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【2022年の生活者トレンドまとめ】キーワードは深める消費!?

 
2022年も残すところ1週間ちょっととなりました。
今回の記事では今年の生活者の行動を"本能マップ"を用いて読み解き、
生活者にどんな本能が隠れていたのかを振り返っていきたいと思います!


本能マップとは??

 本能マップは、人の本能を10に分類し、独自にマッピングしたモデル。世の中の流れや生活者の動向を読み解くマップです。
 従来のマーケティングではポジショニングマップを使用し、競合との差別化を考えることが多いと思います。
様々な切り口で市場を切り分けるポジショニングマップは、マーケティング・ブランディング戦略を考える上では欠かせないものとなっている一方、企業目線の左脳寄りの思考に偏ってしまいがちなのも事実です。
 実際の日常では直感的に、感覚的にブランドを選択している生活者。
数多くのブランドが存在する中で、競合商品との機能や提供価値の違いで記憶に残ることは難しくなっているのです。
そこで重要なのが本能です。
ブランド体験の中でいかに人の本能に訴えかけ、感情の結びつきをつくることができるかが求められているのです。

2022年生活者の本能マップ


上の図は、本能マップを用いて2022年に生活者の心を動かしたモノやコト、トキを分類してみたものです。

下寄りは「変わりたくない」という本能、上寄りは「変わりたい」という本能です。
また、右寄りは「外向き」の本能、左寄りは、「内向き」の本能となっています。


特に左側のグループに密度が集中していることが見てとれます。
ここからは生活者が他者目線よりも、自分目線に焦点を当てて行動を起こしていることが伺え、
人にどう思われるかよりも自分がどうあるかがいまの人々の心を動かしていると見て取れます。


これらの左側のグループを中心に、2022年の人々の本能をひとことで表すと見えてきたのが"深める"というキーワードです。

10の本能の中でも、特にKEEP、RELAX、UNDERSTAND、MAKE
グループについて"深める"をキーワードに生活者の本能を探っていきたいと思います。


KEEP -夜に健康の質を”深めたい”-


まずは、最も根本的な本能であるKEEPからです。

今年は、"深い"睡眠を促すドリンクやリラックス用品が話題となったり、
寝ている間に"深く"濃密な浸透を促すシャンプーが人々の心を掴みました。


衣食住という基本の本能においても、その質を"深めたい"という欲が高まっています。

ちょうど10年前の2012年の衣食住と比較すると、食については2012年はダイエットが流行し、「タニタ」や「体感リセットダイエット」などが人々の関心事でした。
また、住の部分においても「こんまり」流の片づけが一躍人気となったり、"削ぎ落とす"点に人々の心が動かされていたことが分かります。

量を"削ぎ落とす"ことよりも質を"深めていく"のが2022年の大きな動きでした。


また特に"深める"中でも、夜というシーンがさまざまなカテゴリーで存在感を放ちました。

夜というシーンはまさに"深める"というディープさとリンクし、人々の心を捉えたのではないでしょうか。

実際に、夜がいまの人々の心にフィットしているのか検証してみたい!と思い、2022年に再生回数の多かった曲の歌詞を集めたところ、トップ10にランクインしている曲は、ほとんどが夜をテーマにしていたり、夜というキーワードが含まれていました。


・優里「ベテルギウス」

・Aimer「残響散歌」

・King Gnu 「逆夢」

・Back number「水平線」

・YOASOBI 「夜に駆ける」

・あいみょん「初恋が泣いている」など

「涙」「夢」や「寄り添う」といった切なさの中にもあたたかみのあるような歌詞が多く、感情の面でも、少し”深い”部分に寄り添うような曲が生活者の感覚にフィットしたことが伺えます。


RELAX -リアルに浸って感情の”深い”部分に触れる-


次に、RELAXです。
リラックスしたり、楽しみたい本能の中にも、2022年は”深める”キーワードが見えてきました。
感情の深い部分に触れるコンテンツには、”深い設定”、”深いストーリー”、さらには生活者自身がコンテンツを”深められる工夫”がポイントとなっています。


今年、多くの人から支持を集めた「SPY FAMILY」や「ちいかわ」そして「すずめの戸締まり」は、アニメでありながら、リアルな現実感やシビアさがあり、”深みを感じられる”点で人々を惹きつけました。

少年ジャンプで連載され、TVアニメにもなっている「SPY FAMILY」は、父はスパイ、母は殺し屋、娘は超能力者という決して明るくはない設定の中で、それぞれのキャラクターが生み出すハートフルさが魅力となっています。

