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藤井聡太のような小説家を望む

現代は将棋ブームと言われていますが、藤井聡太八冠が登場する前はスキャンダルもあり、はっきり言って将棋界は落ち目でした。
それが、一変します。藤井聡太さんがデビュー後29連勝を達成する過程が一般のニュースでも報道され、突然人気者になりました。出前の食事が「将棋めし」と話題になり、藤井さんの一挙手一投足に注目が集まるようになりました。
藤井さんが人気者になると、将棋の様々な要素やライバル棋士がテレビでも取り上げられるようになり、藤井聡太さんのようになりたいと将棋教室にも応募が殺到しました。
将棋界も普及のためにさまざまな取り組みをしてきましたが、人気回復までには至っていませんでした。
それが藤井聡太さんの登場により一気に世界が変わりました。

小説業界も藤井聡太八冠のような新人小説家が必要なのかもしれません。読んだ人の人生観が変わるような傑作でデビューし、多くのメディアが注目する新人小説家の登場が待たれます。
毎年多くの小説家(その末席に僕もいますが)がデビューしますが、藤井聡太さんのような業界を一気に持ち上げてくれる新人さんが欲しいですね。
藤井聡太さんが注目された理由のひとつは、「史上最年少」ということでした。「若いのにすごい」というのはかなりの引きがあります。業界も新人賞に若い人を選び、新人作家を育てようと取り組んでいると思いますが。

そう言っておきながら、出版業界は将棋界のようにはいかない気もします。
人気棋士は対局も多く、話題に事欠きませんが、小説はいくらヒットしてもネタバレになるのでネタにしづらいですし、作家がメディアに出るにも限度があります。メディア出演が多ければ、執筆の時間が削られます。
一流棋士は毎週のように対局がありますが、小説家は数ヶ月に一冊書けるかどうかです。

将棋はリアルタイムで対局を観ることができます。藤井八冠の対局はほぼ全てがネットで中継されていて、何時間もじっくり観ることができます。
沈思黙考している棋士の姿を見ていて好感を抱き、ファンになった人もいるでしょう。
小説家は、なかなかそうはいきません。執筆風景を見ていただくわけにはいきませんし、書き上がるまでは将棋の対局よりもさらに長い時間がかかります。たとえ執筆風景を中継できても、変化がなくて面白くないでしょう。

小説家は人で魅せるものではなく、作品で魅せるものです(多分きっと)。でも、作品を通じて作家を知ってもらい、その作家がスター化する路線はあるように思います。

自作が次々と大ヒット→ 作家にも注目が集まり、メディアに取り上げられる→小説を読む人が増えて、その他の作家の小説を読む人も増える

こんなふうになりませんかね。

優れた作品を次々と生み出せることが前提ですが、藤井八冠のようなスター作家が生まれると、ちょっと暗い出版業界も光が差し、一気に明るくなるのではと妄想します。

初の商業出版です。よろしかった



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