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マリーンズドラフトを考察する。 ~2023 前編~


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1.当記事について

我が千葉ロッテは「2025マリーンズプロジェクト」という、2025年までに常勝軍団を目指す球団理念を掲げている。
ただ勝つだけでなく常に勝ち続けるチームを構築するためには、中長期的に活躍できる選手の獲得育成は必須だ。
その獲得の一翼を担うのがドラフトであり、ドラフトの成功なしに常勝軍団を作ることなど到底できない。
というわけで、まずはチーム状況を振り返ることで補強ポイントを洗い出していこうと思う。
※ドラフトの詳細な部分は後編になりました。

2.  今季のポジション別状況  

今シーズン所属選手(9月時点)、赤字は育成選手

(1)先発

先発投手では、年間通してローテを期待していた石川二木が開幕前に怪我離脱、昨季ロッテ移籍後2回目となる10勝を達成した美馬も春先は絶不調に陥り、谷間でよい働きを見せていた河村は昨年9月末に手術で全休、WBC組の佐々木朗希は合流が遅れ7月末には一時怪我離脱、ドラフト1位右腕の菊地は4月末に怪我で一時離脱、昨年登板機会が多かった本前佐藤(奨)は1軍登板がなかなか出来なかったりと、シーズンを通して慢性的な先発不足に陥った。

(2)救援

救援投手は今季加入のペルドモ西村がセットアップマンに定着し、横山がプロ初セーブを記録、坂本が左キラーとして40登板するほか、澤田東妻岩下中村(稔)などが光を見せたり、後半戦は不安定なことも多かったが、守護神の益田も通算200セーブ、パリーグ初の同一球場100セーブのメモリアルを飾るなどもあった。
救援防御率はリーグワーストであるが、一部投手が爆発しているからであり、全体的にみれば奮闘したポジションでもある。
しかし、唐川国吉東條・澤村の調子がなかなか戻り切らなかったり、シーズン中に小野が手術をしたりと計算外もあった。

(3)捕手

捕手陣は田村佐藤をメインとして起用しつつ、3番手として柿沼を起用した形となっている。
江村も春先には3番手として起用されていたが、もともと怪我も多いためか1軍はおろか2軍での起用も減少しつつある。
本来であれば、植田に1軍の舞台を多く経験させたかったところではあるが、捕手陣全体で考えれば健全な編成といえる。
なお捕手陣でもう少し打力をと思わなくもないが、捕手は「打てば儲けもの」であると考えるのが適切なのだろう。

(4)内野手 ~コーナー系~

今季は一塁に山口、三塁に安田が定着することを期待したシーズンであったが、山口は春先の不調の後に怪我離脱、安田は中盤から失速するなど思うようにはいかなかった。
その中で5月ごろには池田を一三塁で多く起用したものの、死球による骨折の影響で調子を崩し年間通してとはいかず、途中獲得のブロッソーも日本野球へ適応しきれていなかったり、井上も1軍では中々打てずと年間通して苦しい起用法が続いた。

(5)内野手 ~二遊間系~

昨季はWRAAというどれだけ打撃で得点貢献できたかを図る指標で、遊撃として出場した選手がマイナスを叩き出したつづけた幕張遊撃隊であったが、今季は攻守共にいいものを見せている。
遊撃手として最多出場している藤岡は、近藤(SB)との自主トレの効果覿面で、出塁率4割近辺を保つなど打線に欠かせない選手となっている。
友杉は1年目から多く1軍で出場し、その中で攻守ともに貢献することが出来た。ストライクゾーンの管理などの課題は残すシーズンとなったが、1年目と考えれば期待以上の活躍が出来たと言えるだろう。
茶谷は内野全ポジションを守るUTぶりを発揮しつつ、一時は4番に座るなど打力でも多く貢献した。守備範囲は藤岡友杉に軍配が上がるが、70試合近く出場し失策はわずか2つと堅実な守備を見せている。
遊撃という負担の大きいポジションを休養を作りながら3人で回せていることが、結果として高いパフォーマンスを維持できている秘訣なのかもしれない。
対照的に、二塁手は今季も中村(奨)の独壇場となっている。
今季はなかなか復調することができず、中村という選手の実力からすると物足りない成績ではあるが、内野のリーダー的立ち位置でもあるため、そう簡単に外すことが出来ないのが実情だろう。
長期契約のため来季のバウンスバックに期待したいが、遊撃手の例を見ると2軍からの突き上げが欲しいところだ。

