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ホワイトな学校へ#38 その17 専門の教科・領域を決めよう ③特技を生かそう

特技を生かした経験からお話します。

教職員美術展

小学校1年生からずっと通っていた、町の習字教室では、教室の先生が所属する書道団体での「段」や「師範」取って、雅号ももらった。でも、それはその団体の中での権威である。
私が教員になった頃、先生はお亡くなりになり、私の書は中断していた。

そんなある日、教職員美術展の募集を見つけた。夫に勧められ、出品してみようと思った。
これまで習字教室に通っていた時に出品していた展覧会では、団体を主催する先生が書いた手本があり、それを基に書くことからスタートできた。
しかし、すべて、自分で最初からとなると、結構大変だということが分かった。
言葉を決める、字体を決める、文字の大きさ、用紙の大きさ、作品のイメージを決める。紙と筆を買う。
2月半ばからの展覧会なので、1月半ばには表具屋に出さなければならない。

字数が多いものだと1枚書くのに数時間かかるので、1日に1枚しか書けない。字数が少ない場合は、1枚の時間はかからないが、闇雲に書いても意味がなく、1枚1枚考えながら書くので、1日に数枚程度。私は未熟者なので、仕上げるまでに、字数が多いもので100枚、少ないものなら200枚以上は書きたい。
夏休みから準備を始めて構成を確定し、逆算すると3か月前には本格的に練習を始めたい。
そしてその間は、仕事から帰ってくると、毎日のように練習した。

最初はかすりもしなかったが、ある年、特賞が取れた。こうなると、最高の、教職員美術展賞をとれるまでやってみたい。
数年後、展賞にたどり着いたときは嬉しかった。子供二人を連れて、表彰式に行った。(舞台の上で、長男が客席に向かって手を振り、笑いが起きた(;^_^A)
これで、書道については目標を達成し、一区切りできた気がする。

何かを続けて、やり遂げたという経験があると、困難なことがあっても、きっとなんとかできるという自信につながると思う。


互いの特技を役立てよう

校長になってから、年度初め、先生方に課題解決型の書写の指導法について研修会を行った。習字教室の延長のような指導をしていることが、いまだに多いからだ。
まず、試し書きをして、基準(手本)を見て課題をつかむ。練習用紙を使ったり、自作したりして練習し、まとめ書きをして、自己評価・相互評価を行う。そして、硬筆で、他の文字に生かす活動を行う。
例えば、「土地」という文字を学習して、「土」が「つちへん」になると、幅が狭くなり、三画目が払いになって字形が変化するというような、「へん」と「つくり」の文字の組み立て方がねらいであったのであれば、「へん」になることで、字形が変化している他の文字を、漢字の一覧表から探す活動をする。「木」と「きへん」、「人」と「にんべん」など。
一つの文字を学習することで、日ごろ使用している多くの文字に生かすことができる。これが「書写」の学習である。

教科書に出ている流れは、こんな感じ⇊⇊

教育出版㈱ 小学書写5年 令和2年度版教科書から

この方法だと、先生方は書いて見せる必要がない。毛筆が不得意であっても、指導のポイントさえわかっていればいい。ポイントは、教科書や指導書に書いてある。
考えてみてほしい。体育で、跳び箱や鉄棒を教えるとき、すべて先生がやって見せなければ、教えることができないのだろうか。そうではない。ねらいを理解し、課題をつかみ、身に付けるのは、すべて子供たちであり、先生方はそれの支援をするだけである。
書写の指導も同じ。

この研修会をしたら、真っ先に納得してすぐさま取り入れたのが、体育を専門としているF先生だった。「これ、いいですね。子供たちが勝手にやるんで!」勝手にとは、自分でどんどん学習を進めるということである。
前任校の理系のYS先生も腑に落ちたようで、大学は数学科だったのに、とうとう書写部に入ってしまった。
(練習用紙の自作の話については、説明すると長くなるので、研修会に呼んでいただいたときにでも、体験していただければすぐにわかります。本校の場合、書写担当のM先生、N先生が、子供たちが自作できる練習用紙の元を全学年分作成したので、先生方はさらに楽になっています。)

書き初め指導のときは、書き初め用紙に書くためのポイントについて、私の方で指導をしている。普段の授業では、先生が書いて見せることは推奨していないが、書き初め指導のときは、敢えて、書いて見せている。たまには、大人のすごいところを見せておくことも必要だ。特別感があるので、子供たちはよく集中する。

このように、互いの特技を生かすことで、先生方の負担軽減に役立てられると思う。

今年度は書写担当のN先生(因みにまだ新採4年め)が、年度始め、新しく来た先生方に、書写の指導法についてレクチャーしていた。次世代に受け継がれた感があり、とても嬉しく感じた。
他校に異動したK先生からも、この書写の指導法を異動先の学校で先生方に伝授したと聞いた。指導しやすくて、しかも子供たちの変容がよくわかるいい方法だと、評判が良いそうである。

書写研究会ではもう30年以上も課題解決型の書写指導を行ってきているのに、いわゆるお習字的な手法がいまだに蔓延っていることが些か納得がいかないところではあるのだが、これからも、少しずつでも広めていく努力を続けるしかないと思っている。
(というわけで、研修会等に呼んでいただければ、お伝えします。)


特技を披露しよう

先生方には、それぞれ、これまで取り組んできたスポーツでも、趣味でも、何かしら得意なことはあると思う。たまには、それらを披露しよう。直接見せられないものの場合は、お話や写真でもよい。
たまには、子供たちに、大人のすごさを見せることもいいと思う。

これから、始めよう

特技が全然ないという人は、これから、何かを始めてみてはいかがでしょう。
子供たちに宣言すると、言った手前続けられます。そして、上達具合を少しずつ、子供たちに披露するんです。
手軽に始められて、続けられるものがいいと思います。
ご自分のお子さんの追っかけでもいいと思います。

余暇に何かに取り組めることは、心のゆとりです。
メリハリをつけて仕事ができるようになると思います。
先生方が勉強し続けたり、何かに打ち込んでいたりする姿は、子供たちの良き手本になります。

次回は、その17④ 文字環境を整えよう です=^_^=
(もう1回、書写の話が続きます…)

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