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LOG11 女一人でインドのショッピングストリートを歩いてみた

ある年、私はムンバイ路線担当になった。月に一度、決まったメンバーでムンバイ線に乗務するのだ。

ムンバイは首都デリーに次いでインド第二の都市と言われ、特に金融業が盛ん。映画産業も盛んなので「ハリウッド」を文字って「ボリウッド」(ムンバイの旧名がボンベイだから)とも呼ばれる。

ベジとノンベジ

インドは宗教の関係で、ほとんどの人が牛肉と豚肉を食べない。

インドで食事をしようとするとメニューは「ベジ」か「ノンベジ」で分けられていて、ベジはベジタリアン、つまり野菜だけ?と思われるが実はそんなことはなく牛乳やチーズなどは食べる。動物を殺生して食べるということをしないのだ。

ノンベジは牛や豚は食べないけど、鶏肉やマトン(羊肉)なら食べるよという人のこと。

機内では食事を提供するのだけど、そのほとんどが事前に自分の宗教にあった食事を注文しており、通常の食事メニューを食べる人は皆無に近い。

宗教の信仰は深いので、間違えてしまうと大問題。インド路線はとにかく気を遣う。

また辛いものが好きなくせに甘い紅茶も大好きなので、食後はコーヒーではなく紅茶を好み、シュガースティックを一人何本もとる。このへんはインドがイギリスの植民地だったことが関係しているのだろう。

また面白いのが、日本ではYesの意味で頷くのが通常だけどインドでは逆。首を振るのがYesという意味なのだ。私はしばらくこのジェスチャーに慣れず、何度も翻弄された。

例えば紅茶はいるか聞くと、プリーズと言いながら首を振る、といった具合だ。

文化や宗教の違いをこんなにも感じた国は他になかった。いろんな意味で刺激的で学ぶことも多く、常識という概念はこの国では存在しなかった。

タクシーに乗ってストリートを歩いてみた

あるとき、せっかくだから街へ出たいと思いホテルのフロントの人に聞いて、タクシーを呼んでもらった。

一度離れたらタクシーはほぼ捕まらないのでそのタクシー運転手が一日(ないしは半日)担当としてついてもらうのがインドでは通常だ。

Ville parleというストリートがここから近く、栄えていると教えてくれそこに向かった。

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ストリートは街を歩く人の多さと活気が感じられた。チャイはこんな感じに鍋で雑に煮られ、ピッチャーでジャブっと掬って小さなコップに注いでくれた。

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濃厚で甘くて、とても美味しかった。人生で忘れられないもののひとつだ。(衛生面という意味も含めw)

またストリートにはなぜか理髪店も多かった。

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ひとりで歩いているアジア女が珍しいのか、いいカモと思われやすいのか客びきもよくされた。

民族衣装のサリーに興味があったので布の店に入ると、ものすごい勢いで色んな布を広げて見せてくれた。とても長く大きいので畳むのが大変そう…と思いながらも、気に入ったものがなかったので申し訳なかったが店を後にした。

もう一店舗入るとサリーではないけど別の服を着てみろ、と言われ案内されるがまま試着室へ向かいオレンジの民族ドレスのようなものを着た。

我ながら「ええい、なんでも経験だ」という若気の受け身も、今思うとすごい。インドの試着室で服を着るなんて。(ちなみにデリーでは女性一人では絶対出歩かない方が良い。治安が悪いし、狙われやすい)

商人達のの押しが強かったので、このままではいらないものまで買わされてしまう…!と思い、このストリートでサリーを買うことは諦めた。

街をただ、ぶらぶらしているだけで色鮮やかで楽しかった。

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手前の包み揚げされているものはインドの軽食、サモサという食べ物。中身はじゃがいもや玉ねぎ、豆、羊のひき肉などが入っている。

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ぼちぼち、タクシーの運転手との約束の時間が迫ってきたので行きに降ろしてもらったところまで戻った。

ホテルに戻ってくれと頼むと、「ここにも寄っていけ」とシルク布やアクセサリーが売っているお店の前で止まった。

こういう勝手なところ、嫌いじゃない。(実はこの店の前にも一店舗変な仏像の店に立ち寄られた)

なかなか素敵なお店で店員さんの雰囲気もよく、白地に黒い花や幾何学の柄のついたサリー布が気に入ったので購入した。店員さんは金属アクセサリーをおまけにつけてくれた。

シルク布はサラサラと触り心地が良く、膝に掛けていると温かい。

たった3時間ほどなのに、とても濃い時間だった。初めての街にどきどきしながらも程よい緊張感の中での街歩きは、私の冒険心を満たし、ちょっとした肝と度胸をもたらした。

こういう場所を楽しめる鈍感力があってよかった。そういう意味でも旅は若いうちがいいのかもしれない。勢いや体力がある方がきっといろんな経験ができるし、感じることも多いだろう。

旅でなくても”今この瞬間が自分の一番若いとき”と思って、フットワーク軽く、今できることを楽しみたい。

そしてお気づきだろうか?インド人の男性ファッションはほとんどがボタンシャツにズボン。
流行りなのか、紳士なのか。

本日のお土産

サリーもいいけどカシミアのストールもお土産として人気。 


触り心地が良く、薄いのに温かい。

あとはやっぱりスパイス。種類も豊富でなにより安い。

ああ、スパイスの効いたカレーが食べたくなってきた。

それではまた!

(※この出来事はコロナ前、2016年のことを振り返って執筆しています。)





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