2000年11月の沖縄そば屋の日常を切り取りました#1|Field-note
那覇市古島で営業していた沖縄そば屋をフィールドワークした記録です。店舗名は「わらび」です(上の写真は別のそばです)。この調査は当時の沖縄そば研究会で実施したものです。
店舗の建築的特徴及び店内の様子
店舗は住宅街にある。RC3階建ての1階部分の一部を利用し、上階はアパートとして賃貸している。建物の建築年数は推定で約10~15 年。そば屋の経営者が建物オーナーである。
住宅を一部改築して店舗化した。入口で靴を脱ぎ、座卓に腰掛ける応接間スタイルで、旧住宅のリビング部分を客室として活用している。
客室はふた間に分かれており、入り口側(以下、主客室という)は22畳(1畳88cm×196cm)、奥側(以下、副客室という)は12畳で、さらにその奥に厨房がある。
出入口には鉢物の観葉植物を中心にした植栽スペースが設けられている。ドアを入った先には、約35足=7足×5段の靴箱が設えられている。
主客室には10台の座卓がおかれ、収容人数は40名ほどだと思われる。飾り棚、テレビ、冷蔵庫、冷水機、外付けのトイレに抜けるドア、会計ブース等がおかれている。
副客室は5台の座卓がおかれているが、そのうち1台は料理トレイをおくために使われるため、収容人数は15名ほどだと思われる。主に混雑時に使用され、仏壇、床の間は以前の住居そのままである。厨房との連絡路、連絡窓(料理の受け渡しに使用)がある。
座卓上には、メニュー、大東ずしの広告(雑誌のコピー)、つまようじ、ソース、七味とうがらし、コーレーグース等が常時おかれている。
両客室の南東側には廊下及びサッシ窓があり、一部は建物や壁に遮られるが、それでも採光性は高い。
トイレの便器数は男子用が小用1・個室1、女子用が個室1であり、前者が向かって左側、後者が右側に位置する。
エアコンは主客室に1機(家庭用のクーラー旧式)、副客室に1機(比較的新しい)設置されている。
交通条件
来店者のほとんどが車利用だが、近隣住民は徒歩来店もみられると予想される。厨房から駐車場の確認はできない。
数カ月前までは駐車場は約20台分のスペースがあったが、住宅建設のために駐車場敷地の一部が接収され、現在は約7台分のスペースへ縮小した。ただし、住宅地で車の往来も少ないため、幅員約8mの店舗前面道路へ路上駐車する人も多い。
駐車場から店の出入口までは約15~20m離れている。
最寄りのバス停は環状2号線沿い「松島小前」だが、来店者の利用はないと思われる。
現在の営業状況(ヒアリング記録)
営業時間は 11:00~21:00 で、月曜定休。
1日のスケジュールは次のとおり。
平日よりも休日のほうが集客力は高い。ただし、休日でも家族や親戚が集まる行事のとき、3日以上の連休のときは客数は少ない。
平日は昼食時がピークで、休日は夜が多い(午後から断続的な来店あり)。
来店者数は少ないときで50人前後、多いときで100人前後である。ただし、ここ数年は不景気で来店者数は減少しており、また、日によって客足にばらつきがある。
那覇市内や浦添市、宜野湾市などからの来店が多く、タクシー運転手の利用もある。建設作業員は弁当購入が多く、あまり利用しない。
経営者は南大東島出身だが、大東島出身者の集会目的で利用されることはない。南北大東島の住民がそもそも八丈島等からの移住者が多く、地域的な紐帯はそれほど強くないためだと説明を受けた。
観光客の来店もある。タクシー運転手が勧めて連れてきたり、沖縄都ホテルの紹介で来ることが多い。団体客よりもフリープランの利用者が多い。
調査時(平成12年11月12日午後3:00~4:00頃)の客層は家族、夫婦などが多く、最大で20人程度の入込状況だった。
水、お茶はセルフサービスが基本。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?