猫背曲(ネコノセマガリ)

宮崎の高校生です!フッサールの倫理思想について探究しています。詩作メインで創作しており…

猫背曲(ネコノセマガリ)

宮崎の高校生です!フッサールの倫理思想について探究しています。詩作メインで創作しております。若々しくはありませんので、お水をください。できれば、ガラスのコップに入ったものを。

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連載 リルケを読む。0

いまだ、誰かの手にある本を想う 頼んだ本が届くまでの期間は、少しの活字も読みたくなくなる。それは読んでいる本に対して無礼な振る舞いをしないためである。そしてこの期間は、恋人が見せた視線の意味を考える時間のような、幸せで少し苦しい思いに似ている、と私は思う。 図書館で朝食を ―おや、あそこの棚に、やけに分厚い本があるな。冷たいアスファルトで休んでいる雨水たちのような色をしている。うん、フランス文学の棚だ。『失われた時を求めて』だったらもう少し厚いかな。近づいてみよう。ああ

    • 恋愛詩

      Twitterで上げた恋愛詩です。 貴方を愛するよ でも私の全部は上げられない 優しい貴方には ちょっと早すぎるからね 貴方を愛しているよ それでも私の心は自由 片付けが苦手な貴方を バカにしてあげます 貴方に愛されています だけど貴方の愛の全部は 受け止めきれない 真面目な貴方に お腹をかかえて笑ってしまうから お前の挑発的なその瞳に 俺はなんども泣かされた やりかえす勇気もねぇ俺は 早く時間が過ぎればいいのにと思ってた お前が他の男と喋っている時 俺はお前以外と笑って

      • 花火

        大きな花火 小さな赤提灯 真っ直ぐな道は 光を引っ張っている 僕は君の 勇気を手に取って コンビニに行く 花火と水とこれください 水は手に持ちます 暗いままの空の下 アスファルトの上で 二人で火をとかす 冷たい水が温くなって 花火は死んで 最後の僕たちは 互いに炎をみている ずっと暗いままの外 窓は真っ黒な熱さに塗られている 水色の重たそうな浴衣を 僕はじっとみる 部屋の本の匂いが妙に艶めかしくて 日常を振り返ってしまう 彼女の黒に触れてみる 二人疲れて背骨をくっつける ゆ

        • 短冊

          夜が重くのしかかる 沸騰する光の中を 辿る革靴の音 胸につかえるものを 落とすように うつむいて 足早に だんだん浮いて アスファルトが指さした 星を見た 七夕の夜に 一万円札をもって 私はあの子のもとへ向かいます

          債務者

          まともに生きられないのなら、まともに死ね お前の柔らかき腕は、その滑らかな足は、その為にある お前は死ぬために生まれてきたのだ 死ねない奴らに中指を立て 死んでいく奴らを笑ってやれ お前は債務者なのだ お前はいつか死を返さなくてはならない とびっきりの利子をつけて

          夜に静かに雨は寝息をたてて 蛍光灯に見下ろされた私には 必死に輝く銀色が 花束のようにみえました お肉や野菜が焼ける音の輪郭に 家族の声が冴え返り コンロの火のひとつひとつが 人間のようにみえました 食器棚の 真っ白な陶器のお皿を見る度に 私は大人になったことを悲しむのです

          焦げたパン

          私は焦げたパンの妖精です ざらざらの羽で、 くずれそうな朝の空気に 傷をつける 悪い妖精です でも 私は貴方の手によって生まれたのです まだバターの匂いがしみついている 指に押された後が、ほらここに パン切り包丁は、ほらあそこに 私は きらきらの妖精になれたのです 明かりを消した寝室で ゆっくりと光る 愛する人の太腿のような、 翼をもつことができたのに 飛んでいって、貴方の鼻にキスをすることができたのに 私は貴方に嫌いをみせるしかないじゃありませんか

          積読の詩

          お部屋は 5月の光にうっすらと濡れていて あちらこちらに積まれた本は 砂浜で静かに風 を受ける 滅びた貝の街のようです 私がすべすべとしたページを落とすときにでる 小さなそよ風が 浜にふくのです あぁ 母のやわらかき腕(かいな)のように 積もった本が じっとわたしをみつめていました ぷいっと私は顔を背けました 活字は 冬の蠅に似ていると思いました つい喉が震えました そして ため息が吐き出され ふんわりと軽くなった私の頬は ついつい浮いてしまうのでした 今読んでい

          病室

          白が私に噛みついて 閉じた瞼は私を突き放して 病室には静けさが降り積もります かなしいのです やわらかなベットにかなしいしわができていて いたたまれなくなって わたしは廊下に逃げ出しました ああ 病院の清潔な床は なんて哀れな音をださせるのでしょうか わたしはきっちりと手入れした ぴかぴかの革靴を履いてきたことを 後悔しました あのひとのところに戻るのが 恥ずかしいような気がしました 涙が すべすべとした私の頬に流れていました こすったら 甘いりんごのかおりがしました わたし

          くずれる

          朝には魚が 鱗を光らせて ちぎれた挨拶を ひきつれます ほろほろ落ちる 工業団地の けむりはとけて 魚たちの 大きなえらに かけこみます ひろがっていきます あっという間に 彼らは光りになって   ちいさくなっていきます 夜には鱗が 沈んで 輝く泥となります ひっそり歌う 濡れた森に おうむは一匹 音は 流れる川をかためていきます くずれていきます なにをみているのですか  くずれていきます

          メモ:ちょっと考える―〈倫理〉が〈語られる〉ということ―

          学としての倫理学、または倫理を〈語る〉ことは、〈倫理〉から離反することになる。 〈倫理〉は最も人間的なものであり、だからこそ人間に最も反するものとなる。これは、〈倫理〉が、〈真理〉とは異なるということ、そして〈倫理学〉が〈真理〉を扱うことを〈至上〉とすることを暴きだすものである。 〈私たち〉は〈反省〉といったかたちでしか〈倫理〉を取り扱えない。そもそも、〈倫理〉は〈反省〉、つまり〈懺悔〉である。 もし、この〈反省〉を度外視して、〈倫理〉の〈存在〉を問題にしたとき、私たちは〈倫

          メモ:ちょっと考える―〈倫理〉が〈語られる〉ということ―

          詩 かがみにふれないで

          かがみにふれないで 無関心に立つ、背筋が伸びた鏡の前で 気難しい青年のような顔をしないで。 曇りのない鏡には、赤く目をはらしたあなたの顔が より子供っぽくなって映っている。 かがみにふれないで 閉じ込められて動けなくなった光である鏡は、 あなたの瞳を揺らす涙をぬぐってはくれないでしょう ただ、あなたの生活の光を映し続けていた鏡は、 あなたのその涙が、〈光〉であることをあなたに知らせます。 かがみにふれないで 私だけに涙をみせて 輪郭ばかりがはっきりして 常にぼや

          詩 かがみにふれないで