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すべての小説には僕のかけらがある

今まで書いたすべての小説に僕のかけらが含まれているように思います。多くは自分が体験した記憶なのですが、僕の性格や聞いた話や読んだ本の一部が小説に内包されています。

ふたりの余命」の登場人物は、大怪我をした経験がありますが、これは僕が車に轢かれたときの記憶を元にしていて、作中の容態は僕が実際に被った怪我に合わせています。
ふたりの余命」は昔の体験を用いている場面が多く、登場人物が中学生時代に小説を書いていた話も僕と同じです。

コクーンマンションへようこそ」は当時住んでいたマンションの理事会に参加した体験が執筆のきっかけでした。マンションの住民である外資系企業の社員は僕が勤めていた会社にいた社員(僕を含む)の一部を反映させています。

ねこつくりの宮」の舞台になっている「いるか岬」は宮崎に実在する岬の名前と風景を借用しています。本物のいるか岬はもっと狭く家は建っていませんが。

もちろん、膜に覆われるマンションや鍋から猫をつくる光景を見たことはありません。作品のストーリー自体は、現実には生じていないことです。
だけど、自分が体験したことが作中にあると、その物語があたかも現実にあったように生き生きしてくる気がします。
そう思うのは、書いている人だけで、読んでいる人は感じないかもしれませんが、著者が現実だと思えることが執筆には大事なんだと思います。


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