(6)外野手

昨年盗塁王とGG賞を獲得した高部が怪我でほぼ全休、荻野も2度の怪我離脱、春先好調だった藤原も5月ごろに怪我離脱、長打期待で獲得した助っ人のポランコは春先に大不振に陥り、福田も手術の影響で外野守備に不安を抱え、菅野が7月に手術で今季絶望と、計算外だらけであった。
これが影響して、2軍では本職が外野手でない選手が多く出場したりと一時は人数不足にも陥った。
ちなみに、両翼が柿沼江村の試合なんてのもありました(笑)
その中で、和田がプロ初本塁打を記録、が通年攻守で躍動、角中はあわやキャリアハイの本塁打数を更新する活躍、7月にトレード獲得の石川(慎)は主に対左で活躍と、良い意味でも悪い意味でも計算外が多かった。

3.  2軍詳細

(A)2軍投手

9/16時点成績(イニング順)
※後半戦は佐々木千隼と唐川侑己が配置転換された。

今季2軍ローテを回した投手は上記の通りである。
カスティーヨは今季から先発再転向という形にはなったが、中終盤には少しづつ適応を見せ、1軍で好投を見せることもできた。
また、菊地中森は先発として多く経験を積むことが出来た。
来季は2軍ローテで回りつつも1軍でも多く登板機会を得る、という形で過ごせると成長過程としてはよいだろう。
ただ、本前佐々木佐藤は少し苦しいシーズンとなってしまった。
本前は、春先は好投を見せ1軍昇格も果たしたが夏場に失速、大量失点を許すことも多く、8月18日の2軍戦では10失点を喫することもあった。
ただ、今季はイースタンリーグの最多奪三振を狙えるほどの投球も見せているため、来季以降巻き返しを図りたい。
佐藤佐々木は多くのイニングを投げたものの、低奪三振率、高被打率と現状ではいいものを見せることが出来なかった。
2投手とも1軍での先発登板の機会は得られず、厳しい立場に置かれている。

対して、リリーフは多くの選手を1軍に供給することが出来た。
これが影響し、夏場には2連投が恒常的に行われるなどリリーフローテがキツキツになっていた時期もあった。
加えて、若手リリーフで圧倒的な成績を残した選手もいなくなってしまったため、疲労軽減という意味合いも兼ねて追加をしておきたいところではある。

(B)2軍野手

9/16日終了時点出場数

今季の打席数上位3選手は、高卒2年目の松川、高卒ルーキーの勝又、高卒3年目の谷川となっている。
将来に向けた編成が良好と言えるのは、捕手だろうか。
捕手は高卒組の松川谷川が出場しながら、植田が1軍待機をするという健全な編成状況となっている。
二遊間系は遊撃に勝又、二塁に池田・小川という形を取れておりこちらも編成自体は健全だ。ただ、圧倒的な成績を残している選手がいないため苦しくもおもえる。
コーナー系は、一塁に外野守備の不安が多い西川を、三塁には肩は強いが遊撃としての不安の多い金田を、という編成になるだろう。
ただ、三塁コンバートも確定ではないので、大砲タイプのコーナー系の追加は検討してもいいかもしれない。
問題は外野手で、西川を一塁へコンバートさせると若手外野は山本のみとなってしまう。そもそも、外野手は人数不足でもあるため必ず追加したい。

