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シーズン2

18歳の女子高生が家庭裁判所に電話をかける。

文字にすれば、とんでもないことが起きているみたいだ。

だけど、これは我が家、娘にとっては、シーズン2のはじまりなのだ。

私は娘が幼い頃に、離婚をし、まぁかなり揉めてしまい、
結果、娘の親権は父親に、
養育権は、私がもらうことができ、
毎月娘と父親が会える時間を必ず作る、という約束を続けてきた。

戸籍上は父親側に入り、娘は名字も変えないことも条件だったので、

私と娘は、十数年、名字の違う母子としてやってきた。

戸籍と名字が違うだけで、
リアルに一緒に生活している母子なんだけど、職場での手続き、保育園や学校、病院など、
さまざまな場面で、色メガネで皆様に見ていただいた。
なんだかちょっとややこしい家庭環境なんだね、と言われなくても、こちらから事情を説明しないといけない場面とは多々あるもので、

なんども、芸能人のアルファベットや、カタカナの名前だけ、
というのに憧れた。世の中、そうなってくれないかなぁと。


18歳の娘がある日突然言う。
「戸籍や名字を母さんのほうに揃えたい。
もう、18歳になったから、
親権とか、もうそういうのいいよねぇ?」

娘は自分の力で調べ、自分の意志で、決めてきた。

本来なら、わたくし母ちゃんが振り回してきたのだから、
母ちゃんが手続きを進めればいいし、それが当たり前なのかもしれない。

だけど、これは、
娘に自分で手続きの準備をしてもらおう!
と思った。

生きる力、ハプニングが起きても、対処できる力、
世の中のしくみ(めんどくさいこともそうでないことも)
自分の感触で、掴んでいってほしい。


翌日、娘は、「緊張する~、ちゃんとしゃべれるかな(笑)」
なんて言いながら、
管轄の家庭裁判所や、役所に、問い合わせの電話を、ひとりでかけまくっていた。

そうだ、そうだよ!


私は、娘を振り回してきた。
それは、もう取り返しがつかない事実だけれども、
こうして今まで一緒にいてくれた。

ひょっとしたらあと数年で、大切な人に出逢えて、また戸籍も名字も変わるかもしれないのに、

18歳で一度、自分というものを、整理しようとしている。
かっこいい。

『未来にどうの…』とか昨今声高に言われているけれども、

何よりも今、子どもたちの心や、環境が平和であってほしい。

子どもたちの心や思考が健康に育っていってくれること、そのためには、今いる
大人たちが、心や思考が健康でいられるよう、気づいた人からつとめること。

それがすべてにつながる源のような気がしてならない。






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