シリコンバレー弁護士のノート

シリコンバレーでスタートアップから大企業まで、広い弁護士経験を持っています。法律関連の…

シリコンバレー弁護士のノート

シリコンバレーでスタートアップから大企業まで、広い弁護士経験を持っています。法律関連のネタや、ビジネス交渉に登場するフレーズやキーワードをひろっていきます。

最近の記事

大統領はゴルフがお好き

今日は11月14日、土曜日。 大統領選挙は10日前に終わりましたが、選挙結果に関する物議でまだ大騒ぎです。トランプ大統領がメディアを賑わす日々はまだまだ続きそうです。 なにかと話題の多いトランプ氏ですが、大のゴルフ好きとしても有名です。 選挙日から丸5日後の先週の土曜日、合計270の選挙人票を超える州を勝ち取ったバイデン氏の勝利が宣言されました。(写真は地元のSan Francisco Chronicle新聞の日曜日一面です。) そのニュースが報じられた時、トランプ氏は

    • アメリカの大統領選挙、「過半数票」はどうしてたったの270票なの? (パート2)

      前回noteで大統領を選ぶ「Electoral College」(選挙人団)という間接的選挙の仕組みについて書きました。ユニークなこのやり方、アメリカ建国当時から200年以上ずっと、続けて行われてきました。 今回はその仕組みの歴史的背景を振り返ってみたいと思います。昔の話でありながら、現代アメリカの人種差別問題に深く通ずるルーツがあるのです。 「みんなを代表する人を選ぶ」ことの難しさ。リーダーを選ぶにあたり、まず決めるべき課題がいくつかあると思います。(1)選挙母体となる

      • アメリカの大統領選挙、「過半数票」はどうしてたったの270票なの?(パート1)

        いよいよ間近に迫ったアメリカの大統領選挙。4年に一度の大イベントですが、2020年は特にすっごいことになっています。コロナ、経済、保守対リベラルの派閥争い、トランプ氏の「拍車かかったトランプぶり」、フェイクニュース、などなど話題がとにかくつきません。私もとても久しぶりに(4年ぶりに!) noteに投稿します。 大統領選挙の話にはつきもののこの地図(出典:270towin.com)  アメリカの50の州を「赤チーム」と「青チーム」に分けています。 上の地図は2016年の大

        • 「雛形」の功罪

          今日は自分への戒めをたくさん込めて、契約雛形について書きたいと思います。(冒頭の写真は近くのハイキングトレイルです。左に太平洋、右にサンフランシスコ湾が一望できるところです。シリコンバレーは「谷(バレー)」だけでなく山もとても多いです。) とある経緯で最近、ある企業の「雛形契約」を拝見する機会がありました。程度の差はあれど、誰しも「うわ、すごっ。読めん。」という経験があると思いますが、今回見たのは私の中ではかなり上級の上をいく、読む気力を大きく削がれるものでした。 簡単な

        大統領はゴルフがお好き

          大きくなったらポスト・イットを作る人になりたい!

          アメリカ若者世代の人気企業、2016年のナンバー1に輝いたのはGoogleでもない、Appleでもない、Disneyでもない。ニューヨーク、ボストン、西海岸の人気大都市でもない。トップに立ったのは中西部ミネソタ州にある「3M」。ポスト・イット(Post-it)やテープ類でおなじみのあの会社です。上位200社ランキングに去年は不在だったに関わらず今年はいきなりの1位。 「ミレニアル世代の憧れはGoogleよりもポスト・イット!」という見出しでシリコンバレー地元の新聞にとりあげ

          大きくなったらポスト・イットを作る人になりたい!

          アッシー君なんていらない。現代女子が求める男性とは?

          今では死語に近いらしいですが、バブル期に流行った「アッシー君」という言葉がありました。「メッシー君」「ミツグ君」というのもあって、簡単におさらいすると: アッシー君:いつでも足になってくれる、つまり車で送迎してくれる人 メッシー君:いつでもメシを奢ってくれる人 ミツグ君:値段を問わず、プレゼントをしてくれる人 こういう相手が彼氏な場合もありますが、概ね恋愛関係とは違う次元の存在になってしまいがち。なので男性には「いくら好きだからと言ってもこれをやってはいけない」反面教師な

          アッシー君なんていらない。現代女子が求める男性とは?

          「Copyright」の和訳ってなんだっけ?

          最近立て続けにCopyright関連の裁判判決が話題になりました。どちらもGoogleがらみで長年続いた係争なので直接的に今すぐ何かが変わります!という即時性はないものの、大きな法律的意義を持つものでした。(判決そのものは日本でも広く報道されたのでここでは紹介にとどめます。)そこで今日は判決のポイントだった「Fair Use(「ファエユース」「公正利用」)」と、「Copyright」という言葉の由来について考えてみました。 まずは2件の裁判の話。(それぞれのリンク先New

          「Copyright」の和訳ってなんだっけ?

          オリジナル文書の威力って、どこで発揮されるんだろう?

          久しぶりに「袋とじ・割印」入りの契約文書を見て、なんだか新鮮な感じでした。きちんとした会社さんで、文書の取り扱いに絶対間違いがなさそうな印象を受けました。でも好印象と同時に、なんでここまで。。。とも思ってしまいました。。。 契約内容はいわゆる「MOU(兼NDA)」、有効期間1年の短いものです。金銭的対価はなし、MOUの主旨に沿って協議を進め、本契約に向けて条件交渉をしましょう、というものです。 袋とじ製本された二部の契約書(双方に一部づつ持つ)、然るべきところに保管されて

          オリジナル文書の威力って、どこで発揮されるんだろう?

