見出し画像

どうして小説だけデジタル化が進まないのか

さまざまなエンタメがデジタル化されています。
コミックは紙媒体から電子書籍の移行が進み、過去最高レベルの売り上げを記録しています。
音楽はサブスクで聴くのが一般的になっていますし、映画も上映後早めに動画配信されるようなっていますし、Netflixのようにネット配信専門企業が制作する映画も増えています。

小説も、ほぼ全ての新作で紙媒体と同時に電子書籍を配信していますが、電子書籍の売り上げは小説全体の1割程度だと言われます。

どうして、小説だけデジタル化が進まないのでしょう。別にそのことが悪いと言っているわけではなく、小説が他のエンタメと異なる理由を考えてみます。

ひとつの理由は、紙媒体が小説に適しているからだと思います。人によっても異なると思いますが、小説は紙の本の方が読みやすいように感じます。
コミックも以前は紙媒体が主体でしたが、今は電子書籍の方がシェアが大きくなっています。
コミックと小説では、読む文字数と読み終えるまでの時間が異なります。
小説はもちろん文字ばかりですし、一冊を読み終えるまでに数時間かかります。発光する画面で文字を長時間凝視すると目が疲れる人がいるようです(個人差はあります)。
電子書籍には場所を取らないことや栞が不要などのメリットももちろんありますが、電子書籍を忌避する人は、今でも一定数存在します。

もうひとつ思いつく理由は、書店の存在です。
AmazonなどのECサイトでも小説は売っていますが、書店での売り上げの方が大きいです。
映画やアニメに比べて、小説は種類が圧倒的に多いです。小説の新作は年間10,000冊を越えると言われています。この数字には文庫化されたものや再販も含まれていると思いますが、それにしてもものすごい数です。
この中から、読者は自分好みの本を探す必要があります。書店を巡り、表紙や帯を見て、気に入った本を手に取り冒頭を読む。そうやって買いたい本を見つける人が多いと思います。
ECサイトはお目当ての本を検索して見つけるのには便利ですが、さまざまな本を一覧で参照するのにはあまり適していません。
他の商品のように点数が少なければネットでも見つけらますが、膨大な作品の中から見つけるのは書店の方が向いていると思います。
新しい本に巡り会いたいから書店へ行くのが好きな人も多いですよね。

本棚に飾っておきたいなど、人によって紙の本を選ぶ理由は他にもあるかもしれません。
他のエンタメと異なり、小説のデジタル化が浸透しないのは業界が遅れているわけではなく、それなりの理由があるのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?