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米国、格差是正へ税制見直し 大企業への課税強化に転換

大企業偏重の分配を見直す

米国で16日、大企業への課税強化を柱とした新たな歳出・歳入法がバイデン大統領の署名を経て成立した。米連邦準備理事会(FRB)によると米国の富は21年末時点で上位1%の超富裕層が全体の32%にあたる45兆ドル(約6000兆円)超を握る。労働組合やマイノリティーの支持者が多い与党・民主党はこうした現状を問題視し、大企業や富裕層に適正な負担を求めてきた。

新たな歳出・歳入法の概要

ペンシルバニア大による試算によると、歳出は気候変動対策に3800億ドル、医療保険の補助延長700億ドル、歳入は企業に少なくとも利益の15%の税負担を求める新たな措置に2000億ドル、薬価の引き下げ(交渉方式の変更)2300億ドル、自社株買いへの課税700億ドルとなる模様。

税率負担15%未満の主な米企業、アドビが0%

アマゾン・ドット・コムが13%、インテルが13%、ジョンソン・エンド・ジョンソンが10%、ファイザーが7%、アドビが0%となっている。

課題は世界各国との協調体制

今回の税制は「(減税合戦という)自滅的な世界的競争を止めるのに役立つ」(米コロンビア大のジョセフ・スティグリッツ教授)と評価の声がある一方で、独自の方式で課税を始める米国が国際的に議論が進むグローバルな最低税率の枠組みと歩調を合わせられるか危惧する声もある。

世界共通の法人税の最低税率は15%

2021年10月主要20ヵ国G20財務相・中央銀行総裁会議で採択された共同声明は、国際課税ルールは、法人税の最低税率を世界共通で15%とする。国境をまたいだビジネスを展開する巨大IT企業などを対象にした「デジタル課税」も導入し、現地に業務拠点がなくてもインターネットサービスなどで一定以上の利益を上げている企業に対し課税できるようにするとしている。

#日経COMEMO #NIKKEI

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