夜に静かに雨は寝息をたてて
蛍光灯に見下ろされた私には
必死に輝く銀色が
花束のようにみえました
お肉や野菜が焼ける音の輪郭に
家族の声が冴え返り
コンロの火のひとつひとつが
人間のようにみえました
食器棚の
真っ白な陶器のお皿を見る度に
私は大人になったことを悲しむのです

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