4.  今シーズンの課題

(ⅰ)2軍左腕先発課題

現在1軍の左腕勝利数は14であるが、そのうち12は小島メルセデスのものであり、残りは救援投手の挙げたものである。
ただ、パリーグ他5球団の先発左腕の勝利数の平均が12程度であることを考慮すれば、1軍先発左腕は突出した課題ではない。 
ここで問題となるのが、2軍左腕だ。
今季の2軍で、先発として5イニング以上を投げた投手は秋山中村(稔)本前佐藤(奨)の4投手である。
このうち秋山は5月ごろは先発として5イニング程度投げていたものの、基本的には2~3イニング程度の登板が多くなっており、中村(稔)も2軍では先発として登板していたものの、1軍では先発ではなくロングリリーフとして起用されている。
そして2軍で多く先発登板を果たした本前は、春先は好調を維持したものの先発時防御率は4.04、佐藤も先発時防御率が5.60と少し苦しい内容となっている。

(ⅱ)日本人打者長打力課題

今季も、9月13日時点で日本人打者の最多本塁打がリーグワーストタイの14本と長打力課題を改善しきれていない。
もちろん長打=本塁打ではないが、確実に得点を取る手段である本塁打の量産が勝率に大きく貢献することは間違いないため、この課題は改善しておきたい。
今季1軍で2桁本塁打を達成している日本人打者は中村(奨)山口の2人、2桁本塁打を期待された安田は昨季を上回るペースで成績を向上させ自身初の球宴出場を果たしたものの、交流戦期間から調子を崩し、現在は昨シーズンよりも成績を落としている。
2軍を見てみると、若手野手の最多ホームランは山本の9本、それに追随して西川が6本、池田が5本と若手の長打力が少しずつ向上しつつあるものの、全体的には低調ということもあるため課題を改善しきるには至らない。
ただ、これらの若手選手が1軍に供給できさえすれば長期的な長打課題も改善できる可能性があるため、完全に策なしというわけではない。

(ⅲ)1軍先発格差課題

今季1軍で先発登板をした投手は11人と、シーズンを回す中での枚数としてはおおかた想定通りであったが、課題はローテーション級の投手と谷間的に運用された投手の内容の差にある。

今季1軍先発時成績(9月14日時点)

今季は、投げ抹消が多かった上記5投手合計で17先発の機会が与えられたものの、この中で来季ローテ当確という選手がいない点が苦しい。
上記5投手の印象としては「2周り目以降に崩れる」というかんじだろうか。ただ、5投手とも2軍では5イニング以上投げた経験があるため、スタミナ不足とは考えづらい。となると投球の幅がまだまだ足りないのだろうか。
いずれにせよ、定着まではもう少し時間がかかるだろう。

(ⅳ)2軍中堅手課題

先にも述べた通り、今季は外野手の故障者が相次いだことで人数不足がより露呈したようにも思えるが、実は昨季オフから危惧されていたことである。
というのも、中堅として出場させたい選手は荻野藤原福田高部和田であるが、昨季はこのうち藤原福田以外が1軍で出場していた。
この時点で2軍中堅手はわずか2人、そして今年は藤原が1軍帯同し、福田は怪我の影響で両翼とDHがメインにならざるを得ないという状況となった。
これにより、2軍の中堅手は本来両翼で想定していた選手や、外野手でない選手が務めることとなってしまった。
中堅というポジションは両翼とは違い専門性の高いポジションでもあるため、2軍とはいえ少しもったいない使い方をしてしまったようにも思える。
そのため、今年のドラフトでは中堅として育成・出場させたい選手を獲得する必要性は高い。
加えて、高部が来期以降中堅として計算できない可能性や、藤原の守備指標の大幅マイナスも考慮すると、1軍も思っている以上に時間の猶予はないかもしれない。

5.  補強ポイントまとめ

ここまでの課題や1・2軍の状況を基に、今年補強したいポジションは以下の通りであると考えた。
※ドラフトだけの補強ポイントではありません。

※あくまでも個人の意見です。

と、ここからは具体的なドラフト戦略について考えていくのだが、あまりにも長くなりすぎたのでこの辺で終わりにしようと思う。
次回は例なども出しながら、考察を深めていく。

それではまた次回、さいなら~。

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