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記憶が消えていく

父親の命日が過ぎた。
父親が自分で選んだ何の理由もないただの日付だった為すぐに忘れちゃう。
父親がどんな感情で旅立ったのか
なぜ話を聞けなかったのか
助けられなかったのか
なんて綺麗事を考えたこともあったけど
自分自身も加害者なのである。
だから曖昧。きっとこれからも。


ただ…時間が過ぎるのは
長くそしてとても早い。
あれから15年。
深層心理はより深くなり自分の価値観も変わり続け今の答えは
おれはクソ。
そして親もクソ。
仕方なかっただけ。……なんて冗談として

1人の人間であり未熟なんだな。

それは爺ちゃんや婆ちゃんそして母親も同じ。
勿論自分自身も。

現実を受け止められずに
打ち明けなかったこと
周りの目が怖くなった事
可哀想な人や加害者に思われたくなくて隠してた事。
どの一面をとっても大事な恐怖だったんだけど
知人や他人、また近親者にとってはただの一瞬。
おれがどんなことを思っているのかなんてのを知りたい人なんてのはいない。かける言葉もないでしょう。それで良い。
時間が解決ってのは本当なんだなーって思えた。


ではこの出来事のメリットを探してみる。
……
介護の心配はなし!
自分だけだし兄弟仲もそこまで良くない!
嫁姑問題もなし!
跡取りだのそんなのも関係なし!
何をやっても迷惑かけることがない!
…良いこともあるさ。
…自分がすごい冷酷な人に思えてきたぞ。。

アップデートされない記憶が埃を被ってどんどん薄れていく。
取り出すのも難しい。
ぼんやりとした顔と忘れてしまった声
味も見た目も全部忘れたけどすげー美味しかった料理。
話したい事や聞きたい事、言いたい事が山ほどあるのに記憶が薄れていく。

でも大丈夫。
おれは元気だ。

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