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無意識の中のストーリー ~誰もが役を生きている~

誰でも一つくらいは、お気に入りの物語があるだろう。
私は『レ・ミゼラブル』に心惹かれ、何度も観てしまう。

中でも、ヒュー・ジャックマン主演の映画ミュージカル『レ・ミゼラブル』は名作だ。

エポニーヌが死ぬ場面は、何度も観ても泣いてしまう。エポニーヌは、我が子に強盗の見張りをさせるような両親に育てられた。革命を志す貴族マリウスに思いを寄せるが、彼は一目惚れしたコゼットの家探しをエポニーヌに頼むなど、その思いは届かない。

純粋な愛など無縁な環境に身を置きながら、彼女は心の美しさを失わなかった。自分が惨めになるのを知りながら二人の再会に手を貸し、最期はマリウスをかばって銃で撃たれ、彼の腕の中で息を引き取る。「私が死んだら、額にキスして。私にはそれがわかる」と言い残して。

たとえ愛されていなくても、自分が心から愛している人の腕の中で死ねるなんて、どれだけ幸せだろう。終わり良ければ総て良しというが、それまでの人生が苦痛に満ちていたとしても、そのひと時ですべて報われるだろう。

そんなエポニーヌが羨ましくもあり、叶わぬ恋に苦しみながらも、思い人のために奔走する一途さに心打たれ、観るたびに「かわいそう」と言っては泣き、「良かったね」と言っては号泣してしまう。

きっと、エポニーヌと自分を重ねてるんだと思う。

誰にでも、自分を重ねるキャラクターや物語が無意識の中にあり、それが人生に大きな影響を与えている。

私の中のストーリー…自分は報われない脇役で、幸せにはなれない。幸せになれるのは、いつも主人公達。持てる者はますます富み、持たざる者はますます奪われる。

エポニーヌが歌う。
『A wold that's full of happiness that I have never known~(彼の)世界は幸せに満ちている。それは私が決して知ることのない幸せな世界』。
天は二物を与えずと言うけれど、与える人には二つどころか、三つも四つも与える。そして自分は、選ばれない方の人間だ――という物語。

運命を切り開くといっても、結局はそれぞれが心の奥底に持っているマイストーリーを、幸せなものに書き換えることなんだろう。

ネガティブな言葉を言わない…自分が聞いているから。アファメーションなども、マイストーリーの書き換え手段なんだと思う。

あなたの中には、どんなストーリーが眠っているだろう。そして、眠っているはずのその物語が、実は自分の人生の台本になっていると考えたことはあるだろうか。新しいストーリーを作るとしたら、どんな役を演じてみたいだろう。

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