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怖い話で飲む話 ② 歯は大事にしよう!編 【対話劇怪談】

 とある商店街の北端。老舗のたこ焼き屋と、この町唯一の花屋の間にぽっかりと口を開いた下り階段。降りた先のこぢんまりとしたバーには、いつもの5人。酒の肴はこわい話。各々持ち寄り、今日もグラスを傾ける。 【登場人物】 ・コナモン→関西人。社会人。甘党。 ・ルカ→女子大生。1留中。2留しそう。 ・ボーズ→男子大学生。1番年下。坊主 ・ニマイメ→整った顔立ち。歪んだ性癖。 ・ロクさん→謎多きおじさん。いつも笑顔。 【本編】 「あかーん。めっちゃ歯ぁ痛ぁい」  コナモンがテーブ

    • 怖い話で飲む話 ①話は短い方がいい?編【対話劇怪談】

       とある商店街の北端。老舗のたこ焼き屋と、この町唯一の花屋の間にぽっかりと口を開いた下り階段。降りた先のこぢんまりとしたバーには、いつもの5人。酒の肴はこわい話。各々持ち寄り、今日もグラスを傾ける。 【本編】 「でね、そのイケメンの先輩とサチコが一緒に帰った次の日、他の6人とおんなじように眼帯をしててね、やっぱり1週間もしないうちに何も言わないで辞めちゃったのよ!」  ルカがカウンターをバンと叩いて言った。ハイボールのグラスを空にし、勢いそのままに話を続ける。 「7人

      • リバース【短編ホラー小説】(5/5)

         駐車した車から降り、悠人は早足で学内を歩き出した。時計を確認する。15時を少し回ったところだ。前に北条教授が話していたとおりだとすると、この時間はヴァーチャル内にダイブしている頃だろう。ということは、梨沙と教授は午前中に来た研究室ではなく、ヴァーチャルダイブの設備がある棟の方へいるはず。学生時代、北条のもとでアルバイトしていた時に何度か訪れたことがあったため、悠人は場所を把握していた。  車を走らせる前、悠人は1度梨沙にメッセージを送ったが返信はなかった。おそらくダイブ中

        • リバース【短編ホラー小説】(4/5)

          <8月7日>  梨沙は車の助手席で、隣にいる悠人の顔を眺めていた。悠人は少し疲れているように見えた。悠人が実家へ迎えに来てくれた時は、1週間ぶりに会えた嬉しさで気付かなかった。私のことで、色々と調べてくれているのだろう。利堂に会えたのかどうかは、何となく聞くことができなかった。会えなかったのなら悠人はきっとそう言うはずなので、まだこれから会うところなのか、会えたが話すようなことがなかったのか、そんなところだろうと想像する。どちらにせよ、必要があれば悠人が話してくれるはずだ。

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          リバース【短編ホラー小説】(3/5)

          <7月29日>  悠人は1人で車を走らせていた。山道を上の方に向かって進んでいく。梨沙は彼女の実家預けてきた。今の状況で家に梨沙だけを残すのは危険だ。梨沙の両親はいつまででも気にせずいてもらって大丈夫だと言ってくれている。当面、今回の件の詳細がわかるまでは実家にいてもらう方がいいだろう。  梨沙を実家に送り届けたその足で、悠人は目的地へと向かっていた。利堂大毅。あかりちゃんのお父さんであり、梨沙の前の夫。彼に会うことが悠人の目的だった。梨沙に聞いた話だと、彼は梨沙の2歳年上

          リバース【短編ホラー小説】(3/5)

          リバース【短編ホラー小説】(2/5)

          <7月19日>  梨沙はダイニングテーブルの上に並んだ朝食を見つめていた。思い出したかのようにそれを口に運んだと思えば、また動きを止める。ここ数日、繰り返し同じ夢を見ていた。眠るのが怖く、夜遅くまで起きるようになっていたが、気が付けばまた黒い遺体袋の前に立っている。回数を重ねるごとに夢は現実感を増していた。そして目を覚ますたびに、罪の意識と恐怖が喉を締め付け、不安が心臓を揺らす。梨沙は日に日に自分が消耗しているのを感じていた。 「梨沙、大丈夫? 体調良くないんじゃない?」

          リバース【短編ホラー小説】(2/5)

          リバース【短編ホラー小説】(1/5)

          【あらすじ】  過去に事故で娘を亡くすという悲劇に見舞われた梨沙。彼女はヴァーチャル空間で仮想の子供と過ごすというセラピーを受けながらも、今の夫である悠人と幸せな生活を送っていた。  悠人との子供を授かり、出産を間近に控えながら迎えた誕生日に、梨沙はヴァーチャル空間の中で、亡くなったはずの娘の姿を目撃する。その日を皮切りに、梨沙の周りで亡くなった娘の存在を思わせる不可解な出来事が起こり始める。悠人は、梨沙の過去を知る何者かによる仕業ではないかと考え、調査を始めるが・・・・・

          リバース【短編ホラー小説】(1/5)