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蛙化現象の考察 〜フードコート〜

Z世代流行語ランキング1位の座に輝いた「蛙化現象」という言葉。

その辞書的な意味は、「好きな人に好きって言われると途端に気持ち悪く思えること」とされている。

転じて、好きな人に対して「気持ち悪っ」「ダサっ」「見てられない」と生理的な拒否反応が起こる現象全般も蛙化現象と呼ばれるようになっている。

好意を向けたら拒否されるというのはとても理不尽なことに感じるけれど、流行語ランキングが証明しているように、女にはこれがよく起きる。

(転じたver.の蛙化現象あるあるを取り上げている、きりまるちゃんとえみ姉のこの動画が本当に好き!笑)

今回は蛙化現象の代表例としてよく挙げられる、「彼氏がフードコートでお盆に水を乗せて持ってくる姿を見ると萎える」について、なぜ女子はそうなってしまうのかを考察していきたいと思う。

客観視するから

付き合うまでの男女は、心と体の距離を縮めることをゴールに船のオールを共同で動かしているかのようだ。

両想いであることを確認した時、2人の距離の近さはピークに達する。

そこからは2人だけの世界観が生まれてゆくのだ。

「フードコートでお盆に水を乗せて運ぶ彼氏を見る」ということは、「行き交うたくさんの人々の中で彼氏が同じように存在し、こちらに向かってくる様子を認識する」ということだ。

2人だけの世界観にいることしか想定していなかった彼氏が、物理的な距離をとって自分の目に映っているー。

それは、彼氏が自分の主観から離れること、つまり、客観的な視点で彼氏という男を眺めることを意味する。

自分の主観においては愛しい存在だったとしても、客観で見るとそうでもないということは十分に起こり得ることだろう。

「こんな顔してたっけ?」
「こんな背丈だったっけ?」
「こんなに冴えない男だったっけ…?」

となり、そこから生理的に拒否したい気持ちが生まれるのではないだろうか。

慎重に運ぶ姿

「フードコートでお盆に水を乗せて運ぶ」という行為は、慎重さと注意力を要するものである。

走り回る子どもや滑りやすい床を避けながらも、コップから水がこぼれ落ちないように細心の注意を払わなければならない。

目的地は愛する彼女。
よーし、頑張って運ぶぞ〜!

一方、彼女の目には、これまでに見たことのない神妙な顔をしてプルプルとバランスをとりながら前進してくる彼氏が映っている。

「こんな顔するんだ…」
「なんかダサいかも…」

客観視圏から初めて見る彼の表情には、思わず顔が引きつってしまうものがあるのだろう。

きりまるちゃんも動画の中で言っているように、蛙化現象は“初めてのシチュエーション”に弱いのだ。

何かをしてくれるという行為

「フードコートでお盆に水を乗せて運ぶ彼氏」は、彼女のために水を入れて運んでくれる、優しい彼氏であることには間違いない。

一方で、彼氏と彼女になる以前の話。
もともとその男を好きになったのは、彼が追いかけたくなる存在だったからではないだろうか。

手に入りそうで入らない、なんとかして手に入れたい。

そういう存在だったから価値を感じていたのに。

どうして、わたしのために何かしてくれるの?
こんなに簡単に変わるものなのーー?

そのように感じてしまうと、素直に「嬉しい」「ありがとう」と思う気持ちよりも、「何、この人」という違和感の方が前に出てしまうのではないだろうか。

食にまつわること

蛙化現象は、“食にまつわること”に特に弱いと感じている。

食欲は人間の三大欲求のひとつである。

フードコートは、多種多様なスタイルを持つ飲食店からそれぞれに食べたいものを選び、お腹を満たすことのできる場所だ。

「欲を満たす」という行為を始めようとしている時に、さまざまな選択肢を与えられて、あれこれ悩んだ挙句、お互いが足並みを揃えるでもなく、それぞれに好きなものを食べる。

飛躍した論理ではあるが、これを性欲を満たすことに置き換えると、どうだろう。

「あれこれ悩んでそれぞれに違うもので満たされる」という状況は、愛し合う男女が経験することとして適切なことではないのかもしれない。

これが前提になっているフードコートで、お盆に水を乗せて自分のために慎重に運んできてくれる彼氏を客観的に見てしまうー。

「彼氏がフードコートでお盆に水を乗せて持ってくる姿」には、蛙化現象の要素が満載なのである。

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