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ただの非モテの生態開示(大学生編Ⅳ①)

今回は女との接触という観点から、初回にふさわしい事を記す。

俺は大学4年の春過ぎに、春季リーグ戦の終わりと共に野球部を引退した。1本に絞っていた訳ではないが野球就職に繋がる成果を上げる事は出来なかった。当然これについては不満や心残りは無い。
それまでの生活においては長期休暇や試験期間を除けば、部活・授業・バイトへの労力の配分は大体6:3:1くらいだった。本当にそれ以外何もしていなかった。趣味としてマイナーなある物を収集したり、偶然何もない日は古いポケモンをやっていたが労力を費やした感覚は無い。
生活の中心であった野球を失ってから最初の2週間くらいは、目が覚めても起き上がり飯を食う意欲が湧かない日が続いた。

野球を除いた今までの大学生活について思い返してみた。授業に出て試験を受け単位を取った。ジムで鍛えた。学内の図書館で本を読んだ。リーグ戦期間以外は週2くらいでバイトをした。年末に昔の野球仲間と会った。偶然のオフには昔の野球仲間と野球したりジムに行った。

「圧倒的になんか足りねえな。そうだ、俺童貞だったわ。」

大学生活でマネージャーへの事務連絡やゼミの打ち合わせを除き女子と喋った時間は、授業ノートを見せてもらった際のやりとりで8秒くらい。ラインは0往復。
キャンパス内でその辺歩いてる何の接点もない女子に話しかけるという発想に至らなかった。なぜなら、男が知らない女にいきなり話しかけたら「こいつどんだけヤリてえんだ。なんだこの性欲爆裂サルは。」と思われるのが当たり前だと思っていて気が引けたからだ。そもそも話すことが思いつかなかった。(これについては高校生編で後述)

そして野球仲間たちの大半は幼馴染や高校からの付き合いでパートナーがおり割と一途?だったため、ただでさえ忙しいのにナンパをするなどという発想が無かった。しかし、痕跡が残りにくく手っ取り速いという理由で風俗で用を足す人は多少はいた。

この時点で俺が女と接点を持つ方法は、風俗か円光のどちらかで、かなり迷ったのを覚えている。


風俗で初めて女に触れる

2週間程それだけを考え悩んだ末にピンサロに行く事にした。その日、入口から少し離れた所の居酒屋の看板を見てるフリをしながら、人が少なくなるのを待った。その時が来たら何かに操られるように足が勝手に入口に動いていた。初めて女に触れるのが風俗であることに何の抵抗も無かった。今からする事が交尾ではないから。そして何を思ったのか俺は受付でフリーを宣言した。緊張で伝え間違えたのではなく、本気で。人間は限界を超えると自然と奇行に走ってしまうものなんだなと後で振り返った。

待合室はかなり広く上質なソファが並んでいた。この時になって俺は緊張し始めた。今から俺は女と触れ合うというかすかな実感が湧いてきた。女と触れ合ったらどんな気分になるんだろう?とその非日常さに期待していた。これに対して、「本当にこれで良かったのか?何か違う方法があったのではないか?」と自問した。この感情がぶつかり合っている途中で俺はボーイに呼ばれた。口内に消毒液的な何かをスプレーして席に通された。

席はベンチシートというやつであった。冷たい麦茶を出されたので緊張で乾いた喉を潤した。その直後、隣の席に制服を着た若い女が入っていき明るく挨拶するのを目撃した。その瞬間頭が混乱した。「なんで?」ではなく「???!!?!??!!!!?!?!?!?」のような状態。今から制服を着た明るい若い女が間違いなく確実に自分のところに来る。普通に考えてあまりにも非現実的だったので、麦茶か先ほどの口内スプレーに強い幻覚作用があって幻を見ていると確信した。さらに、この騒々しい音響ブーストによって脳がバグってしまったのでは?とも思った。それ程に自分が女と関わる事が不思議で仕方が無かった。

女は控えめに挨拶をして俺の隣に座った。童顔で運動神経が良さそうな活発なイメージだったが、暗かったのではっきりとは思い出せない。その後、挿入以外のあらゆる’’初めて’’を経験した。その全ての行為の度に身体が羽のように軽くなったのを確かに覚えている。しかしその最中に他の人格が俺に干渉してきた。「名前も素性も知らない嫌々金のために仕方なくやってる女と触れ合っただけでこんなに幸せを感じたんだから、仲良しな彼女とこれらを成し遂げることが出来たらどうなっていたんだろうな?」と脳内で挑発してきたのだ。静かにしてくれ。俺にそんな概念は無い。俺は騙されないぞ。

退店後のその日の記憶は全くない。今はその店は無くなりもちろんその女の行方も知らない。

いままでどこで何を選択してもここに繋がったのだと思う。幼かった弱かった少年の頃の俺に何が出来たのか。

逆に、どこで何をしてどのような凄惨な修羅場を超えれば同級生と仲良くキスするなどという事になるのか?

もう疲れた。次回は大学生編Ⅳ②





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