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なぜ時間は一方向にしか進まないのか?という疑問

私たちは「空間三次元+時間一次元」の計四次元の世界で生活しています。
空間の三次元については、私たち人間は自由自在に使いこなしています。身の回りの全ての物体は三次元で構成されていますし、飛行機のような乗り物に乗れば三次元的に運動することさえできます。
しかし、時間は常に過去から未来に向かって進んでおり、未来から過去に向かうことはできません。なぜでしょうか?

結論から先に書くと「わからない」なのですが、それでは身も蓋ももなさすぎるので、もう少しちゃんと、私の考えを書いておきたいと思います。

次元の数は自由度の数である

先程当たり前のように使った「次元」という言葉。次元は世間では色んな意味で使われていますが、物理学の次元とは少し意味合いが違うのでここで確認しておきます。

世間で使われる用法としては、アニメや漫画のセリフにある
「次元が違う!?」
「異次元からの使者だ」
のようにレベルや格が違うという表現の一つとしての使われています。

一方で、物理学の「次元」とは大まかにいって「自由度」のことです。「三次元」は縦、横、高さの三つの自由度があるということであり、グラフで表すとx,y,z軸の三つの軸があれば、空間の全ての座標を選択することができます。

自由度の数は関数で表すと成分の数です。
三次元的に運動する物体の座標は例えば 

$$
f(x,y,z)
$$

のように変数が3つあれば、空間全ての座標を決定することができます。

同じように時間にも自由度が存在します。例えば、先ほどの関数に時間の成分を付け加えて

$$
f(x,y,z,t)
$$

と書けば、数式上は「空間三次元+時間一次元」の計四次元の中の座標を自由に決められます。難しい例を考えない限り、関数は変数を与えればそれだけで解となる値が一つに決まります。私たちが時間tの中の値をどのように変えても、関数の形自体は変わらないので、数式上は過去へも未来へも自由自在に解を求めることができます。

ではなぜ、この現実世界では未来から過去に時を進めることができないのでしょうか。

なぜ未来から過去へは進めない?

ニュートンの方程式では、現在の物体の位置・速度・加速度があれば過去の運動や未来の運動も高い精度で計算することができます。

ということは現在の全ての粒子の情報が分かれば、未来の運動も予測することができるはずです。

しかし、量子力学の理論によると未来の情報は常に不確定であることがわかっています。これは言い換えると、未来が確定するような理論や方程式を作り出すことができないということです。

(確かに、量子力学の数値計算を行う際にも時間発展(時間の経過のようなもの)した物理量は常に期待値を計算します。計算結果はあくまで期待値なので、現実の事象と照合すると、大なり小なり値は変動してしまうはずです。)

つまり、現在の情報から未来の情報を確定することができず現在の私たちからすると未来というのは常に変動しているので、少なくとも未来から現在には進むことができないようです。

とはいっても、大局的な事象を計算することは将来的にできるようになるかもしれません。もちろん今の計算機の性能では夢のまた夢ですが。また、計算手法の問題から、ニュートンの方程式を使っても現在から時間が経過していくと精度は落ちていきます。

それではせめて、現在から過去に進むことはできるのでしょうか?
ちょっと考えてみたいと思います。

私たちは時間をどのように認識しているのか

時間とはそもそもなんでしょうか。
私は時間とは、エントロピーが増大する方向をプラスとして、状態変化や運動の過程に目盛りを振ったものだと捉えています。

例えばボールを高い建物から落とすと、ボールは重力に従って自由落下し、いずれは地面にぶつかります。この時の運動の軌跡を「時間」という物差しで見てやれば、各時刻のボールの位置を決めることができます。

これに気づいた昔の科学者が
「時間という変数を使って運動の軌跡を式にすれば、任意の時刻のボールの位置が求められる!」
と考えたのだと思います。これによって、空間の他に時間も方程式を形作る変数として採用されることになったのだと、私は考えています。

何が言いたいかというと、時間とは人間が作った物差しにすぎないということです。ちょっとうまく書けませんが、人間が存在する前から普遍的な時間が存在した訳ではなく、過去や未来といった見方はあくまで人間が作り出したということです。

もし過去の宇宙の粒子のすべての情報を現在で再現できれば、それは過去に行ったことと同義といえるでしょう。しかし、それは現実的に不可能であり、加えてエントロピー増大の法則によって、自発的にエントロピーが低い状態、つまり過去へはいけないことになっています。

ということは、なぜ時間が過去から現在、そして未来に進むのかを知るためには、時間を採用するに至った根本の原理に疑問符を投げかける必要があります。
すなわち、なぜエントロピーは常に増大する方向に不可逆的に進むのかを解明することが、時間がなぜ未来から過去にいかないのか、そして未来から過去に行くことはこの世界はできるのかを解き明かしていくヒントになると考えます。

なぜエントロピーは増大するのか

この世界の事象は、宇宙全体で見ると必ずエントロピーが増大するように進んでいます。粒子は他の粒子と相互作用して、エネルギーを与えたり逆に受け取ったりします。そのうち粒子のエネルギーや運動量といった物理量は同一になり、それ以上エネルギーの授受はなくなります。エントロピーが高まり続けるとやがては宇宙全体が均一になり、化学反応や核融合などは発生しなくなります。

では、なぜエントロピーは常に増大し続けるのか?この疑問こそ、この世の誰もわかっていない、大いなる問いの一つだと思います。

話が脱線しますが、私は熱力学が苦手です。なぜかというと、他の力学と違って突然出てくる決め事が多いからだと思っています。

もし、人間が自由に時間を行き来できたら

ここまでの説明をまとめると、
なぜ時間が一方向にしか進まないのかという疑問に答えるためには、その前になぜエントロピーが増大する方向にしか現象は移動しないのかという疑問に答える必要があると私は考えています。

もしエントロピーの問題が解決したら遠い未来、人は現在から未来にいったり、逆に現在から過去に行くことはできるのでしょうか。

ライト兄弟が空を自力で飛べるようになるまで、人間は空を飛べなかったのと同じように、単に今の科学では時間を自由に行き来できないだけなのでしょうか。私が上で書いたことは全て誤りで、もしかしたら未来から過去へ向かう時間の矢印もあるのでしょうか。

もし人間それぞれが自由に時間を行き来できるなら、時間を飛び越えなんらかの行動するたびに、バタフライ効果のように世界に少なからず影響を与え、元の世界とは大きく移り変わっていきます。

一人ひとりがそうして過去や未来に干渉したら世界はどうなるのでしょうか。その度に世界は目まぐるしく変容するのでしょうか。あるいは人それぞれの行動ごとに世界は分離して、誰一人として同じ時間軸の中で生活する人はいなくなるのでしょうか。

そんな問いに答えられるようになれば、もっと世界には面白いことが広がっているだろうとワクワクさせられます。

今回のノートはここまでです。
もし内容に間違いやコメントなどありましたお気軽にお願いします。





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