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プロの漫画から学ぶ漫画の描き方6

※この勉強法は劇薬です。

もの凄いしんどいです。

時間もかかります。

初心者には早すぎる勉強法です。

最低でも視線誘導を意識したり

コマの中の情報量を調節したりしながら

漫画を製作してる人でなければ

ついていけません。

その上

ぼくは丁寧に教える気がありません。

それでもいい人は覗いていってください。



まずやることは

プロの漫画を軽く模写することです。


売れてる作家

上手い作家

自分の目指す作家

どれか参考にしたい漫画を選んでくださいね。


ポイントは長期連載してるものより

読み切りのほうが良いということです。


読み切りは

1話完結なので長期連載より作り込まれていて

作家の技術がふんだんに詰まっています。

あとは

新人時代のものより

連載を経験したあとの漫画のほうがいいです。

どの方も

新人時代よりはるかに力をつけています。


第6回です。

5ページの4コマ目です。





5ページ


4コマ目 



コマの中の情報は

「2つのふきだし」「和装の人物のアップ」「背後の演出」


視線誘導は

「右のフキダシ」→「和装の人物」→「左のフキダシ」

となっています。



さらに次のコマへと読み進めるための視線誘導も

構図の中の仕掛けとして描写されています。


さっきの視線誘導を含めて

改めて説明すると

「右のフキダシ」→「和装の人物」→「左のフキダシ」→「和装の人物の顔」→「和装の人物の首」→「和装の人物の手」→「和装の人物の左肩の端」

です。



このために

「和装の人物」の絵はあえてコマを

はみだして描かれています。


そうすることで

次の5コマ目へスムーズに

視線誘導ができるからです。



コマの形は

角度がついていて

左にいくにつれて大きくなっています。


これは

このページの2段目の3コマすべてに

共通することです。



なぜこのようなっているのか

考えてみましょう。



この構造にした狙いは

徐々にコマの縦幅を大きくしていくことで

4コマ目の情報を

最大限目立たせることに

あるのではないかと考えられます。




つまり読者に

「和装の人物」を印象づけることが

目的なのだと推測できるのです。



ふきだしの言葉が太字で表記されているのも

そのことに対する裏付けだと言えます。



この仕掛けのために

それぞれのコマの絵も工夫がされています。


2段目の3つのコマを読み進めていくごとに

段階的にキャラクターの絵が大きくなっていってるのが分かります。



これで読者に

2コマ目<3コマ目<4コマ目


という意識づけを

行うことができたと言えるのではないでしょうか。



そしてこの流れを損なうことなく

読者の意識を誘導していることも

「和装の人物」の印象を強めることに

一役買っていると言えます。



さらに

よく観察してみると

上段の1コマ目から

この流れが生まれていることが分かります。


1コマ目の下部の枠線

2~4コマ目の上部の枠線

地続きの視線誘導の役割

果たしているからです。




そして

4コマ目の2つのフキダシは

この視線誘導を損なうことなく

それぞれコマの上部の枠線に

かかるように配置されています。


さらにキャラクターの顔は

「フキダシ」の上にかかっているにも関わらず


それに隠れることなく

ちゃんと見えるように描写されています。



これはキャラクターが

コマをぶち抜いて

描かれているからこその

措置だと考えられます。



ここから読み取れることは

作者はこのキャラクターを

コマの外にいるように

見せたいのだということです。



それなのに

体は浮き出て外にいる様に見えているのに

顔がフキダシで隠れて埋もれていたら

この絵の仕掛けは作用しません。



コマの中ではなく

コマの外にいるように見せるためには

今の描写がベストです。



そして

その描写に合わせるために

ふきだしの言葉は太字で表現されています。


もし文字のサイズが

他のコマの中に納まっている

描写のものと同じだったら

差別化が図れないのです。



あとは

キャラクターの配置ですが

前のコマの執事より

低い位置に描かれています。


このことから

これは

2コマ目の「立っている執事」

「座り込んでる和装の人物」の描写を

別の切り口で表現しようとしたことが

理解できます。



コマの枠が上から下に向かって

まるでパースがとられているように

つくられているのも

それを演出するための

仕掛けだということが考えられます。



追加情報として

キャラクターの絵が

前のコマのフキダシにかかっており

2つを関連付けて

一括りにしようと

意図していることが読み取れます。




これによりキャラクターが

2つのコマの上を地続きで


喋っていると思わせることが

できているように感じ取れます。



フキダシの言葉に注目すると

右のフキダシからは


「この場面の屋敷のある土地は人造人間の研究に最適である」


という情報が得られます。



そして和装の人物は

それを語れるだけの知識を

有しているということも

読み取れます。


フキダシからは

このキャラクターが

雷が苦手な繊細な性格をしている人物

だということが分かります。


それと人造人間について

深い造形をもっていることも分かるでしょう。



次は背景の効果についてです。

コマの上部は白くして

ふきだしの言葉と

キャラクター顔以外に

意識が分散しないように

工夫してるのが分かります。



ちなみに

目の位置まで背景が白いことから

目の感情表現にも

余計な情報が入らないように

気を配っていることが分かります。


そしてコマの下部は

キャラクターの心を表現しているように感じます。



雷に対する負の感情と


繊細な心を表現するための淡い感じの表現。


そして

ちゃんと自分の意志を主張できる強さ

(コマの左下の白い部分の表現)

です。



今回はここまでです。

お疲れ様です。

ありがとうございました。


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