能力が存在し、
それを発揮して表現することでその存在を証明してきたのです。

創造性は天賦の才ではない

創造性は誰もが持っているのか、限られた人だけが持つ能力なのか。

非凡な才能をもった天才と呼ばれる人たちがいるのは確かです。
しかし、天才の力だけで今の文化・文明を築いたと考えるのには
少し無理があります。凡人に全く創造性がないのであれば、
天才の創造性を理解することも評価することも受け入れることもできず、
その創作物が人々の生活に広く根付くことはないでしょう。
天才と凡人に差があることは間違いないとしても、凡人も少なからず
創造性を持ち、多くの人々が大小さまざまな創作が行い積み上げた結果が、
今の多様な文化・文明だと考える方が自然ではないでしょうか。

創造性の優劣って何?

創造性に定義がないということは、評価基準もありません。
あるのは、実際に新しいものを生み出したか、実績があるかどうかです。
優劣の評価をするのはもちろん人それぞれ自由なのですが、
創造性の定義と評価基準を独自に設定しているということなので、
それらを明示した上で評価しないとアンフェアだと思います。

ある作品について新し過ぎて誰も見向きもしないと評価されたとします。
新し過ぎるとは、人の理解を超えているということでしょう。
周囲の人の理解力を判断する能力が乏しかったことを以て、
創造性が低いと言うなら、一つの意見としてはアリかもしれません。
10年後には人に理解されるから先見の明があるということで、
創造性が高いと言う人がいるかもしれませんが、
作者の創造性よりも評価者の未来予知能力の方が気になってしまいます。

独自の定義

何らかの考え方がないと先に進まないので、私なりに定義してみました。

創造性とは、新しいものを生み出すために必要な3つの能力の総称。

  • 知識や経験をもとに直観的に着想する能力

  • 着想したものの内容や意味を理解しやすく概念化する能力

  • 実体のない概念を具現化する手法や仕様をデザイン(設計)する能力


補足説明

  • 着想とは、頭の中に取り留めもなく浮かんでは消えていく雑念の中から、
    自分が大切だと思うものを意識的にピックアップして、
    頭の中から消えてしまわないようにする能力です。
    それが何なのかはっきりとイメージできてない、思いつきレベルで
    かまいません。

  • 概念化とは、着想したものを頭の中でイメージを膨らませたり、
    言語化によって意味づけをすることです。
    アイデアの概略と本質部分を明確化することで、
    自分のやりたいことかどうかを判断できるようにします。

  • デザインとは、単に図柄や模様や絵を描くという意味ではなく、
    自分が実現したいアイデアや想いを伝えるための理想的な姿、
    表現の手法や作品の仕様を考えることです。
    頭の中で大まかな構想ができたら、ラフスケッチを書きながら
    ブラッシュアップすることになります。

まとめ

あくまで個人的な仮説ですが、

創造性 = 着想 X 概念化 X デザイン

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