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ポルトガルでの田舎暮らし#2 -畑仕事-

Brunhós村のエコファームでの2ヶ月半の生活が、あれよあれよという間に過ぎて行き、先日ポルトに帰ってきた。

自然に囲まれた環境で、朝から畑を耕し、鶏に餌をやり、育てた野菜を食べて、とっても充実した毎日を送っていたけれど、それをnoteに書き綴る体力が残っていなかったのが、唯一の心残り。ポルトに帰ってきてひと段落したので、2ヶ月半の記憶を辿りながら、また少しづつnoteを書き綴っていきたいな、と思う。


野菜を育てて、食べること

ずっと日本の都会で生活してきた私にとって、ファームでの一番の思い出は、”自分で野菜を育てて食べること”。いつかはしてみたいと思っていた自給自足の生活を、ここで体験するチャンスがあったのはとても幸運だった。

3月にファームを訪れた時はまだまだ寒くて、畑も雑草で荒れ放題。アニュータさんと二人で、約450㎡もある畑を毎日地道に畑を耕し続ける日々を送った。鍬や鋤を使って雑草を取り除き、土を耕し、種を植える。時間は掛かるし手や腰も痛くなるけど、働いた分だけ毎日のご飯がとても美味しく感じられて、食べる量が以前よりも増えた。

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畑を耕し始めてしばらく経った4月初旬の畑

​植えた野菜は10種類以上。玉ねぎ、トマト、さやえんどう、豆類、ラディッシュ、ルッコラ、かぼちゃ、ピーマン、きゅうり、そば、レタス、ブロッコリー、などなど。スケジュールの関係で2ヶ月半しか滞在できず、ほとんどの野菜の収穫を待たずにファームを離れたのは残念だったけど、毎日ぐんぐん育つ野菜を見るとエネルギーがもらえるような、元気が出るような、そんな感覚が湧いてくる。

野菜たちにすくすく育ってもらうためには、手入れや工夫も必要。雑草だらけの畑を耕す時は、鋤を使って、土の層がぐちゃぐちゃにならないように気をつけながら、土を柔らかくほぐしていく。種を撒いたら、鶏小屋で作ったコンポストと、畑の側にある森から持ってきた腐葉土や葉っぱを被せる。そして、ポルトガルの強い日差しによる乾燥や朝晩の温度差から土を守るために、たっぷりの藁で土を覆う。水をやり、あとは、雨が振ってくれるのを祈るばかり。

森から持ってきた腐葉土を土に被せる

ポルトガルの季節の流れは日本と少し違う。4月もしくは5月ぐらいまでは雨季、夏の間は乾季となる。今年は雨が少なかったようで、4月5月は雨季と言ってもほとんど雨は降らなかったし、降ったとしてもパラパラ降る程度。スーパーに行けば何でも手に入る都会の生活をしていた時は、雨の日はたいてい外出が面倒で気が重いものだったけれど、畑を耕す生活では、雨が降らない日が続くとけっこう心配になる。そして、雨の日がやってくると、ほっとする。野菜たちは本当にわかりやすくて、雨が降ったあとは、これでもか、とみんなで競争するようにぐんぐん育っていった。もちろん、勢いよく育つ雑草は、悩みの種…。

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5月中旬の畑


一番の醍醐味は、育てた野菜を収穫する時だった。
ランチに食べた、採れたてのラディッシュ。

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スライスしたパンの上にバターを塗って、ヤギのチーズ、ラディッシュ、玉ねぎ、ラディッシュの若葉をのせる。塩と胡椒を振って、出来上がり。ラディッシュはカタチは不揃い、葉っぱも虫に食べられているけれど、自分で育てた採れたての新鮮な野菜たちはおいしかった。

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そんな毎日を繰り返していると、2ヶ月半が過ぎてしまった。でも、野菜が育つには、もっと長い時間がかかる。数ヶ月かけて、種から苗へ、そして実がなるまで育っていく。自然とともに生活をするサイクルは、とてもゆっくりだった。都会の生活で知らず知らずのうちに身につけた感覚とは、違った時間感覚を体感したのは、新しい発見だった。



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