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25年間の音楽史 ≪Part.3≫2010年代編

■2010年代

~初期~
2010年代に入るとヒットチャートの上位を“EDM”が占めるようになります。

元はブラック・コミュニティの中のアンダーグラウンドな音楽だったヒップホップ・R&Bが、時間をかけて徐々に市民権を得て大衆化したのに対し、レイヴ=クラブから生まれ同じくアンダーグラウンドな音楽だったはずのEDMは、加速度的に大衆化することとなります。

それは、ヒップホップ・R&Bと比べてメロディーが非常にキャッチーでグルーヴが単調であり、派手なシンセサイザーと高揚感を煽る長いブレイク、といった誰にでも分かりやすい構成で出来ているからだと考えられます。

2011年を代表するヒット曲であるLMFAOの『Party Rock Anthem』は、非常に享楽的&単純明快で、当時のEDMを象徴する楽曲だと言えるでしょう。

大衆化したEDMはあっという間に他ジャンルへ侵食し、2000年代には、R&Bのポップ・アイコンだったRihannaもスコットランドのプロデューサー・Calvin Harrisの楽曲『We Found Love』に参加したり、Katy PerryNicki Minaj、Lady Gaga、Carly Rae JepsenMaroon 5といったヒットチャート の上位を占めるアーティストの楽曲が、EDMの影響下にあるスタイルでリリースされていました。

~後期~
2010年代中~後期、The Chainsmokersがヒットを連発するなど、依然としてEDMのムーヴメントは続いていましたが、徐々にそのカタチを変えつつありました。

2015年11月にリリースされたJustin Bieberのアルバム『Purpose』や、2018年リリースのMaroon 5『Girls Like You feat.Cardi B』などに代表されるように、ストレートなレイブ・ミュージック=EDMとしての要素はやや薄くなり、”トロピカル・ハウス””ディープ・ハウス”など、よりイージーリスニング的な音楽へと変化したジャンルが好まれるようになりました。

また2010年代末頃に近づくと、Drake『God's plan』やLil Nas X『Old Town Road feat.Billy Ray Cyrus』が大ヒットし、徐々にブラック・ミュージックに復権の兆しが見え始めます。

さらにこれらの楽曲で注目すべきは、そのヒットの発端となったのが「TikTok」という新しいツールであった、という点です。

これまでも、YouTubeやSoundCloudといったソーシャルメディアにアップロードした楽曲がヒットへと繋がったアーティストはいましたが、既にリリースされた楽曲がソーシャルメディアのプラットフォーム上でバズる=ヒットすることでヒットチャートに反映されるようになったのは、この頃からだと言えるでしょう。

次は現在、2020年代編です。

◆2010年代 紹介楽曲プレイリスト◆