また、Twitter漫画の「なんか小さくてかわいいやつ『ちいかわ』」は、一見すると、その見た目から、よくあるかわいらしいキャラクターと思われがちですが、描かれるのはわたしたちと同じ現実の厳しさ。

「あるある」と共感できるシビアな状況の中でもひたむきに生きる様子を描き、読んでいる人が自分ごと化し、重ね合わせられる"深み"のある点に多くの共感が集まっています。 


アニメ「すずめの戸締まり」やNetflixのドラマ「初恋」は、今年高い支持を集めていますが、これまでの作品以上に考えさせられるような出来事や感情を多く描いている点が特徴のようです。
実際に起きた震災などにも触れ、人間の感情の機微を"深く"描いたストーリーが支持を得ています。

ドラマ「silent」は、作品の制作の細部にまでこだわりを持ち、繊細な感情の変化が小道具やセリフを通して描かれています。
視聴者の間では、発見した気づきや考察をTwitterでツイートするなど、作品をさまざまな角度から"深めていく"楽しみ方が広がっています。


こういった娯楽シーンにおいても、”深さ”を感じられる、様々な角度から味わい”深められる”ものが求められていることが伺えます。


UNDERSTAND  -どう生きるか考えを”深める”-


次は、UNDERSTANDです。


考えたり、理解したいという本能の中にも”深めたい”という傾向が見えてきました。

この UNDERSTANDの本能の例としては、本を呼んで知識をつけることが挙げられますが、実際に2022年にはどのような本が多く手に取られたのでしょうか。


上位にランクインしたのは、「ジェイソン流お金の増やし方」「本当の自由を手に入れる お金の大学」「三千円の使いかた」といったお金に関する知識を得られる本。

また、「20代で得た知見」「80歳の壁」など、世代を問わず、よりよく生きるヒントとなるものが上位にランクインしました。


コロナウイルスの流行を経て、生き方を見つめ直す機会が増え、「自分自身がどう生きていくのか」の助けになる考えや知識を"深める"ものが求められていると言えるのではないでしょうか。



MAKE -自由に創造し、クオリティを”深める”  &”深い”つながり-



最後は、MAKEです。

表現したい、創造したいという本能の中にも"深める"傾向が見えてきました。
この本能を代表するコトが「顔タイプ診断」や「MBTI診断」です。


「顔タイプ診断」はパーソナルカラー診断などのトレンドの延長として、
”自分自身のもっている素材を分析し深め、魅力を最大限にしたい”という想いを持つ若者の間で支持を集めました。


また、「MBTI診断」は性格を16のタイプに分類し自分自身を知るというコンテンツとして人気を集めました。
 自分自身を”深く”知り、魅力を”深めていく”ことへの関心が非常に高まっています。


また、この流れは人気を集めた商品ブランドからも伺えます。
ハウス食品から発売された「魅惑のハリッサ」や「楽園のサテトム」といった
「やみつきスパイスペースト調味料」は地中海で親しまれ、いつもの料理に+するだけで様々な料理がぐんと美味しくなる万能調味料としてヒットしました。


さらに、Z世代に高い人気を得た「水グミ」。
透き通ったグミはその見た目も美しいのですが、SNS上では、凍らせたり、飲み物に浸したりといったように自由な楽しみ方が見られました。

生活者がその商品を使っていろいろ応用できる、”深み”がある商品が心を掴んだのではないでしょうか。


ここまで4つの本能の切り口から2022年を振り返りましたが、様々な方向で生活者が”深める”ことに価値を感じていたことが見て取れたと思います。

外向きではなく、内向き、現実をしっかりと見つめ、よりよい方法を探したり、今あるものを最大限に活用するといった流れが特徴でした。

今後、生活者の関心はより内向きになり、自分自身のキモチに“深く”触れる体験を求めていくのではないでしょうか。


この流れをブランディングの観点から捉えると、
”丁寧に細部まで作り込まれたブランド体験”や
生活者との“こころのつながり”を考える
ことがますます必要になっていきます。


そのためには、人の本能を中心に据えた戦略を考えることが欠かせません。

弊社は、人の本能を中心に据えたブランディングを強みとしています。
「新しいアイデアが生まれづらい」
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そんな際には是非、下記のお問合せからお気軽にお声がけください。

今後もこのnoteではブランディングについて、
本能マップから読み取る生活者心理について発信していきます。
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