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弱肉強食

 現代日本は資本主義社会です。
 良し悪しはわかりませんし、さておくとして、自由競争です。

 極論すれば、勝てば自分のおかげ、負ければ自分のせいというルールのうえに成り立った社会。僕らはそんな世界に生まれてしまいました。

 両親がセックスをして、頼んだわけでもないのに気が付いたらこの世に生を受け、物心がつき、気が付けばそういう競争社会に「半ば強制的に」放り込まれたわけです。

 ガチャという言葉がはやっている2022年現在ですが、まさにそのとおりで、僕らは自ら望んだわけでもなく半ば強制的に、生きのびて幸せをつかむのは自分の努力次第だという世界に放り込まれ、すでにスタートを切らされているわけです。

 これだけ文化や社会システムが発達してると、なかなか実感こそ沸きませんが、生きるためには食わねばならず、食うためには働かねばならないという根源的な部分は、大昔から何ら変わっていません。

 ビルが立ってクルマが走って飛行機が飛んで。
 洋服を着て様々なテクノロジーに囲まれて。
 別にそれなりにサボってても何とか生きていける社会システムの恩恵をたっぷりと享受して。

 そんななかで生まれ育ち、日々を生きてると、死と隣り合わせという実感なんて湧くわけないですよね?

 でも実態としては、自分の力で食物を入手しなければ死ぬという原始の時代からつづく生々しい本質と、常に隣り合わせなわけです。

 あなたが原始人だったとしたら? ……いや、言い方を変えましょう、あなたが何もない過疎地や無人島へ行ってしまったとしたら?

 そこで狩りも農作業も何もしないつもりなんでしょうか?
 ……死にますよね。だから嫌々だろうが何だろうが、きっと生きる努力をするはずです。

 でもそこでは、過酷な現実が待っています。

 野草を食って死ぬ者。きのこを食って死ぬ者。木の実を狙って木登りして落下して死ぬ者。魚を取ろうと溺れて死ぬ者。魚を食って死ぬ者。
 獲物と争って、目を潰されたり片腕をもがれたり片足を食いちぎられたりしながら死ぬ思いでようやく獲物を仕留められた者――。

 人生って本当、過酷ですよね。

 で。あなた、まさかここで、半殺しの目に遭いながら命からがら獲物を仕留めた人に近寄って、「悪い、オレのぶんもちょーだい?」などと言うつもりですか?

 そんなの無理、通るわけないですよね。
 ご覧のとおり弱肉強食です。

 そんな虫のいい甘ったれたヤツが近づいてきたら、僕ならそいつをぶっ殺します。

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