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【短編】少女は駆けてそのムコウへ…時を超えた青春ストーリー

締め切りに追われ、しばらく更新できずにいました💦

さて、久しぶりの投稿は
【イラストに物語つけてみた! 第二弾】の七作目。

陸上! 幼なじみが地区代表をかけて走る!
作は【りょん】が担当しています。

動画の方もぜひぜひお楽しみください。


ヒカリのムコウ


ヒカリ「ミオ、勝負よ」
ミオ「ヒカリちゃん、無理だよ、私には……」
ヒカリ「大丈夫、ここまで来れたんだもの」
ミオ「だけど」
ヒカリ「今の力を出せばいいの。手加減しないわよ」
ミオ「わかった。敵うわけないけど、ヒカリちゃんの後ろついていく」

いっつも私の後ろを追っかけてばかりで何にもできなかったミオが、
今私と肩を並べてる。

地区大会の代表を決めるトラック1500mのレース
ミオ、ここまで来れただけで十分、よく頑張ったよ

スターター「位置について、ようい……」

ミオと出会ったのは、小学校2年の夏
一家は近所に引っ越してきた

体がちっちゃくって、おどおどしてて
お母さんの後ろからちょこっと顔を出して見せた笑顔に
私は一瞬で魅せられた
この子を守るのは私しかいない、そう思った


「ヒカリちゃん、待ってよ」「おいてかないで」そんな風に、ミオはいつでも私の後ろをついてきた

中学にあがり私が陸上部に入ると
体が弱くて運動も苦手だったのに、ミオは追うように入部してきた

喘息も治まり、体も丈夫になったミオは
少しづつだけど、練習についてこれるようになった
陸上部のエースだった私に必死についてきた

そして…
地区大会の代表を決めるレースに出場するまでに成長した


SE:スターターのピストル音

風を切って、私はいつものように飛び出した
誰も並んでくるものはいない

当然よ、
私についてこれるものは誰もいない

タッタッタッ

え?

タッタッタッタッ

1000mを過ぎたあたりから
迫ってくる足音
私に追いつく選手なんていないはず
いったい誰?

一瞬だった、
誰かがさっと私の横を通り抜けていった

嘘!?
私が、抜かれた?

それはまぎれもなくミオだった
誰もいなかった私の前に、ミオの後ろ姿があった
その背中はどんどん私を引きはなし小さくなっていく

「待ってよ、ミオ」
「おいてかないで」

背中は小さくなっていくのに、
堂々と自信に満ちた後ろ姿

そんなの、私の知っているミオじゃない
可愛くて、守ってあげたい、
私が大好きだったミオじゃない・・・

完敗だった

おめでとう!ミオ

さよなら

おわり


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