人間作業モデルを実生活に活用する。 –習慣化編–
人間作業モデルとは
人間作業モデル(以下、MOHO)は作業療法の代表的な理論になります。
MOHOは幅広い領域の臨床で使用されており、エビデンスが日々構築されています。
せっかくなので、MOHOを臨床だけではなく、実生活で活用できるように考察していきます。
※この記事はあくまで私の考察であり、エビデンスに基づく論理ではないことをご了承ください。
習慣化について
みなさんは毎日または毎週行っている「習慣」はありますでしょうか?
私は「読書」「英語勉強」「空手」を継続して行っています。
しかし、自分が好きな作業でもない限り、毎日続けることは大変ですよね。
資格勉強、ダイエット、筋トレなど、苦痛が伴う作業は特に困難です。
MOHOでは
と考えられています。
つまり、習慣化には物や人を含む「環境」を利用することが重要です。
具体的な方法について考えていきましょう。
環境を利用する
環境は、物理的環境と社会的環境の二つがあります。
物理的環境の例
「居住地」「道路」「車」「公園」「職場」「コンビニ」「時間」など
社会的環境の例
「家庭」「人間関係」「コミュニティ」など
どちらの環境でも、変化させることで習慣化が促進されます。
物理的環境を変える
「書く」ことを習慣化するために、秒で書ける状態にする。
(リビングやベッドサイドに紙とペンを用意したり、スマホのホーム画面にメモアプリを置いたりする。)
「読書」を習慣化するために、バッグやリビングに読みたい本を用意する。
(通勤などのスキマ時間を有効活用する。)
社会的環境を変える
「勉強」を習慣化するために、勉強会やコミュニティに参加する。
(他者が介在することで、自分の知識不足が露呈しないよう勉強する強制力が働く。)
「善い行動」を習慣化するために、付き合う人を変える。
(優しい人や憧れる人の行動を真似することで、自分も同じようになる。)
小さく始める
習慣化のコツは、ばかばかしいぐらいに「小さく始める」ことです。
「筋トレ」であれば、腹筋を1日1回。
「読書」であれば、1日2ページ。
「勉強」であれば、1日1分。
この考え方は、名著である「小さな習慣」から引用しています。
MOHOで考えると、行動するために必要な「意志」の力が小さくなり、「習慣化」が促進され、「遂行技能」が向上していきます。
さらに前述した「環境」を利用することで、「習慣化」が加速します。
生活スケジュールを見直す
一日のスケジュールを考えるとき、30分ごとに行っている作業を列挙できる「作業質問紙(OQ)」を使うと便利です。
OQが無くても、一日に行っている作業を時間ごとで書き出すことで視覚化されます。
動画視聴やSNSなど自分が無駄だと思う時間を確認し、そこに習慣化したい作業を入れると効果的です。
複利で伸びる
複利は習慣と深く結びついています。
小さな習慣(1%の行動)を1年間続けた結果、
1.01の365乗= 37.78
1年間で約37倍向上します。
これを10年間続けると、
1.01の3650乗=5,929,448,572,069,368
とんでもない数になります。
この考え方も、名著「ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣」から引用しています。
さらに興味深いことに、ジェームズ氏は「習慣がアイデンティティーを形成する」と述べています。
行動変化の三つの層として「結果」→「プロセス」→「アイデンティティー」を挙げています。
「結果」は自分が獲得するもの、「プロセス」は自分が行うこと、「アイデンティティー」は自分が信じていることです。
簡潔に纏めると、「読書家」になりたいなら、本を読むことを習慣にすることで、少しずつ自分が読書家であると実感できます。
これはMOHOの「作業同一性」「作業同一性」に相当すると考えます。
自分が望む人間(作業同一性)になるためには、行動する習慣によって作業有能性を向上させる必要があります。
最後に、MOHOの「習慣化」を活用する例を提示します。
「習慣化」英語を毎日学び、話すことが習慣となる。
「意志」行動するために必要な意志力が小さくなる。英語話者としての実感が高まる。
「遂行技能」英語力が向上する。
「環境」英語を話すための環境が整う。
※MOHOでは4つの要素が相互作用しているため、決まった順番はありません。
まとめ
「習慣化」は複利で伸びるように、時間はかかりますがその効果は絶大です。
手っ取り早く行動を変化させたい方は、先に「環境」を変化させることをおすすめします。
環境については、こちらの記事もぜひご覧ください。
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