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建築物語3 根津美術館

今回は、東京都港区南青山にある根津美術館を紹介していきます。

(今回はスケッチが多いので、スケッチ主体の記事となっています。)

根津美術館は、根津嘉一郎が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた私設美術館です(根津美術館公式HPより)。訪れた方も多いのではないでしょうか。

行ったことがない、という方も、表参道駅から徒歩8分というアクセスは良いですし、近くにはプラダ青山店や、ミュウミュウ青山店(どちらもHerzog & de Meuron設計)がありますので、建築が堪能できますよ。

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表参道の洗練された道を抜けると、突如として日本風の建築が現れます!

2009年竣工、設計者は隈研吾さん。新国立競技場のコンペを勝ち取ったのが記憶に新しいのではないでしょうか。

今や、木の表現といえば隈研吾といったように、彼の代名詞は木をデザインしたものと捉えられています。しかし彼は過去作において、石・木・ガラス・鉄・タイルなど様々な素材の新しい表現に挑戦してきた建築家です。

この美術館は、彼の「鉄」の表現が大いに表れた作品の一つです。


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構造は鉄骨造です。外観は瓦の切妻屋根で和のデザインとしながらも、軒先は鉄板とし、薄くてシャープな建築となっています。

サッシの部材はフラットバーといわれる小さな長方形の方立で、またガラス自体が自立するリブガラスが用いられ、非常に現代的な表現です。

日本ぽさが感じられながらも、現代的な表現が対比されてそのどちらも強調されています。

屋根を支える鉄骨もデザインされ、軒先に行くにつれ、細くなっています。屋根も壁も全体的に黒い色彩ですが、外壁仕上げは、細い鉄板のパネルが細かく割り付けされているため、同じ黒色でも単調に見えません。


RIMG3691のコピー

ですので、大きな建築なのですが、パネルが細かく割り付けされていることにより、小さく見える効果が発揮されている建築です。

エントランス前の壁面には、引き出し式の傘立てが収納されていまして、雨の日は傘立てを出し、晴れの日はただの壁に見える工夫がされています。


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エントランスの吹き抜け空間のスケッチ。

鉄骨造は、木造や鉄筋コンクリート造に比べて、小さな部材でも大空間を表現できる、しなやかで強い構造です。

この建築では構造がほとんど目立ちません。大空間なのに、どこで支えているのかわからないほど、隠されています。

それは、大空間の壁の中に主要な鉄骨柱があり、エントランスからは見えません。サッシに同化して構造体(フラットバー)で軒先を支えています。小さな部材ながらも大空間を演出できる鉄骨の良いところを活かしています。


鉄板の軒は外観をカッコよく見せるためだけではなく、深い軒先が可能となります。そうすることで、直射日光が入らない→内部空間でも彫刻などのアート作品も置ける。という機能的な意味合いもあるんですね。


階段も薄い鉄板の階段。強化ガラスに穴をあけ、DPG金物と呼ばれる丸い金属でガラス手すりを支えています。また、天井のパネル割は、サッシのピッチ(サッシとサッシの間の寸法)となっています。

そうすることによって空間がすっきりして見えます。





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上の画像は、面白いなと思った部分のスケッチです。

吹き抜けのそこかしこにあるベンチも、建築家が設計したものです。竹集成材の細い材をコの字型にすることによって支え、先端が非常にシャープに見えます。

トイレのサインも、シンプルなものとなっていて、とてもかわいかったです。

エレベータの扉の空間って、結構建築家はシンプルに済ます方が多いのですが、しっかり演出されていました。見ものですよ!


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今回は意図的に、写真少なめにしました。それは実際に空間体験していただきたいからです!

この建築は、隈研吾作でも近作で、ディテールがとても洗練されています。過去作では、その素材表現を強調するあまりに、ダイナミックなディテールとなっているものもありますが、この建築はとても繊細です。

また次回お会いできると嬉しいです!


ぱなおとぱなこ


前回の建築物語は↓です。よろしければこちらもどうぞ。




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