          そんなに怒ってるなら早く言ってよ。

          「訴訟大国アメリカ」と良く言われます。実際の訴訟件数までは調べてはいませんが、感覚として「確かに多いな」との印象はあります。訴訟の中でも横綱クラスかつ「やっかい」(訴えられる側にとって)な集団訴訟 (Class Action)の一例として、最近話題になった「アイス・ゲート」(Ice-gate)(*)について書きたいと思います。おなじみスタバを相手とった集団訴訟なので、対象となる方は少なくないでしょう。 (*)(こいつもか!という感じのスクープ・スキャンダル系の話は「なんとか

          そんなに怒ってるなら早く言ってよ。

          アメリカの弁護士に憧れた日々

          (写真は本文と関係ありません。New Yorkは何度も行ってるのに自由の女神は先週の旅行が実は初めてで、プチ感動でした。) 「どうして弁護士になろうと思ったんですか?」と聞かれることがあります。胸を張って語るほどの目的や理由があったわけではないのでお恥ずかしいのですが、「資格職」で、「経済的自立」ができる仕事だと思ったのが一番の動機だったと思います。 でもそんなドライな気持ちだけじゃなく、ミーハーな憧れもありました。全米でもっとも弁護士密度が高い首都ワシントンDCで仕事し

          アメリカの弁護士に憧れた日々

          スナップチャットよ、お前もか。

          「スナップチャットって何が面白いの?」って身の回りでよく聞きます。私も、そう思ってました。色々なアプリやサービスを積極的に使っている方ですが、スナップチャットだけは今ひとつ良くわかりませんでした。一年くらい前にアカウントを作って子供達にお友達リクエストしたところ「ママ、やめてよ」と冷たく断られ、一人スナップチャットするのも寂しいのでそのまま放置状態です。 私には敷居の高い「若者アプリ」なので、横から見ているだけですが、ティーンエージャー達の観察をまとめると: ▪️ 「今、

          スナップチャットよ、お前もか。

          おかげさまで「保活」に成功しました。

          最近随所で話題になった「保育園落ちた日本死ね!」の件で「保活」という言葉を知りました。 所以あって私も最近「保活」していました。保活といっても「小学生の子供のお迎えと放課後の様々な活動の送迎含めたベビーシッター」探しなので保育園探しほど切迫した話ではないですが。 保育園や幼児のケアを探す場合は次元の違う話になると思いますが、今回の私の保活は色々なWebサービス(保活アプリとでも言いましょうか)を使って、自分でもびっくりするほど早くスムーズに進みました。 まず、私の保活ニ

          おかげさまで「保活」に成功しました。

          「誰でも弁護士になれる」時代に弁護士になってて、とてもラッキーでした。

          「弁護士です」と言うと一般的に「わー、スゴイですね」的な反応をいただくのですが、それに対していつも「アメリカでは誰でもなれるので、決してスゴクなんかありません」とお応えしてました。(謙遜でなく、かなり本気で) 日本の司法試験とは比べものにならない高い合格率なこともあって、どこに行っても必ず弁護士はいるし、希少価値は全然ありません。(弁護士の母数が日本より遥かに多い話は前回ノートで書きました。) 実際どのくらいの人数で、どんな合格率なのか改めて調べたところ、私にとって最大重

          「誰でも弁護士になれる」時代に弁護士になってて、とてもラッキーでした。

          シリコンバレー弁護士事務所、ここだけは押さえておきたい(その2)

          前回Noteの続きです。弁護士事務所の名前を知っててすごく役に立つ!というわけではありませんが、アメリカでのビジネス・シーンにほぼ必ず弁護士が登場するので、常識的に知っておくと何かの時に「おっ」っと思う(または相手に思われる)時があると思います。ビジネス一般常識「上級者編」というところでしょうか。たとえば投資先会社の due diligenceレビューで「この事務所使ってるんだ」とか、交渉場面で「お、またあの弁護士チームか」とか。結果を左右する重要情報ではないですが、補足的に

          シリコンバレー弁護士事務所、ここだけは押さえておきたい(その2)

          シリコンバレー弁護士事務所、ここだけは押さえておきたい (その1)

          日本には「四大法律事務所」があって、それぞれの名前くらいはビジネス界で多少の馴染みはあるかと思います。シリコンバレーには「大手」の弁護士事務所と言われるところがその数倍あって(そもそも弁護士の母数が桁違いに多い)「なかなか覚えにくいし、違いも分からない」とのコメントを聞きます。覚えるバリューがない情報カテゴリーなのかもしれません。 そこで、#シリコンバレー #スタートアップ #ベンチャー企業 にアンテナ張ってる方々に、ここくらいは押さえておくと何かの時に便利かな、というのを

          シリコンバレー弁護士事務所、ここだけは押さえておきたい (その1)

          アメリカでMercariにお世話になっています。

          大人気の「決算が読めるようになるNote」はお友達なこともあっていつも読んでいるのですが、最近の 「メルカリは本当に「世界を取る(かも)」と思った件」の記事で次の文面に反応せざるを得なかった私でした。 「。。。僕の周りのアメリカ人でメルカリを使っている人がいない。。。」(前後の文脈はオリジナル記事ご覧ください) 「私、使ってます!」  と手を挙げたら「おー!いた!」と感動していただけたので、今日は個人的Mercariアメリカ体験談と、他のフリマ系サービスの話をしたいと思

          アメリカでMercariにお世話になっています。